昭和学院秀英中学校 入試対策
2023年度「昭和学院秀英中学校の社会」
攻略のための学習方法
問題構成
大問6~7つが地理・歴史・政治経済におおむね2~3問ずつ振り分けられるパタ-ンが多いが、問題数や配点では歴史の比重が多くなっており、歴史重視の傾向がある。
解答数は30~40問前後。設問は2023年度では記号選択18問・適語記入10問・記述2問といった割合になっている。近年、記述問題も出されるようになった。
地理分野
地形や気候・産業や貿易など、幅広い分野からいろいろな問題が出される。地形図の読み取りやある地域にポイントを絞って詳しく訊くような問題もある。地理分野のあらゆる形の出題があると思って良い。
なかでも、資料が多く用いられる点は特徴的である。地図・グラフ・統計資料が多用され、模式図・歴史史料・写真なども使われる。過去にも産業の都道県別ランキング・都道府県別昼夜人口比率・雨温図など、様々な資料が提示されている。
特に、あまり見慣れない資料が使われる点に注意が必要である。2017年度でもカロリーベースの食料自給率・人口増減率・地域の月別日照時間・海抜高度別の面積割合など、他校ではあまり見られないデータ・統計が用いられている。統計の上位1~3位まで覚えていれば答えられるような単純な問題ではない。いわゆる難問・奇問の類ではないのだが、なぜそのような数値になるのか、背景や理由をその場で考えなければならないので、思考力が求められる。
まずは基本レベルの問題を落とさないよう、地名・地形・気候・産業などの基礎知識を固める。基礎知識は難しい問題の手がかりを探す土台ともなる。その上で多くの統計資料・グラフの読み取りを練習し、なぜそのようなデータになるのか、そのデータから予想される結果は何かなど常に考える習慣をもち、基本事項と関連させて知識に厚みを持たせよう。
知らない統計などが出された時にヒントを得られる情報を、少しでも多く頭に入れておきたい。
歴史分野
地理分野の難易度が高い傾向にある本校であるが、年度により多少のばらつきはあるようで、歴史分野に難問が見られる年度もある。
各時代の法令などの一つのテーマに沿った出題や、ある範囲の時代の地名・人物名・貿易・時代順の並べ替えなどを広く尋ねる問題など、歴史に関するあらゆる種類・内容の問題が出されている。
だいたい基本レベルの問題が多いので、テキストを丁寧に学習することが第一である。年代を問う問題も多いので、時代や年号を正確に覚え、年表などで流れもすぐ思い出せるようにしておこう。
政治経済分野
他の2分野と比べて問題数は少なめである。憲法や政治の仕組みと合わせて時事問題も出題されている。テキストで基本事項を覚えたら、直近の1~2年の重大ニュースをチェックして、ニュース・新聞で社会で起こる出来事にアンテナを張っておこう。
記述問題
ここ数年、出されるようになった。30~40字程度で出来事の理由・原因を答えるような問題が多い。用語を覚えるだけでなく、その物事の背景や理由・周辺事項も合わせて取り込むように学習しておこう。
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2023年度「昭和学院秀英中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は30問。1問に1分強はかけられる計算だが、地理分野は資料を用いた問題が多くなっている。歴史分野はテンポ良く答えられる問題が多いので、例年通り地理の問題が重そうだったら歴史・政治経済などから手を付けると良いかもしれない。全く歯が立たないような問題で時間を取られては損である。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
中国・四国地方の気候や産業を中心とした問題。
問1 アは降水量が少なく冬の気温が低いという中央高地の気候の特徴がみられるので松本、イは冬の降水(雪)量が多い特徴から日本海側の鳥取、ウは春・夏の雨量の多さから太平洋側の小田原、エが瀬戸内気候に属する岡山である。
問2 タオルなど綿製品の生産が盛んな愛媛県今治市。
問3 フォッサマグナ(大地溝帯)
問4 カは近年急激に工業化が進んだ中国、キはアメリカ、クも近年経済成長が著しいインド、ケが日本である。人口との関連で1人あたり排出量に差がある点もヒントになる。
問5 年に数回ある流量が多い場合の対策として、欄干がないことで流されてきた倒木や土砂が堆積して洪水を起こしたり橋が破壊されたりするのを防ぐことが期待できる。
問6 Eはかき類が含まれているので海面養殖、同じ理由でAが広島県とわかる。Cはかつお・まぐろが多いので高知県、Bが愛媛県となる。
問7 F. 国産材の供給量は減っている。
G. 2010年以降、最高でも4割弱である。
問8 Iは輸送用機械の出荷額の多さから名古屋のある中京工業地域、Jは化学工業の多さから石油化学コンビナートが多い瀬戸内工業地域、残るHが関東内陸工業地域である。
【大問2】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
歴史上の戦いを題材とした問題。
問1 集落間で争いが起こるようになったのは稲作が始まった弥生時代。土偶が作られていたのは縄文時代である。
問2 高句麗好太王の碑(414年)→蘇我氏が物部氏を倒す(587年)→白村江の戦い(663年)→壬申の乱(672年)。
問3 保元の乱(1156年)→平治の乱(1159年)→壇ノ浦の戦い(1185年)→承久の乱(1221年)の順。
問5 図1は応仁の乱、図2は長篠の戦いにおける足軽の様子を描いたものである。応仁の乱のころはそれぞれの戦いごとに足軽を雇っていたが、長篠の戦いでは鉄砲隊に組織されている。
問6 ① 刀狩(令) ② 大坂の陣 ③ 島原・天草一揆(島原の乱)
【大問3】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
近代の外交や戦争について訊かれている。
問1 a. 津田梅子 b. 岸信介
問2 ウ. 版籍奉還は1869年の出来事である。
問3 ア. 問題は関税自主権がなかったことではなく、領事裁判権(治外法権)が認められていたことである。
ウ. 伊藤博文ではなく、陸奥宗光である。
エ. 陸奥宗光ではなく、小村寿太郎である。
問4 ア. 日清戦争の時と異なり、賠償金が得られなかったことで国民の不満が高まった。
問5 ア. 犬養首相が暗殺されたのは、二・二六事件ではなく五・一五事件である。
ウ. 治安維持法の制定は1925年である。
エ. 大政翼賛会の発足は1940年である。
問6 ア. ミッドウェー海戦での敗北は1942年のことである。
イ. ポルトガルではなく、イギリスである。
エ. 現地住民が日本国民と同等の人権を認められたわけではなかった。
【大問4】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
2022年の国会に関する記事を題材とした問題。
問1 (A) 野党 (B) 3
問2 エ. 南南問題は1970~80年代ころから明らかになり始めたが、経済協力開発機構が設立されたのは1961年である。
問3 日本国憲法は基本的人権を人が生まれながらに持つ永久の権利と明記しているが、「公共の福祉」に反する場合は制限されることもあるとしている。
問4 D. 厚生労働省 E. ヤングケアラー F. 社会福祉
問5 ウ. すべての年度で内閣提出法案の成立数のほうが多く、議員提出法案数と成立率を掛けても50件を超える年度はないので、正しい。
問6 総辞職
攻略のポイント
今年度も地理分野で資料について考察する問題が見られた。たとえ見慣れない資料でも、基本事項を土台に考えたり、最近の世の中の動きを考えたりすることで正解を導き出せる。統計やグラフの読み取りをしっかり練習して、思考力を養おう。そのためにも地理分野は特に念入りに学習して抜けが無いように。
記述対策として、物事の理由や背景までよく考える訓練も積んでおこう。
その他の分野も、難しい問題以外は確実に得点できるよう、テキストレベルの実力を着実につけておきたい。
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