開智高等学校 入試対策
2023年度「開智高等学校の国語」
攻略のための学習方法
〇長文読解
説明的文章・文学的文章が各1問ずつ出題される。2023年度では論説的説明文3600字・随筆文3800字の計7400字ほどの文量であった。
文章自体は高校受験の試験としては適した内容で、難し過ぎるということはない。小説の主人公も中学生の設定になっていたりする点、中学三年生向けの難易度で配慮されている。
形式は選択肢問題がやや多めで、書き抜き・記述・文中の内容を自分で考えて言葉にする問題なども見られる。記述は字数指定のないものや、50~60字ほどのものも出題されている。
【記述問題】
配点も大きく、字数指定の無いものもあり、やはり差がつくところであろう。 「簡潔に説明しなさい」という形で訊かれるものが多いので、何をどのようにどのくらい記述するのかは自分で判断することになる。
論説文であれば、要約の能力が必要である。設問で求められた点を過不足無くまとめなければならない。
小説の場合は、文中にはっきり表現されていない場合も多いので、文中の出来事・人物の言動や表情・情景などから、(おそらくは)人物の心情を感じ取って、説明しなければならない。
字数指定が無い問題は、解答欄の大きさからだいたいの行数を考え、1行につき20~25字くらいの見当で書ける文量を決める……など。類似問題で十分な練習を積んでおかないと対応できないことである。
20~30字・70~80字などの字数で要旨・要約をまとめたり、人物の行動理由や気持ちを自分なりに表してみたり、一定の字数で記述を整える感覚を体得しておいていただきたい。
【 読 解 】
記述問題に慣れておくことは当然のこととして、つまるところは文章の要約であり登場人物の心情理解が求められているわけである。長文読解の力が無ければ記述問題など手もつけられない。長文読解のテクニックを磨くこと。
形式段落と意味段落・段落のつながり・要点と細部・要旨のまとめ……論理の流れをしっかりたどる。場面の転換・登場人物の関係・言動や表情や情景などから心情を理解する……テーマを読み取る。同じような文量の問題でスピードをつけておくことももちろん必要となる。
〇古文
大学受験と同様の素材文が出されているが、難しい箇所には現代語訳がついていて難易度の配慮はされている。このレベルの試験だと助詞の接続による意味の変化を見分ける必要があったりするが、全体の筋が読めれば答えられるような問題にはなっている。
ともあれ、難易度としてはやはり高校で詳しく習うことなので、重要語句や基本文法・古典の知識を一通り覚えて古文を読みなれておかないと、十分な得点に結びつかないだろう。高校初級~標準レベルの教材で学習しておくことをお薦めする。
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2023年度「開智高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説的説明文3600字・随筆文3800字の7400字ほどに古文の数百字といった文量で例年通りであった。
総解答数は34問。記述問題が5問、その他は記号選択が多くなっている。
記述問題以外はあまり時間を取られるような問題はないので、素材文を読むスピードが十分にあれば、時間は足りるだろう。
記述問題は20~70字ほどでまとめるもので、答える内容もそれほど難しくはなっていない。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:20分
古代の哲学者たちの、物質の成り立ちについての考えが紹介されている。
問1 a. 根源 b. 希薄 c. 疎 d. 渦 e. 権威
問2 ウ. 水がさまざまに変化し消えてなくならないことが、金属や生物の体にも共通しているとタレスは考えていた。
問3 デモクリトスの主張は支配者や民衆に疎まれてその著作も失われてしまったが、そうした反対派が書き残した本にデモクリトスの主張が残されているため、かえってその主張が後世に伝えられてしまっているという事実を「皮肉」と言っているのである。
問4 実験装置も観測機器も存在しない古代において現代の粒子論にも通じる「原子」という概念を考えついたことは「賞賛に値する」出来事である。
問5 アリストテレスの反論点は「壊れない粒はない」「真空など存在しない」ということであるから、選択肢エが選べる。
問6 「熱」「渇き」「湿り」など、人々が日常的に見たり感じたりする要素を用いて分類されているので、わかりやすいのであろう。
問7 キリスト教において神は創造主であり、世界のすべては神によって作られたと考えられているので、霊魂まで原子でできているとする原子論の主張は受け入れがたいも
のである。
問8 共通しているのは、物質は「もと」になるものからできていて、それがぶつかったりくっついたり、壊れて元に戻ったりしながら物質を形作っているという考えである。
【大問二】随筆文の読解
- 時間配分:20分
食べ物についての二編のエッセイを題材とした問題。
問1 a. 与する――同意する・味方に加わる。
b. かもしだす――ある雰囲気や気分をそれとなく作り出す。
c. 安普請――安い費用で作った粗雑な家や造り。
問2 A. ふせっせい B. むさぼ C. かんび
問3 吉備団子によってともに戦う仲間が集結し、鬼という強敵を打ち負かすことができたという意味で「最強」なわけである。
問4 現実に吉備団子を食べたことはなかったが、物語に登場する吉備団子をリアルに想像することで味までも感じ取れたような感覚になったのであろう。
問5 現実の吉備団子の封を開けるときに「小さな妻がいる」などと感じるわけであるから、実物の吉備団子と奥さんに似た点があるという意味だろう。
問6 おやつの内容としては嫌いではなかったが、それ以外の点で何か不満があったという言い方である。それは続く段落で述べられている「一人で食べるつまらなさ」であったと考えられる。
問7 夫婦共働きであるためおやつは子ども一人で食べられる物で、夕食が遅いので腹持ちがよい物にするというのは「合理的」な判断であろう。
問8 「脂と糖」という物質を「恋人」に例えているので、擬人法である。
【大問三】古文の鑑賞
- 時間配分:10分
島流しになった俊寛が、仲間が都へ戻る中ひとりで島に取り残される場面である。
問1 a. 古文における「情け」はいろいろな意味で使われるが、この場合はともに謀議を計って島流しにされた仲間としての気持ちであろうから、エを選べる。
b. せんかた(詮方)なし・せむかたなし(古)――なすべき手段・方法がない。
c. 足摺――地団駄を踏むこと。
問2 船が出ていこうとするところを網に取り付いて(水の深さが)腰まで、脇までと背丈の届くところまで引かれていった。
問3 「俊寛」は自分のことである。「この私、俊寛をお見捨てになるのですか」
問4 「許されないので、都まで行くことはできないとしても、せめて九州の地まで」と船に取り付いたが、その手を都の御使に振り払われて仕方なく渚に上がり、地団駄を踏み
ながら「乗せて行ってくれ、連れて行ってくれ」とわめき叫んだ。都は無理でもせめて九州まで連れて行ってくれ、と言っているのである。
問5 かないそうろう。「候ふ」は「いる」の謙譲語や丁寧語として用いられる。
問6 ⑤・⑥ 都の御使は「どうにもなりませんね」と言って、船に取り付いていた(俊寛の)手を引き離して船を漕ぎ出だした。
問7 ウ. 俊寛が取り残される様子を淡々と描いており、特に同情的には表現されていない。
問8 平家物語が書かれたのは鎌倉時代で、方丈記と同じである。源氏物語・枕草子・古今和歌集は平安時代、太平記は室町時代の作品。
攻略のポイント
長文読解の対策として読むスピードをつけて、読解の技術を磨いておくこと。
記述問題に対しては同程度の字数で要約や心情の説明をまとめる練習を積み重ねる。
今年度も古文の配点は約2割と大きいので、苦手な人も諦めずに勉強に取り組むこと。古文の教材でやや高いレベルの古文演習をこなしておきたい。
全体としてはオーソドックスな内容で得点しやすい問題も多いので、難しい問題にとらわれすぎない冷静さも必要である。できる問題から確実にこなすこと。