城北中学校 入試対策
2022年度「城北中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向と特色
例年は文学的文章・説明的文章の読解に語句や漢字というオーソドックスな構成であったが、2017年度から大きく傾向が変わった。
小説の読解1題(ことばの知識を含む)に漢字の書き取りだけと、かなりの変わりようである。説明的文章は出されていない。
素材文の文量は10000字ほどにもなり、2022年度では記号選択が7問・35~85字の記述が5問と、記述重視の傾向が続いている。
来年度も記述中心の構成なのか、文学的文章だけなのか、あるいは以前の傾向に戻るのか、さまざまに考えられる。学校説明会などには積極的に参加して、情報収集を怠りなく行いたい。
傾向は変わったが、全体の難易度は変えていないと思われる。傾向が変わって5年目になり、過去問での練習もしやすくなったので、経験を積んでおきたい。
長文読解
素材文は文学的文章・説明的文章のどちらが使われるか、あるいは両方出されるのか、いろいろな可能性を考えてどちらにも対応できるようにしておかなければならない。
まずは、それぞれの読解の基本的な技術を磨こう。文学的文章であれば登場人物の整理・時間や場所や人物の入退場による場面分け、人物の心情や描かれているテーマの把握など。説明的文章であれば、形式段落と意味段落の整理、段落ごとの要点と細部、要旨と全体の要約など。
出題傾向は変わったが、素材文自体の難易度などは過去問と変わらないと思われるので、過去問で経験を積むことはもちろん有効である。
記述対策
文学的文章では、人物の心情や行動の理由などを聞かれる場合が多い。類似問題をこなすのはもちろんだが普段の読書においても常に意識して、今この人物はどういう気持ちなのか・なぜこんな表情になりこんな行動をとったのかなど、考えながら読むようにしたい。
説明的文章であれば、要点・要約が答えあるいは手がかりになる場合が多いので、読んだ部分を短くまとめるような練習が役に立つだろう。
そして、それらを50~100字程度で文章に破綻がないよう、まとめる練習を積もう。だいたい一つの事柄・内容は20~25字くらいでまとめられることが多いので、70字であれば2~3の内容を使って解答を組み上げれば良いということになる。
城北中の過去問で練習に加えて、記述問題中心の普連土学園中や、難易度は高くなるが海城中や豊島岡女子学園中などは、文章量の多さなどの面でも練習台になるだろう。
傾向の近い他校の過去問などもうまく利用して、記述問題に慣れておかれたい。
漢字・言語事項
言葉の知識も出されている。漢字と合わせて、標準レベルの教材でよいので、丁寧に学習しておこう。
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2022年度「城北中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説で文量は8100字ほど。解答数は読解問題が12問、そのうち記号選択が7問・35~80字の記述問題が5問となっており、これに漢字10問が加わる。書き抜き問題は出されなかった。素材文は15~17分程度で読み終え、記述問題に時間を残したい
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:45分
- ★必答問題
互いに想いを寄せる塩見と早瀬だったが、大学進学で離ればなれになり、結局想いを伝えることもできなかった。そんな二人の切ない季節が犬の視点からも描かれる。
問1 つぶさに――細かに詳しく・詳細に。
問2 二人とも美術部に所属してはいるが、美大を目指す光司郎ほどには、優花の美術に対する思い入れは強くないと思われる。そんな優花に時間による光の見え方の違いなどを詳しく説明するのは行き過ぎだろうと、光司郎は考えたのである。
問3 好意を寄せる光司郎の前で自分の荒れた唇に気づいたものの、隠れてさりげなく手入れをする器用さもなく、好きな人の前でうまくふるまえない自分に幻滅している。
問4 直前に光司郎が話していたのは自分の家の家計の苦しさ・貧乏さである。一方、優花の家庭は商売を営んでおり、ある程度裕福であるような描写がみられる。そんな優花を相手に自分の貧しさを語っても伝わらないだろう、と思ったのである。
問5 周囲の人(受験におけるライバル)に自分の答案が見えない状態で筆記用具を使って解答用紙に答えを記入するという静かな戦い(筆記試験)と異なり、美大の入試は互いの解答(課題の作品)が丸見えの状態で、絵筆をカンバスにたたきつけ、あるいは自らの手で素材を形作ったりなど、生身で戦っているような激しさが感じられる→選択肢イの表現が的を射ている。
問6 光司郎の背中に抱きつきたいと思っている恋心が声に表れてしまったということであろう。「湿り気」も男女間の艶めいた雰囲気を感じさせる言葉である。
問7 少し前に、光司郎がポーチュガルという香水をつけていることがわかる場面がある。借りた手袋からも同じ香りがしたのである。
問8 東京の大学に進学するにあたり、様々な不安を抱えている優花はその心情を光司郎に吐露した。そんな優花に光司郎は前向きな言葉をかけており、優花は光司郎のやさしさに喜びと感謝を覚えたのであろう。
問9 自分があまりに凡庸だと思い込み自信が持てずにいる優花に対して、光司郎は自分も同じだと優花の気持ちに寄り添い「その凡庸さはいいものだ」と肯定してくれている、そのことが嬉しかったのである。
問10 光司郎が地元の大学に行くことを優花に話さなかった理由を考える。もし自分が東京に行くつもりがないことを知ったら、優花は東京の私立大学へ行くことを止めてしまうかもしれない。東京で多くの人と出会い成長する可能性を自分のせいで失ってしまうのではと考えた時、光司郎は本当のことを話せなかったのである。
問11 名前ではなく名字で呼ぶのは、二人の関係性を考えれば距離を置いた「ぶっきらぼう」な呼び方である。これはもちろん、自分の優花への好意をあらわにしないために、わざとしていることである。
問12 直前の教師との会話が手掛かりになる。この場面で光司郎は優花の家との収入格差のせいで劣等感を感じ、「恥ずかしくて、みじめで」「彼女の前に出ると焦ってしまう」「触れたら、壊れてしまうような気がして」いると告白している。「本当に、本当に、好きだった」のにその気持ちを伝えられなかったのは、こうした気おくれも原因の一つと考えられ、そのような自分の情けなさを「幼さ」ととらえて、「もっと自分が大人だったら」と後悔を感じているのである。
【大問二】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:5分
1. 組織 2. 定石 3. 航海 4. 救命 5. 万象 6. 財
7. (生)兵法 8. 討(ち) 9. 菜園 10. 脳
攻略のポイント
新たに記述対策が必要になった点は負担に感じるかも知れない。だが、同じく記述問題が多く出される、いわゆる最難関校ほど難しくはない。傾向が変わって6年目だが、合格者平均点に大きな変動はなく、難易度自体は以前と変わらないものと思われる。
来年度も同じ傾向が続くものと仮定して、同程度の字数の記述問題を多くこなしておこう。過去問が不足するが、同じように記述問題の多い普連土学園中など、他校の過去問も利用して経験を積んでおきたい。
たとえ設問の形がどうであれ、読解力を磨くことが第一であることは言うまでもないだろう。
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