早稲田大学高等学院 入試対策
2022年度「早稲田大学高等学院の英語」
攻略のための学習方法
長文読解における留意するべき点ついて、以下に述べてみたい。
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①正確な文法事項についての理解と知識を蓄えよう
「自分は文法が苦手で、文法問題の得点は安定しない」、「文法知識がなくとも、英文が自然と読める」という声を耳にすることがある。これらの「声」に共通しているのは、どちらも「文法事項に重点を置いていない」ということである。特に、後者の「英文が自然と読める」という状況は、実は「本当は英文が読めてはいない」のである。例えば、接続詞の‘as’について少々考えてみたい。接続詞のasには、時(~のとき)、理由(~なので)、譲歩(~だけれども)、様態(~のように)、時の経過(~につれ)という基本的な意味がある。英文における接続詞のasは、上記のうちのどの用法であるかの判断をしなければならない。受験生の中には、上記用法を一つ一つ当てはめて「これが何となく当てはまるかな、しっくりいくな」という程度の判断で、意味を決めてはいないだろうか。このやり方は合理的ではない。原則的には、接続詞を用いた文章なので「条件節(従属節)」と「帰結節(主節)」とがあるから、これらの2つの英文の日本語訳を考え、日本語でつなぐ方法を考えてみる。具体的には、‘As I broke the vase , I was scolded by my mother.’という英文を考えてみよう。まずは、2つの節を別個に訳してみると「私は花瓶を壊した」と「私は母に叱られた」になる。これらの日本文を自然な日本語感覚で考えると、「私は花瓶を壊したので、母に叱られた」という「理由」でつないだ文章になることは容易に想像がつく。また、上記用法のうち「譲歩」に関しては、条件節の中で「倒置」が行われるのである。例えば、‘As kind he was , he did such a thing.’については、‘he was kind’ではなく、‘kind he was’と倒置が用いられている点が特徴である。また、「~するにつれ」という意味になる場合には、ⅰ)変化を表す動詞が使われている場合、ⅱ)thanなし比較級が使用されている場合がある。ⅰ)の変化を表す動詞とは、increase、decrease、develop、growなどが代表例である。これらの動詞は、時間的間隔のあいた2点間における変化を表すので、当然そのような状況のもとでは、「~するにつれ」となるのである。また、ⅱ)の比較級は従来型のそれとは少々内容が異なるのである。従来型の比較級とは、時間的に今この時(=時間的変化はない)における異なるAとBという2つの事象を捉えて比較するのであるから、比較の対象基準となるものが必要になり、それがthan以下に表現されるのである。言い換えれば、この場合は時間的に水平方向(時間変化がない)に関することだけなのである。従って、そこには「時の経緯」はない。一方、thanなし比較も存在する。これは時間の経過の中で、AがA’になるということであり、時間的水平方向とは対照的に時間的垂直方向での変化である。具体的には「太郎はより背が伸びた」という内容の文であり、ここには時間の経過があり「A⇒A′になった」ということである。従って、thanなし比較級が含まれる条件節が‘As’で導かれる場合には、「~につれ」となるのである。
以上、‘As’について、用法を中心に述べたがその他にも様々な文法に関連した事項があるので、日々の学習の中で一つ一つ習得していってほしい。
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2022年度「早稲田大学高等学院の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問Aは、文法総合問題<6分>。
出題内容は、適語選択問題、和文英訳適語補充問題、誤文訂正問題である。
大問Bは、長文(説明文)総合読解問題<20分>。
出題内容は、適語選択、書き換え、英文解釈、整序、単語アクセント、内容正誤、要旨把握となっている。
大問Cは、長文(エッセー)総合読解問題<13分>。
英問英答が8題、条件英作が2題の出題形式である。
大問Dは、長文(物語)総合読解問題<11分>。
英問英答が8題である。
【大問A】文法総合問題<6分>
- 時間配分:6分
基本的な文法事項、イディオムは確実に覚えること。
Ⅰ 適語選択問題<2分>
(1)「ハワイ旅行はどうでしたか?」という英文にする。「~はどうですか?」はWhat is ~ like?である。
(2)「彼が新車を買うことに賛成ではない」という英文にする。「~に賛成である」はagree with ~ であるので否定形で考える。
(3)「店員が近づいてきて、用件を伺っているか尋ねられた」という英文にする。「~を世話する」はtake care of ~であるので受動態の形で表現する。
(4)「これは昨年私が訪れた場所の写真である」という英文にする。( )には関係代名詞whichが入る。判断の基準は、( )の後ろが不完全文のときは関係代名詞、完全文のときは関係副詞になる。
(5)「今日は浜辺が込んでいると思ったが、ほとんど人がいなかった」という英文にする。there was ( )となっているので( )=主語は単数扱いになる。
Ⅱ 和文英訳適語補充問題<2分>
(1)「(痛みが)なくなる」の表現は、be goneである。
(2)過去の習慣・状態を表わす表現は「used to ~」である。be used to ~は「~に慣れている」となることに注意しよう。
(3)否定の問に対する「うん」は否定の形で答える。
(4)日常的に使用している「アプリ」はapp=applicationである。
(5)「~したくてうずうずする」はcan’t wait to ~=待ちきれない、で表現しよう。
Ⅲ 誤文訂正問題<2分>
(1)everyは単数名詞を修飾するので、childrenが間違いである。
(2)「~と同じくらいの数」という表現はas many (名詞の複数形) as となるので、as many shops とする。
【大問B】説明文の英文読解総合問題<20分>
- 時間配分:20分
Ⅰ タイトル選択問題<2分>
タイトルを選択させる問題。本文内容を正確に把握したうえで適切な選択肢を選ぶ。本文の中心的な内容は、アートを取り入れた教授法によって理科の成績が上がった、ということである。
Ⅱ 適語選択問題<2分>
(1)2つのものを表現する場合、一つはone、他の一つはthe otherになる。
(6)関係代名詞whoが適切である。those who ~とは「~する人々」である。
(11)直後の文ではどのような効果が書かれているかを考える。
Ⅲ 適語補充問題<2分>
(2)文頭にHowever あることが手掛かりである。つまり、本文は前文とは対照的な内容になる。「2つのことには多くのことを共通に持っている」としたい。
(12)文脈を捉えると「アートの有用性」について述べているので、helpful=有用である、が適切である。
Ⅳ 書き換え問題<2分>
(3)volunteerは「自発的に~する」という意味なので、「頼まれなくとも」としたい。
(8)下線部の英文は、the 比較級 ~、the 比較級 ~である。書換え文は空欄の後にonがあることより、depends onにすると「何度もそれを聞くことで」となり内容的には一致する。
(9)by themselvesは「一人で」であるので、書換えはon their ownである。
Ⅴ 語句解釈問題<2分>
本文の内容から判断して「生徒は教科書を音読して新しい知識を学ぶのである」が適切である。
Ⅵ 整序問題<2分>
本文にletがあることより、let+人+動詞原形で「人に~させる」という使役の形を考える。語群の中にhowがあるのでseeの目的語にhowを用いた間接疑問とする。
Ⅶ アクセント問題<2分>
アクセントは、日頃の学習において意識して覚えるようにしよう。
Ⅷ 本文内容正誤問題<1分>
ハーディマンはアートが学習に影響を与えるかどうかだけではなく(if=かどうか、に留意)、影響力の大きさも検証したかった、という選択肢が適切である。
Ⅸ 要旨把握問題<3分>
本文内容から、実験は理科に対するアートの持つ効果検証実験であることを踏まえる。
また、実験結果からAbove age と At ageは成績は同じであったが、Below ageは成績が10%伸びたのである。
Ⅹ 内容正誤問題<2分>
本文内容より、「アートを取り入れた授業を受講した生徒の中には、学習した単元について学習後数ヶ月後に試験を行ってもさらに高い点を取った生徒もいた」が適切である。
【大問C】エッセーの長文総合読解問題<13分>-英問英答-
- 時間配分:13分
Ⅰ.「この物語の最も適切なタイトルは何か」という英問である。
Ⅱ.「今朝、コーヒーを飲む前に筆者に笑顔をもたらしたものは何か」という英問である。
Ⅲ.「筆者について正しくないものはどれか」という英問である。
Ⅳ.「『この決定は幸運なものである』と筆者が何故述べているのか」という英問である。
Ⅴ.「男性のふるまいの中で筆者が最もやさしいと考えているものは何か」という英問である。
Ⅵ.「筆者が目にした女性について正しいものはどれか」という英問である。
Ⅶ.「筆者が目にした女性について正しくないものはどれか」という英問である。
Ⅷ.「筆者は心配事についてどう言っているのか」という英問である。
Ⅸ.「学校生活においてどうすれば『スターバックスの人になる』ことができるかについて、答案用紙の文を完成させなさい」という英問である。
【大問D】物語に関する長文総合読解問題<11分>-英問英答-
- 時間配分:11分
Ⅰ.「なぜ『action』がニックのミドルネームであったのか」という英問である。
Ⅱ.「なぜニックの友人はペニーストアに行ったのか」という英問である。
Ⅲ.「なぜジャネットが店でペンを買っているときに、ニックがほほ笑んでいたのか」という英問である。
Ⅳ.「グレンジャー先生について以下のうちどれが正しいか」という英問である。
Ⅴ.「国語の授業における『芝居』に関して以下のうちどれが正しいか」という英問である。
Ⅵ.「国語の授業の後、勇気ある行動になぜニックは驚いたのか」という英問である。
Ⅶ.「本文に基づいて、(1)に入れる適切な単語を本文中から選んで記入しなさい」という英問である。
Ⅷ.「以下の文章はニックの考え方である。各々の空欄をうめる単語を記入しなさい」という英問である。
攻略のポイント
設問形式や長文の内容を見てみると、それほど難易度の高い問題ではない。解答するために必要な知識(単語・イディオム・文法)に関しても、その8割以上は基本的事項であり、受験生の殆どにとっては「周知の事実」であろう。ただし、合格するためには「単なる知識」を超えた「理解」が求められる。例えば、前置詞の理解である。‘down’や‘on’や‘with’などの前置詞が、根本的にどのような意味を有するのかについての知識をベースに、英文中においてどのような意味を持たされているのかについての「考察」を適切に行わなければならない。英問英答の設問形式にも十分慣れておく必要がある。