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渋谷教育学園幕張中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「渋谷教育学園幕張中学校の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

論説文1題・小説1題の計2題の出題が定形となっている。文量は計6000~8000字ほどで、2022年度では約8300字であった。漢字の読み書きが5~6問、熟語・慣用句などのことばの知識が数問と、文学史や作家に関する知識なども出題されている。問題数は少ないが、総解答数が20~25問ほどなので、知識問題の比重も大きくなる計算である。
設問形式は選択肢が多く、字数指定のない記述問題が3~4問出される。記述問題は解答欄の大きさから50~100字くらいでまとめるように想定されているようである。

長文読解

●論説文
思想家の未発表講義録や、言語論・芸術論などからの出典で難しいものが多い。一般向けに書かれた文章で、入学試験のレベルとしては高校入試に近いと思ったほうが良い
まずは長文読解の基本をしっかり身に付ける
段落の整理:形式段落から意味段落へのまとめ。意味段落の内容を小見出しとして書いておくと段落のつながりも考えやすい
要点と要旨:各段落の最初と最後に特に注意しながら、最も大事な1文をマークする。意味段落のまとめは特に重要である。下線や矢印などで関連する部分をむすんでおくのも良い。
要約全体を見渡し、筆者の意見をおおまかにまとめる。特に記述問題では手がかり・解答が多く含まれる部分である。
その上で、少し難し目の文章に多く触れることが大事である。中学生向けの書物では易し過ぎる。高校生初級レベルの文章や教材で文自体の難しさに慣れておくことが望ましい語彙も難しいものが多く出てくるので、多くの文章から吸収しよう。本校と同じ偏差値帯の学校の過去問も参考にしたい。

●小説
川端康成や夏目漱石ら、日本を代表する作家の作品から出題されていて、こちらも中学入試としては難しい題材である。
場面分け:時間・場所・登場人物の移動などから、場面変わり目をマークするだれのどんな場面なのかを簡単に考えておく
心情把握:人物の言動や情景などから気持ちや考えを読み取る。性格の違いなども考慮して言動の理由を見つける。自分ならばこう考えるなどと予断を持ってはいけない。あくまで文章中の手がかりに忠実に考える。
主題:全体を俯瞰してだれのどんな心情を描こうとした部分なのかをまとめる。 
             
著名な文学作品や一般向けの小説からの出典が多いので、特に対象年齢は限らずに、良質の小説に多く触れておかれたい

選択式問題と記述問題

選択肢問題の文は、中学入試ということで比較的わかりやすく書かれているようである。本文が難しい分、選択肢が解説の役割も果たして素材文の解釈を手助けしてくれているような部分がある。ただし、選択肢の文はかなり長く、一つにつき200字にもなる場合があるので、この字数の多さも文量として計算に入れなければならない。
記述問題も、文中から抜き出してまとめれば答えになるといった単純な問題ではない。要旨やテーマを読み取った上で、自分でまとめなければならない。普段から、文章を要約したり、主題を短くまとめたり、読書と合わせて「内容を短くまとめる」練習をしておくことをお薦めする。良い対策になると同時に読解力アップにもつながるだろう。60~100字くらいでまとめて、本校の試験の字数に合わせる訓練もしておくと良い

漢字・知識問題

漢字も高レベルのものが見られる。上級レベルの漢字教材まで手を伸ばして少しでも多く覚えておこう
さらに文学史や作家についての知識なども訊かれているので、標準レベルでよいので文学に関する知識の項目にも目を通しておきたい

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2022年度「渋谷教育学園幕張中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

2022年度は長文2題で計8300字ほどになり、例年通りの文量であった。選択肢が5択で各文が長く、一つが200字にもなる問題があるので、ここも文量として考える必要がある
長文2つは15分程度で読み終え、残りを記述と選択肢問題に充てたい。漢字と知識問題は難しいものも見られるが時間がかかるものではないので、さっさと終わらせる。

【大問一】論説文の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分

「ものいい」を遠慮することがよしとされる社会に疑問を感じ、思ったことを自由に素直に言えることが「各人が平等で人生を楽しむ」というデモクラシーの実現につながるのではないかと筆者は考えている。
問一 (a) 余(り)――「あまり~ない」と否定をともなう形で、程度や頻度が高くないことを表す。  
         (b) はなは(だ)――程度が普通の状態を超えているさま。非常に。  
         (c) 率直――ありのままで隠すことがないさま。
問二  直後に「私的な話し方」という表現があることと対比して、Xには直前の王侯などの例に対しての「公」的が当てはまる。
問三 直後で、ものをいわないのは「社会的に責任を取るまいとすること」だと筆者は述べている。また傍線の前では、ものをいわない人が結局大したことを考えていなかったという経験を多くしてきたとも書かれていて、これらの考えや経験から傍線部のような意見になったのだと思われる。
問四 同段落で、「人の発言を封じる言葉」が少ないフランスではそのような言葉は一種の人権蹂躙と考えられていると述べられているので、そのような言葉が多い日本は人権に対する考えが希薄なのだと筆者は言いたいのであろう。
問五 直前の、「地位の上の人」と話す場合の説明をまとめればよい。「話す態度には尊敬をこめても、話す内容では平等でありたい」ということを傍線のように表現したのである。
問六 筆者は「各人が平等で人生を楽しむこと」が「デモクラシーの条件と目的」であると考えている。それは「ものをいうことは社会生活においての義務であると同時に楽しみの一つである」という言及と呼応している。つまり、ものをいうことがすなわちデモクラシーの実現の始まりなのだと考えているのである。
問七 エ. 「ものいい」は人間だけが持つ天賦の機能である」という発言や、文章の結論と合っている。
問八 は正岡子規、は与謝蕪村、は小林一茶の句である。

【大問二】小説の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:30分
  • ★必答問題

母の死という喪失感で現実への対処も危うくなりかけた主人公はヴァーチャルフィギュア(VF)に慰めを見出そうとするが、やがてVFに心を感じてしまうほどに騙されて生きることを受け入れてしまうのではないかという不安を覚える。
問一 (a) 興(覚め)――それまで感じていた楽しみや興味が薄れてしまうこと。
   (b) 意外
   (c) 破顔――顔をほころばせて笑うこと。
問二 挙句――いろいろやった末に結局。
問三 朔日とはついたちのこと。「朔」は新月を意味する語。
問四 呆然――あっけにとられ、気が抜けてしまっている様子。
問五 「感情生活の落伍者」とは、主人公が母を失った悲しみを克服できず、現実生活に対応することが困難になりつつあった状態を指している。そこで、せめてもの慰めを得ようと、VFという「手立て」に頼ろうとしたわけである。
問六 「最適な返答」とは1行前の「非常に自然に受け答えをしてくれ」るということであるから、選択肢イが合う。
問七 担当者のことばに、自分もいずれVFに心を感じるようになってしまうほどの精神状態になってしまうのではないかと、不安を感じているのであろう。
問八 その話し方があまりに人間くさく、「本当に生きている人間」にしか見えないくらいであった。
問九 心を持たないVFの「心から」という言葉を強調することは、VFという存在のある種の不気味さ・矛盾といったものを読者に感じさせる→選択肢ア
VFである中尾が、娘と会って本当に何かを感じたのではないか思わせる→選択肢ウ。
問十 「熱」は母と会話できることへの期待を表している。一方で、VFはしょせん「破れやすい、儚い幻影」であることもわかっていて、わかったうえで騙されて「相対的な幸せ」に甘んじて生きていくしかないという「苦しみ」も予感しているのである。
問十一 芥川賞・直木賞は文藝春秋社主催の文学賞であり、文藝春秋社の創設者である菊池寛の発案によって創設された。

攻略のポイント

問題数が少なめである反面、素材文や問題の難易度は高い。選択肢問題の文は長く高い記述力も必要とされる。漢字も上級レベルの問題が見られ、文学の知識が問われる出題もある。共学校のトップに位置する学校の試験である。
高校生~一般向けの文章を多く読み、一段階上のレベルの読解力と語彙の獲得を目指したい
ただし、合格者平均点は年度によりばらつきがあるので、難易度にも年度による差があるようである。できるだけ多くの過去問をこなし、難しい年度の試験でも落ち着いて受けられるように慣れておきたい

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