巣鴨中学校 入試対策
2021年度「巣鴨中学校の算数」
攻略のための学習方法
2019年2月、巣鴨の算数は大きく変わった。テストの構成は刷新され、【大問4】には平面図形、【大問5】には立体図形という固定編成もなくなった。
はじめに計算問題を含む一行問題が並び、そのあとに大問が4問という、印象としては以前よりも質・量ともに軽くなったという感じである。今まで受けてきた模試などの延長線上にある問題構成なので、巣鴨特有であった過去問対策に気をとられることなく、オーソドックスに学力をつけていけば十分に対応できる。
ただし、出題されている分野は前年度とあまり変化はなく、頻出分野は「規則性」「数の性質」「場合の数」「速さ」「特殊算(割合と比をふくむ)」「平面図形」「立体図形」などである。
新スタイルになってまだ3年目なので問題の質は安定しない。2019年度だと、【大問2】が「場合の数」、【大問3】が「平面図形」、【大問4】が「速さ」で、【大問4】(1)まではいたって標準的なレベルであり、受験生たちも取り組みやすかっただろう。しかし2020年度は【大問2】や【大問3】【大問4】の後半の設問などに難度の上昇が見られ、2021年度は【大問4】に本格的な立体図形の切断問題にも出て、往年の「巣鴨の算数」にわずかながら近づいた感がある。
そのような難度変更も頭に置いて、出題されやすい分野をしぼり、攻略法を書いていくことにする。
「平面図形」は、相似形関連のものが中心で、相似の関係にある図形を使って辺や面積を求めるもの、「与えられた特殊な辺比を持つ三角形」を利用して問題にあたるものなどが見られる。本年度は2年続けて相似形は無縁な辺比を使う問題だったが、相似形のすぐ隣に住む問題で対策が無駄になることはなかったと思う。
往年の「立体図形」はラスボスとして【大問5】に君臨したわけだが2年続けて一行問題に顔を出す程度で、ショッカーの戦闘員のように軽く倒されたことだろう。しかし本年度は最後の大問として立体図形の切断がついに出題され、その難易度も高かった。まだまだ油断できない分野である。
「場合の数」「規則性」などでは、問題自体の難易度というよりは細かい作業を要求されることが多いので、ここは一発公式使って~みたいな態度だけでなく、ひとつひとつ数え上げていくようなていねいなもののあつかいもできるように準備しておこう。
次に、おおよその「時間配分」だが、一行問題集を除くとどの問題も10分はかけられる。まだ路線が変更されたので一概には言えないがこの3年間並みの難易度で推移するとすると10分は十分な時間である。じっくり腰を据えて解いても時間に余裕は持てるだろう。まさかの難問に遭遇したときには「見切る」時間に気をつけよう。3・4分考えていい解法が浮かばなければ前に戻って見直しをした方がよい。
設問数は15問前後である。このうち、10~12問を目安に正解できる力をつけてテストに臨みたい。スタイルは変わったものの難易度に大きな変動があったわけではないので、普段の勉強の中で同水準の問題にどの程度あたれているかを客観的に判断すれば、ある程度の点数も推察できる。また、2018年度以前の過去問にもしっかりあたり、出やすい分野の問題にはしっかり対応できるように腕を磨いておこう。
以上、「巣鴨」の入試問題対策についてまとめてみた。2月本番、一問目から出せる力を存分に発揮し,合格できることを臨んでやまない。
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2021年度「巣鴨中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
一昨年度(2019年度)から変更されたテスト形式が3年続けて継続されていて、【大問1】には一行問題が6題、【大問2】~【大問4】は設問数が複数ある大問である。今後もこの形式が続くものと思われる。問題の分量から見て、時間は50分あれば十分に間に合う。前半の【大問1】を20分以内に消化し、後半の大問にそれぞれ10分ずつあてればよい。後半の大問は設問によって難易度の差があるので少なくても前半の設問は正解し得点を積み上げていきたい。
【大問1】一行問題集
- 難度:易
- 時間配分:18分
- ★必答問題
(1)本年度の【大問1】では結果的にこの(1)がいちばん質が高かった。仕入れ値、商品の個数をそれぞれ1とおいて式を立てて解く。式の展開が苦手な生徒には少しやっかいな問題となったが、通常の学習レベルで十分解ける内容ではある。
(2)食塩の重さを中心に考えても良いが、食塩水の重さが変わらないので、濃度が10分の6、すなわち5分の3に変わっていくのを使っても良いだろう。
(3)3種類の鶴亀算で、100円と150円のペンを平均して1つにまとめるのだがあまりにも基本的すぎ。
(4)10=2×5なので、5で何回割り切れるかを調べれば良い。受験前に何回も何回も解いた問題だろう…
(5)差集め算としては、「下の中」くらいの問題。こどもの数が1人増えなかった場合、11個ずつ配って何個余るか、と条件をまとめれば良い。
(6)長方形の紙を折り返すことによって、3つの直角三角形が相似の関係になっている。そのうち、三角形ARPの編の長さはすべて求まり、その結果辺の比が3:4:5になっているので、それを他の2つの三角形にも使う。
本年度は特に典型的問題が目立った。全問正解が求められる。
【大問2】流水算
- 難度:標準
- 時間配分:10分
設問のレベルで言えば【大問3】【大問4】の後半の方が高いのだろうが、この流水算は(1)が解けないと全滅するしかない分だけ、はじめでつまずくとおそろしく点差がついてしまう問題で、ある意味恐ろしい。
(1)流速が変わっても、上りと下りの船の速さの和は「静水時の速さの2倍」になることを理解していれば、予定と同じ42分後に出会うことが分かる。つまり、計算不要、答えは書いてあるわけだ。
(2)川の流れの速さが1.2倍になって下りの速さが動いた距離が210m長くなったので、これを42分で割ると川の速さが速くなった分(1.2-1=0.2)が求められる。川の流れの速さが求められれば、下りの速さ・上りの速さどれもすぐ答えることが出来る。
(3)は(2)で得られた数値を使えばこれもまたすぐに求められる。
やはり(1)次第なのだ。
【大問3】光の反射
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
上位校ではよく出題される、光(ここではレーザー光線)が反射板に当たったときに、光が入ってくる角度と出ていく角度が同じになることを使って解くという問題で、この手の問題の中では「標準」レベルと言えよう。
(1)は結果として反射する回数が少なくなるので図3の中に反射する光の道すじを書いていっても良いがこの設問から展開図解法をとっても良い。今では展開図による解法も、基本とは言わないが多くの受験生が学んでいる標準的な解き方だろう。まして巣鴨を受験する生徒であれば触れたことがない受験生はいないだろう。
(2)図4は、展開図による解法を行わないと答えが求められない。始めにある図4の正方形ABCDを含めて、正方形を全部で5つ作図すると図が完成する。そして光が出ていった60度の角に注目すると、大きな直角三角形の辺の比(2:1)から進んだ距離を求めることが出来るようになっている。
(3)は5回反射してB地点に当たったというところから、同じく展開図を書き連ねていくことになる。5回反射しているので、始めに正方形ABCDを含め全部で6つの正方形を書いていって図が完成する。ただここではそれで終わりではなくて、それを改めて解答用紙にある1つの正方形の中に書き直さなくてはならない。5回の反射回、作図の難しさから(3)は手強い設問と言えよう。(2)まではしっかりと正解したい。
【大問4】立体図形の切断
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
復活した立体図形、しかも切断の問題と言うことでどこまで解けるか、算数の力が試される問題だ。(2)は難易度が高いので仕方がないにしても、立方体が1つだけの(1)の3つの問いに答えられれば良しとしよう。
(1)まずは切断面の作図である。AP、PQは問題ないとして、Qの先は正方形BCGFの辺FGに到達し、正方形EFGHの辺EFまで届くことがわかる。そしてPQに並行になるようにAからEFまで伸びる線につながる。このことから、切断面は五角形になり、与えられた図にはない、切断面を書き込んだことで初めて現れるFSやFRの長さを求めるのが問題だ。それぞれ三角形を延長して相似の辺の比を利用すれば解ける。次に③、「点Cをふくむ立体の体積」だがこちらはさきほど延長した線などを結んでできる大きな三角すいから、延長した部分のよけいな体積(小さな三角すい2つ。大きさは異なる)を引いて求めることになる。受験勉強の間にも触れたことがある解法だろうがやはり難度は高いので正解できれば賞賛に値する。
(2)こちらは本年度の最難関問題なので、(1)が余裕で解けた生徒はさらに進めば良い。切断面を作図してから計算に取りかかるという順序は同じだがQのあたりでできあがる立体にくぼみが生じる。ここをうまく処理できれば思ったほどには複雑ではない。これを克服できれば満点も夢ではない。
攻略のポイント
新テスト形式3年目、【大問1】は変わらず典型題の集合で本年度は特に顕著、【大問2】以降の難易度は標準的かそれ以上のレベルである。また【大問4】には本格的な立体図形の切断が復活しており、今後も注意を要する。
4科目の合格最低点から見て、算数では70点を目指して勉強を進めれば良い。上記の【大問1】【大問2】は全問正解、【大問3】は(1)・(2)、【大問4】も(1)は正解しておきたい。そのためには、やはり基本~やや難易度の高い問題を確実に解ける学力が必要だ。そのための勉強法を下に記す。
・塾の教材や市販の問題集などでは標準問題を中心に勉強し,典型題の解き方を定着させるとともに,やや難しめの問題にもチャレンジして難問への耐性も身につけておく。
・問題を解くための技術(式・作図・グラフの作成など)を書かされる学校なので、答えを出すだけのような速読即解の練習だけでなく、少し時間がかかってもいいから記述式の解答になれておくこと。
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