白百合学園中学校 入試対策
2021年度「白百合学園中学校の国語」
攻略のための学習方法
分析
読解問題は、例年、文学的文章と説明的文章の2題が出題されている。文章量はそれほど長くはなく読みやすい文量である。
記述式問題が大きな比重を占めている。50字から80字程度の記述問題を中心に、数題出題され、字数指定がない場合もある。記述対策が必要である。
また、読解問題の中に言語事項の問題が含まれている。幅広く出されるので言葉の知識関連全般は、ひととおりでよいのでしっかり覚えておく。
素材文は、受験生に近い年齢設定・理解しやすい題材を使ったものが多い。読みやすいと感じた受験生も多かったのではないだろうか。物語文は学童・学生などを主人公にした設定が多い。説明的文章は文化論・人生論・科学など、題材は多彩である。説明的文章の読み方の基本をしっかりおさえて、記述問題を含め、できる限り得点してほしい。
素材文の総字数は、5000~6000字程度のことが多い。上位難関校として、多い字数ではない。
ただし、制限時間が短く、記述問題が複数出題されているため、スピードが必要になる。文章は、10分程度以内に読み終えたい。
記述
記述問題もさまざまな内容で出題されている。
説明的文章は文章中に書かれた内容をまとめることで対処できそうなものが多いが、文学的文章は心情や行動の理由などを文脈から考えて自分で答えなければならない問題が多いので難しい。
読解記述の基本の型をおさえた上で、高度な類推が必要な記述問題にも取り組んで、対策を進めていきたい。特に、女子校の試験ということもあり、文学的文章の問題での得点が合否の分かれ目になることが予想されるので、小説の読解と記述対策には十分力を注いでいただきたい。
雙葉中、桜蔭中の記述問題や、学習院女子中、鴎友中の記述問題も、練習として役立つであろう。
知識
語句問題、漢字問題は、例年、必ず出題がある。
年度によって、独立問題、読解問題の小設問、という違いはある。ただし、どのような形式であっても、語句・漢字が出題されるということはおさえておきたい。
語句に関して特に、ことわざ・慣用句・四字熟語・和語など、それほどの難問ではないので、中級レベルの教材を一冊しっかり仕上げておきたい。
漢字に関しては、学習している漢字テキストを確実にマスターしておこう。
過去問演習
過去問で記述問題の字数や設問の種類などに十分慣れておきたい。
40分という制限時間内で最後まで手をつけられるように効率よく解くこつをつかもう。まず解答用紙・問題用紙の全体に目を通し、内容を簡単に確認しておおまかな作戦を立てられると楽である。
記述問題も空欄をつくらず、部分点をかせげるように。
漢字問題は、素早く終わらせる。ただし、表記のていねいさは意識して不用意な減点を受けないようにしよう。
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2021年度「白百合学園中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
小説3600字・論説文2400字で計6000字ほどの文量で総解答数は22問と、例年通りである。
問題数が少なめで記述問題に時間をかけられる形である。選択肢問題などを早めに済ませて、記述問題をしっかり考え得点をあげたいところである。1分600~700字の速度で読めるよう練習しよう。
【大問一】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
- ★必答問題
自立型の技術の進歩で人は孤立し、共生という豊かさを失ってしまった。これからは自立型共生という新たなパラダイムが模索されることが重要だと筆者は主張している。
問一 a. 対策 b. 結構 c. 延長 d. 前提
問二 冷熱源が二つできて挟まれたところでは温度差によって空気の流れができる。この空気の移動を「呼吸」に例えているのである。
問三 問二とも関連して、空気の流れがなぜ滞ってしまったのかを考える。「冷熱源をつないでいた緑や川がどんどんなくなってきているから」、また「高層マンションなどが建ち並んだことによって」「風の行き先がなくなってしまった」とあるので、この二点をまとめる。
問四 (1) 現代は「自立型孤立」のパラダイムなので、選択肢エとカが合う。
(2) 「技術の進化」によってパラダイムが一気に変わった、と書かれている。
問五 段落冒頭に「自立可能な技術」が「孤立した住環境を作る」とあり、現代の都市問題はほとんど「この枠組み」にあるのだと述べている。この冒頭部分を前段落の最後で「自立型孤立というパラダイム」と書いており、記号(「」)も含めてちょうど字数になる。
問六 ここで言う「豊かさ」とは、「外の環境・外との関係性」の豊かさである。それは「濃厚な人間関係・地域のコミュニティ」という「関係という価値」であることが少し前の段落で述べられており、つまりは「共生関係の豊かさ」であると考えられる。隣人や環境と共生し、社会的弱者が孤立しないような地域の結びつきを「豊かさ」と言っているのである。
問七 「自立型の技術」が追求されていくことは避けられないこととして、同時に「孤立しあっている状況をいかに共生という方向にもっていけるか」が大事だと述べている。「自立型共生」という新たなパラダイムを模索するべきだと筆者は主張しているのである。
【大問2】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:18分
父が世話になっている古書店で、この世に一冊しか存在しない幻の本を見つけてしまった主人公。その価値に気づけなかった古書店の店主は失踪してしまい、主人公の父は責任を感じて自らの夢をあきらめてしまう。
問一 文中では何回か『獄記』と略して述べられているが、最後部で『獄にありて思ふの記』という正式な書名が記されている。
問二 ぞんざい――物事をいいかげんにするさま。なげやりな態度。
問三 「目利き」は物の価値を見極める能力が高いこと。本田翁の本の鑑定能力の高さが古書の世界では知らぬ者はいないくらいであった、ということであろう。
問四 文章の最後部に「瀬名垣は父親のためにと思った。父は責任を感じ、夢を捨てた」とある。本田翁に憧れて古書の仕事をしている父親のために稀覯本である『獄記』をもらおうとしたのだと考えられる。「~翁」は老人の敬称、「稀覯本」は世間に流布することが希な価値の高い書物。
問五 『獄記』という本の希少価値に気づけたことは主人公にとっても誇らしかったのである。
問六 十二歳の少年が『獄記』という稀覯本の存在を見抜いた。古書店を扱う者として目にしていながらその価値に気づけなかった本田は、自分の鑑定眼に自信を失い店を出てしまったのである。
問七 自分が世話になっている古書店で、手伝っていた自分の息子が世にも希な稀覯本を見つけ出してしまった。それは店主の自尊心を失わせ、その父親であり自らが尊敬し世話にもなっている本田翁に「恩をあだで返す」ような事態となってしまった。そうした事態に父として責任を感じているのである。その結果、父も自分の夢をあきらめ古書店を辞めている。主人公の発見は本田と父の二人をある意味で不幸にしてしまったのである(父は息子の発見を誇らしく思っているようなので、100%の不幸とは言えない面がある)。
問八 Ⅰ. 息子の無念を親として察しているのであろうから、「肩を落とす」。
Ⅱ. 発見者として息子の名を公表することを断った→「首を縦に振らなかった」。
問九 問七「 」部分を参照。
攻略のポイント
合格者平均点が高く、70点ほどにもなる。漢字・語句がすべて正解・記述部分の得点が5割・各大設問の選択式問題の誤答が二つ以内程度、これくらいの得点でおよそ合格者平均点に達すると思われるので、この程度の正答率を目指したい。
素材文を読む時間は10分~12分程度に納め、残りの時間を解く時間にあてたい。
記述問題は規定の字数=9割を目標に埋めて、完璧でなくてもよいので部分点をねらう。
誤字脱字は減点される。文字は、急ぎながらも正確にていねいに書く。
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