成蹊高等学校 入試対策
2021年度「成蹊高等学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問3つに論説文・小説・古文の3題が割り当てられるのが定例となっている。
文章量は2題合わせて8000~10000字ほど。問題数は30問前後。
問題量ではおおよそ論説文5割・小説3割・古文2割といった割合で、論説文に重点が置かれている。
設問形式は長・短合わせた記述問題が3~4割を占め、次いで記号選択、書き抜きの順で多い。漢字は例年、4~5問の出題。
論説文の読解
問題量も多く比重が大きいので、ぜひ得意分野にしておきたい。
使われる素材文は、受験生の年齢を考慮した適度な難しさのものが多い。記述問題が多いが、自分の考えを述べるようなものではなく、文中から適切な部分を抽出してうまくまとめれば答えられるオーソドックスな問題になっている。字数指定は無いが、おおむね30字~60字程度でまとめられる文量である。読解力があれば得点を狙えるので、しっかり答えて点を積み上げたい。
まずは論説文読解の基本を身につける。
形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容をおおおまかにまとめて小見出しをつけておくと段落ごとの関係・つながりもわかりやすくなる。
要点と細部の区別。段落の最初と最後に注意して、要点に傍線を引くなど、目立つようにしておく。要旨と要約。要点を結んで全体を要約する。記述問題の答え・ヒントは多くはこの部分にあるだろう。読解問題を多くこなし、決められた字数でまとめる練習を積んでおこう。
小説の読解
こちらの分野も、主人公を小学生~中学生に設定した物語が多く、心情を理解しやすい話になっている。無理に大人向けの難解な小説を想定する必要はないので、中学生~高校生向け程度の文章で練習すれば良いだろう。記述問題も物語を丁寧に読み取れていれば、本文中に解答の手がかりがあるものがほとんどである。小説文の読解の基本力をつけておきたい。
まずは場面分け。時間・場所・登場人物などから場面の変化をマークする。登場人物の言動・情景などをヒントにその心情を読み取る。気持ちの変化があった部分は特に注意する。予断なく、文中に書かれていることを手がかりに正確に考えたい。そして、全体としての主題を考える。誰のどんな気持ちを描きたかった話なのか。記述問題で訊かれることの多い部分である。
記述問題
記述問題の多さから、この種の問題を苦手とする生徒は重いテストだと感じてしまうかもしれない。しかし、「自分の考えを述べよ」「自分の言葉で答えよ」といった小論文タイプの問題ではなく、文中から答えやヒントを探すタイプの問題である。字数も30字から60字程度とさほど長文でもない。読解力があれば点を稼げるのだから、なるべく減点されないような整った記述が書けるよう、同じような字数の類似問題でよく練習しておこう。
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2021年度「成蹊高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
現代文2題で合わせて11000字ほどに、古文600字ほどが加わる。総解答数は28問。そのうち、記述問題は1~2行ほどのものが計9問。時間は60分あるが、記述9問にはやはり時間がかかる。30~60字ほどで形良く素早くまとめる訓練を積んでおく。文中からヒントや答えを得られるものが多いので、傍線などで効率よく答えを探せるようにしておくと、時間のロスを防げる。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:22分
哲学が探求する「意味の世界」が、科学が探求する「事実の世界」に原理的に先立つものであることを説明している。
問一 ① 突如――何の前触れもなく物事が起こるようす。
② 大胆――度胸が据わっていること。
③ 分泌――細胞が代謝物質や産物を排出すること。
⑤ 極端――普通の程度から大きく外れ、隔たっていること。
問二 自然哲学者という文字通りに、「自然はいったいどういうメカニズムで動いているのか」を明らかにしようとした(第一段落)。
問三 傍線2の「それ」は、前段落の「満足な実験道具も技術も持たずに″考えること″によって謎に取り組んだ」ことを指している。
問四 それまでの哲学の目が向けられていた自然や世界ではなく、″人間自身″を考えるようになった。″外″から″内″へと目を向ける問いが、世界で同時期に現れたことを「大革命」と表現している。
問五 「アンテナ」であることを示す内容にする。人間にとっての意味を「探知する」意識、など。
問六 「客観的な真理」であるからAは「事実」、Bが「意味」。「意味の世界」は「事実の世界」に先立つという文章の主題から、Cは「意味」、Dは「事実」が入れられる。
問七 それぞれの科学者で「恋」のとらえ方はさまざまなので、「そもそも恋って何なのか?」という″意味″の本質に向き合わないと混乱が生じるのである。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:25分
小学校時代の運動大会での失敗を大人になっても引きずっていた主人公は、同窓会で他の級友や奥山の話を聞いて、心の重荷を下ろすことができた。
問一 「目を見ない」のはやましいことがあったり、相手に気を遣っていたりする時である。ここでは、主人公が自分のせいで負けたと未だに気にしているかもしれないこと、転倒して負けたことについて主人公のせいだとする意見もあったこと、などから本人に話しづらく感じている。
問二 A. 「はっきりしない内田」に代わって、しびれを切らしたあっちんが話したのであろう。
B. 「水を打ったように」は、その場の大勢が静まりかえる様子。
問三 負けたのは自分のせいだという思い込みを抱えて、長い年月が経ってしまったのである。
問四 大会当日はテレビによる撮影が入り芸能人も来ていたようである。大人になった今では、負けて泣いた悔しさなどの実感は薄れ、テレビに映るという貴重な体験が強く記憶に残って全体として楽しい思い出になっていることが内田やあっちんの様子から読み取れる。文中の「昇華」という言葉が的確な表現であるので使いたい。
問六 「地べたに転がる私を無表情に見下ろしていた奥山君」とある。当時の主人公はそんな奥山の様子を、転んでしまった自分への非難・軽蔑と受け止めたようで、奥山の話でその時の気持ちを思い出しているのである。しかし実際は奥山が手に汗をかきやすい体質を恥じていただけなのであった。
問七 奥山は自分が手汗を気にしたせいで主人公が転倒し、試合に負けたと長年思っていた。奥山と主人公はともに自分のせいで負けてしまったという自責の念を感じ、心の負担を抱えたままこの同窓会の日までを生きてきたのである。
【大問三】古文の読解
- 時間配分:13分
離れて暮らす娘に関係する不吉な夢を見た老母が、娘の身を案じて熱心に読経をしたところ、不思議な出来事により娘が難を逃れた。
問一 a. 「妻の母」で、「妻」は役人と結婚した娘のことであるから、「母」は長母である。
b. 夫の赴任先の館で自分は屋内にいて二人の子供が庭で遊んでいるという場面なので、この「母」は女(むすめ)である。
問二 女(むすめ)に関わる縁起の悪い夢を繰り返し見ている。
問三 庭で遊んでいた子どもたちが「屋根の上で七人のお坊さんが経を読んでいる」といい経を読む声も聞こえたので女(むすめ)が外に出たところ、それまでいた館の壁が倒れてきた。七人の僧はどこにもいない。天地が助けてくれて「壁の下敷きにならずに済んだ」と女(むすめ)は思った。
問四 前半は土(くに)に残った長母が娘の不吉な夢を見てお経をあげる場面、後半は赴任先の女(むすめ)に起こった不思議な出来事の場面である。
問五 女(むすめ)に起こる事故を予見し仏に祈りを捧げた長母。その願いが通じ、まぼろしの七人の僧が出現し女(むすめ)が事故から逃れるきっかけになったのである。
攻略のポイント
問題数も配点も多い記述問題は、苦手だからと避けるわけにはいかない。
さいわい、難易度的にも文字数的にも難問というほどではない。字数制限が無いので適切にまとめるのにコツが要るが、類似問題を多くこなして慣れておけば得点を稼げるだろう。
素材文も総計9000字程はあると予想して、スピードを意識して練習しておこう。古文も高校レベルの問題が出るので、中学校で習ったレベルで終わるのではなく、高校初級程度の学習で力をつけておきたい。