青山学院横浜英和中学校 入試対策
2020年度「青山学院横浜英和中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は5つ。大問1・2が漢字の読み書きや熟語・慣用句など、大問3が文章を並べ替える文脈の問題、大問4が説明的文章の読解、大問5が文学的文章の読解、というのがここ数年の定型となっている。
説明的文章約3700字・文学的文章約7200字の計11000字ほどの文量(2020年度)があり、これに並べ替えの700字ほども加わるので、速読が求められる。
問題数は35問ほど。選択肢と書き抜きが中心で、記述問題は2~3問、説明的文章・文学的文章どちらの分野でも出題されている。字数は20~80字ほどの指定があるが、マス目が無い問題では多少の増減は許される。
[説明的文章の読解]
論説的随筆文や説明文がよく用いられている。分野は人文科学や社会科学が多い。内容はそれほど難解なものではないが、約3700字(2020年度)あり抜き出す箇所や要点・要旨を探すのにも範囲が広い。読解を進めながら重要点や答えになりそうな部分に目星をつけて傍線を引いておくなど、手際よく正解を見つける工夫が必要である。
論説的文章の読解のこつをつかんでおこう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
[文学的文章の読解]
小説の出題が多い。主人公が小学生~高校生くらいに設定されている話がよく用いられており、受験生にもなじみのある舞台が描かれ、読みやすい内容になっている。
7000~9000字ほどもある本文は、場面の切り替えも多く読み取るべき人物の動きや心情も多くなる。素早く正確に読めるように、普段から読書量をなるべく多くするよう意識したい。
小説の読解の技術を高めておこう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
[文脈の問題]
ばらばらにした文章を正しく並べ替える問題が出されている。素材文は700~800字ほどあり、ここも文量に含める必要がある。文章の論理的な流れを読み取る能力を問うもので、題材として説明文が多く使われている。論理的な文章を多く読んで、文脈のつながりをよく見ておこう。
[文量]
素材文が15000~16000字にもなる場合がある。かなりの速さになるが、分速700字程度で見落としなく正確に読めるように練習しよう。
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2020年度「青山学院横浜英和中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は36問。読解問題では25問あるが、選択肢と書き抜きにそれほど時間は取られないだろう。やはり長文をいかにすばやく読み終えるかが大事になる。記述問題に少しでも多く時間を残せるよう、ペース配分に慣れておきたい。
【大問1】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:1分
- ★必答問題
1. 枚挙――1つ1つ数え上げること。
2. 予見――物事が起こる前にその事を見通すこと。
4. かんか――見えているのに放っておくこと。見逃すこと。
5. ぎょうそう――顔つき。特に激しい感情が現れた表情。
【大問2】ことばの知識
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
問一 正当な理由。
問二 1. 「やおら」はゆっくりとした動きを表すので、ウは×。
2. 和歌は「首」で数えるので、イが×。
問三 1. しっぺ返し――仕返し・逆襲。
2. つじつま――合うべき道理。
【大問3】文脈の理解
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
言葉選びはオシャレに似ているところがある→人は服装をチェックして相手を判断する(ウ)→言葉にもそうした側面があり、相手の話し方で判断している(オ)→自分も判断されており、言葉を選ぶことは一定の効果がある(イ)→ただ、特定の言葉遣いが相手に好かれるとは限らない(ア)→また、言葉遣いは服装以上に意識が及ばないところが多い(エ)、とつながる。
【大問4】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
学問・研究はまず対象を具体的に知るところから始めるのが本来であり、わかったような気になって生き物や環境をコントロールできるなどと考えるのは傲慢である。生物の進化に上下はなく、生き物はいろいろあってすべてよい(生物多様性)のだと述べている。
問一 「人間には自然を破壊することはできてもコントロールすることはできない。」と「自然をいじってダメにすることはできるけれども操ることはできない。」の二か所が考えられるが、前者は「ぼくはそう思っている」が直後にあってつなげにくいので、後者を正解としたほうがよい。
問二 ① 「同じ地平でつながっている」だから研究するのはいいのだが「しかし」最近は環境という考えが入りすぎているのははたしていいのだろうか。
⑥ 祖先が外骨格の動物だった「すると」食道が頭の中を通ることになる。
問三 まずねこそのものを調べるのが先だと言いたいのであるから、数行前の「猫はどんな動物か、犬とどう違うのかを具体的に知ること」が合う。
問五 化石燃料が大きな要因の一つではあるが、気候変動は太古の昔から起こっている複雑な自然現象で、人間がすべてを理解しコントロールすることなどとても無理なのである。
問六 ア・イ・ウは同じ内容であり、エだけ逆の認識である。
問七 (1)・(2) 祖先が体節を重ねる外骨格の動物で、構造上食道が頭の中を通ることになり脳を発達させると食道にしわ寄せがいくので、「液状のエサを摂る」ことになった。
問八 学問などは「追究」を使うので、イの「究明」が同じである。
問九 最後部で筆者の考える生物多様性の定義が示されている。
問十 筆者自身は「広く深く、静かなものの見方」ができるようになったと述べているが、「知識」とは言っていないので、選択肢エは選ばない。
【大問5】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
新米のピアノ調律士である主人公は、ある双子の姉妹の家を訪れて、調律という仕事の奥深さとやりがいを感じる。
問一 世界のあらゆるところに音楽が溶けていて、ピアノがそれを形にする。ピアノがあちこちに溶けている美しさを掬い上げられるよう世界とつながれるよう、調律士は作業する……など、直後で語られていることから考えられる。
問二 ② ほんの数音弾いただけなので、聞かれたことに「律儀に」応えただけだろうと感じられた。
③ 姉のピアノを「静謐」と表現しているので、ウが合う。
④ 「すみません」と恐縮している感じなので「殊勝」が合う。
問三 妹(顧客)の要望に沿うのは当然なのだが、「明るく」調律したのでは姉の音には合わないのではないかと主人公は心配しており、その点を柳に聞いている。しかし柳は妹の音について聞かれたのだと思っている。
問四 「きっちり弾けてたが、それだけで面白みがなかった」という言い方をしているので、選択肢エが合う。
問五 ここで主人公が悩んでいるのは姉の音についてである。自分には「情熱的で静かな音」と「特別」に聞こえたが、柳は「普通」だと言う。ピアノの経験が無く、初めて聴いた親(姉)の音にわけもわからず感動してしまう雛(主人公)のようなものなのかと、自問しているのである。
問六 「音楽とも呼べないかもしれない音の連なり」は、姉が最初に試しで弾いたほんの数音のことを指している。「それ」を聴いて主人公は「でも、僕は(思わず椅子から腰を浮かせた)」。
問七 もともと妹のピアノには勢いと彩りがあった。それ以上に明るい音が必要なのだろうかと考えたときに、明るい音が必要なのは「妹」ではないのだと気づいた。妹は「自分(妹)」の音も「姉」の音も知っていて、静かなピアノを際立たせる明るい音を「姉」のために望んだのではないか、と。
問八 姉は調律の最終決定を妹に任せ、妹は姉のピアノを引き立たせるために明るい音を求めた。互いを思いあう姉妹の心のつながりに主人公は感動したのである。
問十 問七参照。
問十一 イ. 弾きこまれていない狂いの少ないピアノは、調律が楽かもしれないがやりがいも少ないと言っていることと合う。
ウ. 姉のピアノを「情熱的で静かな音」と評しているので、合う。
攻略のポイント
本校のように本文の文量が多い場合、読むのに時間がかかり過ぎて本来わかったはずの問題を解く時間が足りなくなってしまった、という事態は避けたいところである。速読は訓練で上達できる技術なので、早めに対応を進めておこう。
また、読解の技術として、ポイントになる部分をすばやく見つけられるようにしておくことも大事なので、要点や重要部分をマークするコツをつかんでおきたい。
言語事項も一定の配点を占めるので、基本的なレベルでよいのでひととおりは頭にいれておこう。
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