中央大学杉並高等学校 入試対策
2020年度「中央大学杉並高等学校の国語」
攻略のための学習方法
要約
中杉の「要約問題」や「基本的記述力」の対策は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことは、「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 当然、「練習問題」や「過去問」の問題文の「要約」だ。80~100字程度で書いてみる(中杉の典型的な「要約」の練習になる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。
「要約力」は文章の「文章理解力」にもつながるので一挙両得。その際に必要なのは「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。
20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「要約問題」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
様々な「読解問題」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵する文字数の問題文を読まなくてはならない。
「現代文」全体で5500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中杉に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。
練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中杉の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。
しかしながら、私立の「高校入試」では「本格的な古文」が出題される。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。
最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。
そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2020年度「中央大学杉並高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「漢字の読み書き」(「書きとり」6問、「読み」2問。7つの「文章」からの出題。文字数約670字)。小問なし(解答数8)。2分程度で終えたい。
大問二は「情報の整理」。小問は全2問(解答数2)。「選択肢」のみ(「グラフ」および「変化内容説明」)。3分強で解きたい。
大問三は「古文」、出典は武内確斎「絵本太閤記」(文字数約450字)。小問は全4問(解答数4)。「選択肢」のみ(「不適切」あり)。7~8分で解きたい。
大問四は「論説文」、出典は本校作成(文字数約1100字)。「要約記述」のみ(「80~100字以内」指定)。問題文は1分半程度で読み切り、設問を10数分でまとめたい。
大問五も「論説文」、出典は鈴木謙介「未来を生きるスキル」(文字数約3600字)。小問は全8問(解答数10)。「選択肢」(「不適切」、「本文内容非合致」あり)、「抜き出し」(「空所補充」のみ)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を20分ほどで解きたい。
【大問一】
- 時間配分:2分
「漢字の読み書き」(全8問/「書きとり」6問・「読み」2問)。「日本国憲法前文」(5年連続での「日本国憲法」からの出題。もはや必須だ)/石川啄木「一握の砂」/夏目漱石「坊っちゃん」/宮澤賢治「銀河鉄道の夜」/六車由実「驚きの介護民俗学」/橋本治「日本の行く道」/2019年の「新聞記事」、各出典からの出題。本年度も昨年度同様にハードルが高く、「全問正解」は厳しいかも。それでも、失点は最小限にしたい。確認する。
「日本国憲法前文」から(a)「再び戦争のサンカが起こることのないよう」=「惨禍」⇒厄介だ。
「一握の砂」から(b)「今はマジメにはたらき」=「真面目」⇒漢字で記したことはあるか?
「坊っちゃん」から(c)「親ユズり」=「譲(り)」⇒「細部」を丁寧に/(d)「ソンばかりしている」=「損」⇒これはひと安心。
「銀河鉄道の夜」から(e)「力がワくように」=「湧(く)」⇒「同訓異字」に要注意、「沸(く)」ではない。
「驚きの介護民俗学」から(f)「社会のリフジンさ」=「理不尽」⇒「道理に合わない」という意味も押さえておくこと。
「日本の行く道」から(g)「牛車が廃れた」=「すた(れた)」⇒これは定番。
「新聞記事」から(h)「風和らぐ」=「やわ(らぐ)」⇒出来て当然。
本校の求めている「語彙力」はハイパーなので、確実に「語彙力」を磨いておきたい。尚、「日本国憲法条文」は本校志望者にとって「必修アイテム」だと心得よ。
【大問二】
- 時間配分:3分強
「情報の整理」。2021年度から導入される「大学入学共通テスト」(「センター試験」の後継)で出題されるようになる「実用的な文章」の読解を意識した設問内容になっている。「文章の統計資料→グラフ表示」と「数値の変化の文章説明正誤判別」という2つの小問だ。1問だけ確認する。
[問1] 「文字資料からグラフへの変換選択肢」(5択)。示されている「男子高校生の競技別加盟人数の上位十五位のうち、23パーセントは球技以外の競技である。球技以外の競技のうち、もっとも加盟人数の多いのが陸上競技で、およそ39パーセントを占める」という説明を表す「円グラフ」を答える。さて、どう考えるか? 「円グラフ」は当然、全体(360度)で「100%」だ。「文字資料」で全体を説明しているのは「23パーセントは球技以外の競技」、つまり、「球技」が「77%」ということだ。であれば、「答え」は(イ)以外にはない。念のために「文字資料」でもうひとつ示されている数値を確認する。「球技以外では陸上競技がおよそ39パーセント」⇒「23%」×「39%」=全体の「8.97%」で(イ)の「9%」と合致しているのでOKだ。未知の問題であっても、冷静に解き進めていけばいいというわけだ。
<時間配分目安:1分>
※尚、[問2]は2枚の「コンビニの領収書」という「数値の表」の「文章説明」を「正誤判別」する問題なので、正確に「数字」を読み取り、各選択肢内容と照合すればいい。
【大問三】
- 時間配分:7~8分
江戸時代中期の「読本」(伝奇風小説)。戯作者である作者が挿絵師の岡田玉山と組んで出版した作品。豊臣秀吉の生涯を描いた「川角太閤記」を原案としている。現在、豊臣秀吉の事績として伝わる逸話の多くは本作品によるところが大きいと考えられている。本文はそうした逸話のひとつ。「近世」の文章であり、典型的な「古文」である「中世」のものよりは読みやすい。しかも、例年よりも小問数が少なく、難易度もさほど高くない。短時間で得点を重ねたい大問だ。以下、2問だけ検討してみよう。
[問1] 「理由説明の選択肢」(5択)。傍線部(1)「秀吉公御感ありて」について、「秀吉はなぜ曽呂利の歌に感心したのか」を答える。「曽呂利」の歌は直前に「御秘蔵の常盤(ときは)の松は枯れにけり 己(おの)が齢(よはひ)を君にゆずりて」とある。細部は別にして、ざっくりと「常盤の松は自らの年齢(寿命)をあなたに譲って枯れてしまったなあ」という歌意はつかめるはずだ。そして、この歌の前には「ご寵愛の松の樹枯れたりしを、秀吉公心よからず思(おぼ)し召しつるを」と説明されている。ここも、なんとなく「とても愛していた松の樹が枯れてしまったのを、秀吉公が不愉快に思ったことを」と解釈できるに違いない。であれば、「答え」は(エ)の「松が枯れるという不吉なことを機転を利かせてめでたいことに変えたから」だと判別できる。ちなみに、「歌」の現代語訳は「とても大切で、(緑の葉が)永久の(はずの)松が枯れてしまった (松が)自分の寿命をあなた様(秀吉公)に譲ることで」となる。「文語文法」などの細部にこだわることと同様に、本問のようにアバウトに大意を捉えて「消去」することも肝要だと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問2] 「会話部分特定の選択肢」(4択)。本文中の「『 」で始まる「会話はどこで終わるか」を、(A)~(D)の中から答える。「古文」での「会話範囲」の特定では、格助詞の「と」に着目することがポイントだ(元来、「古文」では「 」といった記号は使われていない)。本問では「終了箇所」を問われているので、「と」の直前が「答え」のはずだが、(A)~(D)の全てに「と」がある。ダメだ。作戦変更。ここでの「会話」は「曽呂利」と「秀吉公」との間で交わされていることは明白で、「『 」から始まっている部分が「曽呂利」の言葉だということもすぐに読み取れる。ということは、どこかで「秀吉公」の「リアクション」なり「言葉」が出てきていれば、その直前が「曽呂利」の言葉の「終了箇所」になる。確認する。「……Bと申し上げければ、殿下可笑(おか)しく思し召し……」という箇所がある。現代語訳すると「……と申し上げたというところ、殿下(秀吉公)は面白く思いなされ……」であり、その直後に「……Cと仰せけるに」と「尊敬語」が用いられていることから「C」の直前はもう「秀吉公」の言葉だと判断できる。したがって、「答え」は(B)になる。「古文」では「会話主」が省略されることが多い。丁寧に現代語訳をして、「文脈」から特定することが求められる。尚、当然ながら「会話主の特定」も頻出問題となってくるので、要注意だ。
<時間配分目安:1分半>
【大問四】
- 時間配分:10数分
本校の伝統であり最大の特色である「要約問題」。「私たちの心の自由」と「文化研究」について論じている。どのように「要約」していくのかを考えながら、しっかりと読み解いていきたい。
[問] 「条件付き要約記述」(「80~100字以内」指定)。示されている文章を、「八十字以上百字以内」で「要約」する。「条件」は、①「三文で要約すること」/②「第二文の書き出しを『しかし』、第三文の書き出しを『つまり』で始めること」/③「解答欄の一マス目から書き始め、句読点も一字に数えること」。「条件」に基づいて構成していくことになる。先ずは、本文を概観する。6つの形式段落で構成されているが、「論説文」の基本である意味段落で捉えると、「1・2段落」が「序論部」、「3・4段落」が「本論部」、「5・6段落」が「結論部」だと判断できるはずだ。それぞれの要点を確認する。「序論部」では「私たちは何でも自由に考えることができると信じて生活しているが、私たちの心は本当に自由なのか」と問題提起し、「本論部」では具体例を挙げながら「実は文化が私たちの思い込みや心の形を、あらかじめ決めてしまっていて決して自由ではない」と展開した後、「結論部」で「文化を研究し、心の限界を知ることこそが、自由になることへの第一歩となるのである」と「論旨」をまとめていると読み取れる。以上を「要約」することになる。無論、「序論部」+「本論部」+「結論部」という「三文」にする。「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「私たちは何でも自由に考えることができると信じている。しかし、実は文化が私たちの思い込みや心の形をあらかじめ決めてしまっている。つまり、文化を研究し、心の限界を知ることこそが、自由への第一歩となるのだ。」(100字)といった「答え」になる。「条件」を的確に踏まえることが、「失点」「減点」を防ぐ最大のポイント。無論、「条件」は「ヒント」でもある。尚、「論説文」の「要約」は通常、「論旨」中心にまとめていくので、「序論部」+「結論部」+「本論部からの補足説明」といった構成が基本になるということは心得ておくこと。「要約(論述)問題」は本校の定番だ。しっかりと確実に練習しておくことが不可欠だ。
<時間配分目安:10分強>
【大問五】
- 時間配分:24分半
雇用、教育、家族……変化が読めない未来を生き抜くために必要なスキルとは――社会の変化は感じるが、どう対応したらいいのか? どうしようもない不安や不遇感に苛(さいな)まれている人たちへ「希望」を論じている。本文では、「これからの人間関係、とりわけ親密な関係」は「お互いがお互いであることだけの『純粋な関係性』」になると指摘し、今後「親密な関係」を持たない人が増えていく中で、「純粋な関係性」にどのように対処すべきかを論じ、「家族という協働プロジェクト」を提起している。難解な語句はなく内容は理解できるはずだ。「不適切」も含めた「選択肢設問」、「空所補充の語句抜き出し」などの小問が連なっている。いくつか検証する。
[問3] 「内容説明の空所補充語句抜き出し」(全2問/「5字」と「7字」指定)。傍線部(3)の「いま作られている家族は、戦後民主主義の延長線上にある民主化された家族のひとつの形態としてみることができます」について説明した文中の空所①・②に「当てはまる語句」を、「5字」と「7字」で抜き出して答える。示されている「説明文」は「『のび太くん家』のような家族は、家父長制などの戦前の ① 5字 を否定することによって生まれてきた。したがって、現代の『純粋な関係性』を結ぶ家族も、……、戦後の ② 7字 の系譜に連なっている」となっている。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。先ずは「内容」。①は「戦後の家族が生まれる背景となった、戦前の家父長制などの否定すべきもの」であり、②は「現代の家族が連なっている戦後の家族の系譜」だと読み取れるはずだ。「範囲」は「同一意味段落」(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。ここでは、傍線部の6段落前から傍線部の2段落後までになる。丁寧に探していくと、3段落目に「戦前の家父長制では、家長である父の絶対的権威を頂点にしたピラミッド」とあり、次段落でそのような「戦前の権威を否定して生まれたのが、戦後の民主的な核家族だった」と述べられている。空所部分の内容に合致し、「字数」もOKだ。念のために他の部分を確認しても相応しい言葉はない。したがって、「答え」は、①=「絶対的権威」/②=「民主的な核家族」になる。本校合格のひとつの鍵となる「抜き出し設問」、「内容」→「範囲」→「確認」と順序立てて解いていくことが肝要だ。また、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」の全てを探すことが重要。
<時間配分目安:全問で2分強>
[問4] 「内容説明選択肢」(5択)。傍線部(4)「ポジティブな意味がある」について、「どのようなところが『ポジティブ』なのか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここでは、「ポジティブ」の「原意」と、選択肢の「文末」とが結びつかないものを「消去」していく(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。確認する。(ア)「信頼を強めるところ」、(イ)「民主化をもたらすところ」、(ウ)「見直されるようになったところ」、(エ)「つながることができるところ」、(オ)「可能性が見出されるようになったところ」。内容的には全て、「積極的」という「ポジティブ」の「原意」と結びつく。よって、「消去」できない。残念。ちょっと待った。設問は「どのようなところが『ポジティブ』なのか」と「現在形」で問うているのに、(ウ)と(オ)はともに「~なった」と「過去形」で答えている。むろん、相応しくない。「消去」していい。これで「3択」だ。次なる「消去」の「手がかり」を「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)に求める。直前に「核家族をまたいだ関係性が広がることには」とある。したがって、「信頼」・「民主化」は「消去」で、「つながること」が残ると判別できるはず。「同一意味段落」を確認しても、他の部分の説明も特に誤ってはいない。よって、「答え」は(エ)だ。本問は「2段階消去」だったが、先ずは「原意消去」を試みることが肝要だ。
<時間配分目安:2分弱>
[問6] 「内容説明の不適切選択肢」(5択)。傍線部(6)「本質的な機能」について、「それに該当しないもの」を答える。先ずは「原意消去」。「機能」の「原意」と結びつかないものを「消去」する(本問では「消去」すべきものが「答え」)。選択肢の「文末」を確認する。(ア)「役割」/(イ)「能力」/(ウ)「働き」/(エ)「効能」/(オ)「作用」。全て「機能」と結びつくので、残念ながら「消去」できるものはない。そこで、「傍線部(空所部)一文一部の法則」で確認する。直前・直後は「家族が持つ本質的な機能を、すべて外部化できるのか?」という問題提起になっている。そして、「同一意味段落」を読み解くと、その答えとして「(お金や労働力のように)外部化することはできない」と述べられている。改めて、各選択肢内容をチェックする。全てが「家族」(=親密な関係)の説明ではあるが、(ア)だけに「市場化できる」という説明がある。明らかに不適切だ。よって、「答え」は(ア)だ。尚、「不適切選択肢設問」では細部にこだわり、より慎重に判別する必要があると心得よ。
<時間配分目安:2分>
[問7] 「換言説明選択肢」(5択)。傍線部(7)「『親密性格差』の問題から目を背けることができなくなっていく」について、「どういうことか」を答える。典型的な「換言説明」だ。無論、「原意消去」からで、「目を背けることができなくなっていく」の「原意」と、選択肢の「文末」とが結びつかないものを「消去」する。照合する。(ア)「求められるようになる、ということ」、(イ)「強められるようにする、ということ」、(ウ)「必要が生じる、ということ」、(エ)「必要に迫られる、ということ」、(オ)「考えなければならない、ということ」。さあ、厳密に「消去」できるだろうか? 「目を背けること」+「できなくなっていく」なのだから、「必要」+「迫られる」以外は「消去」だと判別できなくてはいけない。「同一意味段落」から他の部分の説明も特に誤ってはいないと分かる。したがって、「答え」は(エ)になる。華麗なる「一発消去」だ。改めて、「原意消去」の重要性を記銘したい。
<時間配分目安:1分以内>
攻略のポイント
- ●「要約(論述)問題」。本校では避けては通れない関門だ。いかに「攻略」するか? 「要約」の前提として当然、「記述力」を培う必要がある。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先度を把握し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるようにしたい。「要約」では「80~100字程度」の「字数指定」なので、4~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。「国語」の「合格ライン」は7割台半ばで(昨年度までの過去7年間の「合格者平均得点率」は76.3%。本年度は75.6%)、「英語」(同72.4%)、「数学」(同71.7%)と比べて高い。配点の大きい「要約(論述)問題」(本年度は10点)での「失点」や「減点」は合格を左右すると心得よ。
- ●本年度初出の「情報の整理」は、「大学入学共通テスト」で出題が予想される「実用的な文章」の読み取りだ。来年度の出題も予告されているので準備が欠かせない。また、昨年度出題された「文章構成」や「段落関係」を問う問題も新傾向なので対策が求められる。その際、参考書等は「大学入試用」のものがしっかりと解説されているのでお勧めだ。
- ●「総合的知識問題」も無論、侮れない。 「高度な語彙力」だけではなく、「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは不十分なので、「独習」は欠かせない。
- ●その他の問題にはどう対処するか? いかに、「解法」を的確に用いるかがポイント。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが重要だ。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得し、的確に応用できるようにすること。それによって、「得点力」が安定する。
- ●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。
- ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」だけで4000字以上(本年度は約4700字)。無論、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。