東京農業大学第一高等学校 入試対策
2020年度「東京農業大学第一高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、2題の論説文の長文読解が出題されている。文学的文章は出されていない。2020年度では計6500字、さらに古文の900字ほどがこれに加わる。読解のスピードをつける訓練が必須である。
形式は選択肢が多く、穴埋め・記述が数問ずつ含まれており、漢字や語句の意味などの言語事項も合わせて出題される。記述は25~100字程度の説明記述で、答えるのにある程度の時間を取られる。
説明的文章のみの出題なので、対策もそこに絞ったものとなろう。形式段落→意味段落への転換・意味段落の内容把握(短いタイトルを付けてしまうと良い)・段落のつながりや関係・段落の最初と最後に注目しながら要点と細部の区別・それらを整理して要旨・結論をまとめる……といった論説文読解のパターンに習熟する。
記述問題では特に、要点と要旨のまとめが重要である。求められる答えは、各段落の要点をいくつか組み合わせて作られる場合が多い。50字の記述であれば、書ける内容が2つ(2文)程度と見当をつけて、適切な箇所を使ってまとめるのである。
本文に印や傍線で重要点をマークしておき、関連する部分を結んでおけば、記述問題の答えをまとめる際に大幅な時間短縮が見込める。その際、誤字・脱字や文法の誤りなどにも注意して、不用意な減点を受けないように気をつける。
長い記述問題は時間が取られるので、他の軽い問題をまずは解き進め、最後まで一通り手を付けるのは当然である。
そして、試験対策に限らず、普段から読書を厭わずに自然・人文・社会科学などの分野の書物を多く読む習慣を持てば、すなわち国語力の養成になることも忘れないでいただきたい。
古文の読解
本校の古文の問題は手ごわい。言葉の知識や文法、はては文学史まで、高校の授業で習うことが当然のように訊かれる。中学生向けに現代語訳を付けるといった配慮もない。配点も2割ほどと大きいので、苦手だからと避けてしまうと不利である。
高校生向けの標準レベルの教材で必修単語200、係り受け・枕詞や敬語などの主な文法を覚え、古典の文章にできるだけ触れて、頭を慣らしておかなければならない。
暦の月名や、当時の風俗・暮らしぶりなども問題と関係してくる可能性があるので、そうした知識も一通りで良いので仕入れておきたい。
十分な得点には、相当にしっかりした対策が必要である。
漢字・言語事項
現代文の読解とともに出題されるが、さほどの難問は見られない。
語句の意味が多く出されているので、言語事項の問題集や読書を通じて、語彙を増やす努力をお願いしたい。
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2020年度「東京農業大学第一高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文と論説的随筆文の読解2問がそれぞれ約4300字・2200字の計6500字ほど、さらに古文の900字ほどがある(2020年度)ので、スピードが必要である。総解答数は28問。
漢字や言語事項は10問ほどなので2~3分で済ませ、あとは読解問題に充てる。幸い、問題数は多くないので、読みに手間取らなければ考える時間はある。記述問題1問は80字あるので6~7分ほどは取られることも計算に入れておく。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:25分
「グローバル資本主義」がもたらす世界と、その端緒ともなる「全体主義」について説明している。
問一 (a) 散逸――ばらばらになって行方が分からなくなること。
(b) 風潮――移り変わる世の中の傾向。
(c) 保障――責任をもって請け合い、地位や状態を保護すること。
(d) 含意――表面に表れない意味を含んでいること。
問二 (X) 暫定的――確定するまで、一時的に定めるさま。
(Y) 敷衍――読みは「ふえん」。おし広げること。「衍(えん)」は「延び広がる」という意味。
問三 Ⅰ. 直後の長期的との対称で「短期的」。
Ⅱ. わずかな危機で社会が大きなダメージを受けてしまうのだから、「脆弱」。
Ⅲ. 国家の価値・文化や伝統・美徳や論理が失われるのだから、「低俗」。
→選択肢5が選べる。
問四 両者の違いは「国境を前提とするか・しないか」であることが述べられている。
問五 2段落後に字数が合う部分がある。
問六 1. 「マネーの流れが制限される」がおかしい。
2. 「賃金格差が反転」では本文と逆である。
4. デフレでは「一人当たり」でも所得は増えない。
6. 「輸出入が制限される」は合わない。
問七 「社会的な欲情」が全体主義へとつながるのだから、桜さんの意見は因果関係が逆である。
問八 5. 全体主義につながる「社会的な欲情」の隠れ蓑として民族的な自尊心が利用されたので
あるから、×。
問九 「思考停止」が初めて言及された箇所に置くのが適当である。
問十 1. 「グローバルマネーの移動が頻繁に行われず」が合わない。
4. 思考停止と選民主義の結果、全体主義へと向かった。
5. 供給過剰の原因はデフレであり、グローバル資本主義ではない。
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:13分
学問としての「哲学の問題」よりも、現実に根差した「自分自身の哲学的な問い」のほうが大事だと述べている。
問一 「実生活の問い(=自分の問い)」は具体的で複合的で錯綜して問いが絡み合っているが、「哲学の問題
(哲学の問い)」は現実の具体的な文脈から隔たっていて誰にとっても実生活にはほとんど関係がない。
問二 「どんな問いであれ、哲学的な問いへと進んでいくことができる」、「哲学の問題を考えることがつねに
哲学的というわけではない」→問い方しだいである。
問三 「現実の文脈」では学問的な問いとは異なり、具体的で複合的で錯綜した「実生活の問い」が思考されて
いるのである。
問四 現実生活の中でさまざまな問いと出会う。どんな問いであれ、哲学的な問いへと進んでいくことが
できる。→選択肢1・選択肢2。
現実の生活に関する疑問から出発すれば、そこで問い考えたことはその人の生活にとって大きな意味を
もちうる→選択肢4。
【大問三】古文の鑑賞
- 時間配分:12分
優秀だが癇癪持ちの上人が妹に説教を垂れたところ、自分の態度の矛盾を指摘され反論できなかった。知っていることとそれを実践することは別である。
問一 「腹あし」は短気・怒りっぽいの意。ささいなことで人を叱りつける様子が描かれている。
問二 「心よし」は、①その人の気立てが良い・②相手をよく思っているの意味があり、ここでは②の意味で
使われている。「弟子たちは普段は(怒りっぽい上人を)心よく思っていなかったが」。
問三 「つむ(詰む)」には「相手を行き詰まらせる」という意味がある。妹に説教してやろうということで、
仏教の教えを話している。選択肢4は「息子の死にしっかり向き合ってもらおうと思った」が合わな
い。
問四 生きているものが死ぬのは当然で、何を大騒ぎで嘆いているのか。「南浮は老少不足」なのだ、
と上人が諭している。
問五 妹から「(あなたのように)すぐに癇癪を起こすのは罪ではないのか」と問われて言い返せず、
いたたまれなくなって捨て台詞を吐いて退散したのである。
問六 「知ることが難しいのではない。実行することが難しいのだ」
問七 『今昔物語』『枕草子』『竹取物語』は平安時代の作品。
攻略のポイント
論説文主体の長文読解だが、難しいテーマが扱われていたり、文章自体も難しかったりでなかなか手ごわい。記述問題も侮れない。スピードをつけ、最後まで目を通し、できる問題を確実に取ることで得点をあげたい。
古文も十分に学習しておかないとあらすじすら判然としない事態も予想できるので、文法・その他の知識も合わせて高校生レベルでの勉強をしておきたい。
漢字・ことばの意味などの知識問題でも15点ほどの配点があるので、地道に語彙を増やす努力をしておくこと。