明治大学付属中野高等学校 入試対策
2020年度「明治大学付属中野高等学校の国語」
攻略のための学習方法
合格のための答案力、国語力について何が必要なのか。出題傾向を見てみると、「読解力」と「記述力」である。読解力と記述力とは、一見相異なるもののように思っている受験生も少なくないかもしれないが、実はこの2つの「力」は根っこの部分では繋がっているのである。言葉を換えれば、車の両輪のごとく、互いに互いを補完し合いながら、車が勢いよく前進するように国語の合格力が飛躍的に向上するのである。それでは、以下にその仕組みについて確認してみよう。
- ①記述力は何によって養成されるか
国語力を向上させるための対策として、大概は「読解力」の養成を第一番目に挙げるのではないだろうか。確かにそのような考え方にも、合理的な根拠はあるであろう。しかし、ここで考えて欲しいのは「高校入試における合格のための国語読解力」である。「合格のための国語読解力」とは具体的には何を意味するのであろうか。一言でいうならば、「客観的な思考力で設問の問題を読み込めるかどうか」であり、この「客観的思考」の確実な養成には、自身の考え方をいかに説得力を持って外部発信できるかどうかである。そして、「外部発信」のツールはいうまでもないが「自身の考え方の吐露」であり、より自分の考え方や主張を他者に理解してもらおうとすれば、その内実は文字通り「記述力」である。ある人曰く「自分の頭の中にある思想が全部で100だとすれば、文章化できるのはそのうちの10(1割)である」。これは極めて興味深い話である。したがって、一見全く関係性がないように思える「読解力」と「記述力」とは、無関係なものではなく、密接不可分な関係にあるのである。読解力を高めたければ、記述力をしっかり習得することである。自分の考えを自分の言葉でまとめきれないのであれば、真の意味での「説得力ある文章」を書くこともできないであろう。論理的な文章を書けるということは、それだけ自身の中で思考が組み立てられていることであり、そのような「組み立て」は論理を追いかける「力」、「読解力」がベースになっているからである。つまり、記述力を安定し明確に文章を書けるようになれば、必ずそれに伴ってより実効性の高い読解力は身に付くのである。したがって、入試に対応した読解力を高めるためには、自身がしっかりとした「記述力」に裏付けられた自己表現力の向上ができれば、「読解力」は確実に上昇する。「読解力」を飛躍的に高める「記述力」をより効率的に深める一つの具体的方法としては、一日10分程度で構わないので「文章を書く」ということである。内容は何でもよい。その日に自分の身の回りで起きたこと、社会の出来事などに対する感想を100~150字でまとめる練習を積めば、3ヶ月後には自身の「読解力」と「記述力」は間違いなく向上する。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2020年度「明治大学付属中野高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、環境に関する論説文の読解問題である。<38分>
内容把握、品詞、内容把握などあらゆる角度からの設問である。特に、記述問題対策はしっかり行っておくこと。
大問2は、語句問題である。<4分>
日本語として聞きなれた語句の正しい使い方を押さえておこう。
大問3は、故事成語・四字熟語問題である。<3分>
標準的問題レベルである。
大問4は、漢字の書き取り・読み取り問題である。<5分>
標準的問題であるので完答を目指したい。
【大問1】自然科学的分野(環境)に関する論説文の長文読解問題
- 時間配分:38分
出典は、『カガク力を強くする!』(元村有希子著)。人間の暮らしの快適さを追い求める結果、そのような行動が自然を破壊することになっている、という内容である。
問一は、内容把握選択問題<2分>。①は「張りつめた緊張感」、③は「感情の高まり」を表す言葉を選択しよう。
問二は、内容把握問題<2分>。特定の地域にしか生息していない種を本文では「固有種」と表記している。
問三は、内容把握記述問題<3分>。熱帯雨林がなぜ減少しているかといえば、人間が熱帯雨林を伐採してパーム油を採取するための農園を作っているのである。
問四は、品詞に関する問題<2分>。本問の「で」は断定の助動詞である。
問五は、内容把握記述問題<2分>。パーム油が注目を浴びる理由は、本文によれば「健康にいい」ことと「値段が安い」ことである。
問六は、接続詞問題<2分>。接続詞を選択する問題である。順接、逆接、例示など本文の流れを的確に把握して適切な選択肢を選ぶこと。
問七は、内容把握記述問題<3分>。「環境破壊」とは熱帯雨林が伐採され、そこに生息する生物の多様性が損なわれることであり、「社会的な問題」とは熱帯雨林を伐採してつくられた「農園」に関して本文の内容を考察しよう。
問八は、語句問題<1分>。「ゆえん」とは、理由のことである。
問九は、内容把握選択問題<1分>。先進国の人々のパーム油に関する取り組み方や考え方が、現実的にどうであるか(評価できるか否か)について本文を精読しよう。
問十は、内容把握問題<2分>。本文に「…『原材料』の欄」にどのように表記されていると書かれているか。ここから判断しよう。
問十一、指示語問題<1分>。パーム油の中でも「認証油」と呼ばれる商品について、直前に言及している。
問十二、文章内容把握選択問題<2分>。「認証油」というパームを使用しある基準をクリアーした油を使用することで、「事態の悪化を防げるかも」と本文で述べている。
問十三、内容把握記述問題<2分>。マレーシア政府は、国を発展させるために「産業を育てる」ことを行なったのである。
問十四、指示語問題<1分>。本文中の「ここ」が何を指すのかの問題。「ここ」とは「必ずボルネオゾウに会える」場所なので、「ボルネオゾウのレスキューセンター」である。
問十五、本文内容把握問題<3分>。オラウータンのふるさとは熱帯雨林であるが、その熱帯雨林が今や失われつつある状況にあるのである。
問十六、主語を捉える問題<1分>。本文の「受けています」の主語を求め問題であるが、「恩恵」を受けているのは「誰」なのかを考える。
問十七、内容把握記述問題<2分>。「人間の都合」とは何かを考えること。
問十八、語句問題<2分>。「意識をもって積極的に取り組む姿勢」の逆を表わすことを指す言葉を探すこと。興味本位で、無関係なものであるという意識をもった姿勢である。
問十九、内容把握問題<2分>。「野生動物の生存を脅かすもの」とは、「野生動物が生きていけない環境」である。本文の前半にある、「緑は緑でも、…」の箇所が手掛かりになるだろう。
問二十、適切主題選択問題<2分>。筆者は、問題意識をもって現地を訪れ実態を把握したのであり、そのことで問題の深刻さを実感したのである。筆者は、「無関心は最大の敵」と述べている。
【大問2】語句に関する問題
- 時間配分:4分
「青田買い」とは、採用期間開始前に学生の採用を決定することであり、「採用決定者」に対して「青田買い」は使わない。「付和雷同」とは、自分の意見が確定せず、むやみに他人の意見に賛同することであるので、「付和雷同で、皆異なる意見を述べた」という使い方は不適切である。
【大問3】故事成語・四字熟語問題
- 時間配分:3分
大人になって才能が現われてくるタイプを「大器晩成」という。「五里霧中」とは、文字通り回りが「霧」だらけで方向性もなくなり、どうすればよいかの見当も全くつかない状態のこと。
【大問4】漢字書取り・読取り問題
- 時間配分:5分
10題の漢字はどれも標準的な漢字である。完答を目指したい。
攻略のポイント
攻略のポイントは、正確で迅速な文章読解力であることはいうまでもない。さらに求められる力は「記述力」である。この記述力に関しては、事前にしっかり演習を積んでおくこと。その際には、頭の中で考えてそれで済ませるのではなく、実際に60~80字の記述を行うことが不可欠である。また、四字熟語や漢字書取り・読取り問題は必ず出題されると考え、手を抜くことなく確実に知識の習得を行って欲しい。その際にも、漢字は実際に手を動かして「書く」ことである。目で眺めているだけでは漢字の定着は決して図れない。