横浜共立学園中学校 入試対策
2019年度「横浜共立学園中学校の社会」
攻略のための学習方法
スライド式学習
「横共対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。
「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れないこと。
完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、残念ながら人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。
そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「詳細な知識」が求められる横共ではなおさら。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をこっそりと続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
いもづる式学習
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、横共おなじみの「クセのある設問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。
「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。
もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、横共で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
手づくり式学習
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。
しかし、横共ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
細部へのこだわり式学習
「問題解説」でも指摘したが、「横共攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
意識継続式学習
どのような場合であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無駄だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。横共の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。
だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2019年度「横浜共立学園中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問 1 は「単元融合型総合問題」(「地理」「歴史」「公民」が混在。「時事的要素」あり)。「第一次世界大戦に関連するリード文」からの出題。小問は全12問(解答数12)、「選択肢」、「事項記述」、「説明記述」(「字数指定なし」3問)。
大問 2 は「歴史」。「漆(うるし)の文化」についての出題。小問は全9問(解答数16)、「選択肢」(「年代整序」「時期特定」、「複数解答」あり)、「事項(人名)記述」。
大問 3 は「地理」。「日本の郷土料理」に関連する出題。小問は全10問(解答数10)、「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「事項記述」(「都道府県名」「自然地名」、「数字」あり)。
大問 4 は「公民」(「時事」2問あり)。「天皇退位および新天皇即位に伴う改元」に関連しての3つの「説明文」からの出題。小問は全9問(解答数10)、「選択肢」、「事項記述」(「数字記入」、「カタカナ指定」あり)。時間配分は、「説明記述」は各1分半ほど、他は4問で3分程度というペース。無論、圧倒的なスピード感とメリハリのある「戦術」が求められる。
【大問1】「総合」(「地理」「歴史」「公民」。「説明記述」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
「2018年は、1918年の第一次世界大戦の終戦からちょうど100年目」という「時事ネタ」を切り口としての、「日本国内の第一次世界大戦にまつわるエピソードを紹介したリード文」からの「単元融合型総合問題」。「地理」「歴史」「公民」の各単元で「平易と難解」が混在するという、本校の真骨頂が発揮されている。3単元それぞれについての「説明記述」も出題されている。以下、いくつかの設問を確認してみる。
[問1] 「下線部に関連する内容説明記述設問」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。「地理」単元。
「リード文」中の下線部①の「四国地方」で生産された作物は、近年、関東地方など遠くの地域にコールドチェーンによって出荷されるようになったが、「コールドチェーン」とは「どのような輸送のしくみか」を説明する。無論、誰もがこの事項は定着しているはずだ。しかし、その「しくみ」を説明するとなるとどうか?しかも、「60字ほど」でしっかりと説明しなければならない。正確な理解度が問われている。たとえば、「保冷庫や保冷トラックなどを使うことにより、野菜や魚介類など生鮮食料品の鮮度を保ったまま生産地から消費地まで運ぶしくみ。」(59字)といった「答え」だ。本校志望者は、必須定着事項を暗記するだけではなく、内容に関してもしっかりと理解しておく必要がある。
<時間配分目安:1分半>
[問4] 「下線部についての条件付き理由説明記述設問」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。「歴史」単元。
「リード文」中の下線部④「多くのドイツ人が捕虜として収容されました」について、「なぜ日本にドイツ人捕虜が収容されたのか」を説明する。
「条件」は「日本の第一次世界大戦への参戦理由と日本とドイツの戦いが行われた都市の名を入れて説明する」こと。唐突に「ドイツ人捕虜」と言われても、何のこっちゃとなるのは必至だ。ここは冷静に「情報」を収集したい。「条件」に「第一次世界大戦」「日本とドイツの戦い」とあるではないか。当時イギリスと「日英同盟」を結んでいた日本は連合国側として「第一次世界大戦」に参戦し、敵対国の「ドイツ」の基地があった「中国山東半島」の「青島」を攻撃して占領した。こうした事実と結びつくはずだ。したがって、たとえば、「日本は日英同盟を理由に第一次世界大戦に参戦して、敵対国のドイツの基地があった中国山東半島の青島を攻撃して占領したから。」(59字)といった「答え」だ。「条件」は重要な「手がかり・ヒント」であると心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問8] 「下線部に関連しての事項記述設問」。「歴史」単元。
「リード文」中の下線部⑧の「武士」の中には、やがて中央政界に進出する者も現れたが、「後白河天皇と崇徳上皇の対立に源氏と平氏の戦いが加わって1156年におこった戦いを何というか」を答える。平安時代後半、「院政」のころの争い、誰もが定着していなくてはいけない。「答え」は無論、「保元の乱」だ。尚、その後、勝利した天皇方の「平清盛」と「源義朝」が争い、「平氏政権」へとつながった「平治の乱」(1160年)と混同しないこと。
<時間配分目安:30秒強>
[問11] 「下線部についての条件付き内容説明記述設問」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。「公民」単元。
「リード文」中の下線部④の「現在の日本」では、「内閣総理大臣と国務大臣はそれぞれどのように選ばれるか」を説明する。
「条件」は「『指名』と『過半数』という言葉を用いて説明する」こと。「政治分野」の基本だ。ただ、「過半数」という言葉で悩む可能性がある。いかに「日本国憲法」に規定をされている内容を正確に覚えているかが、勝負の分かれ道だ。たとえば、「総理大臣は国会議員の中から国会が指名し、天皇が任命する。大臣は内閣総理大臣が任命するが過半数は国会議員でなければならない。」(61字)といった「答え」だ。「公民」、特に「政治分野」では、「日本国憲法」の規定を細部まで正確に理解し、定着させておくことが求められる。
<時間配分目安:1分半>
[問12] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
「リード文」中の下線部⑫「徳島県」などの地方自治体は「使いみちが指定された給付金」の支給を受けるが、「これを何というか」を答える。知っているに決まっている。そう、基礎的な問題だ。
各選択肢は、
(ア)「地方譲与税譲与金」、(イ)「地方交付税交付金」、(ウ)「国庫支出金」、(エ)「地方債」。
流石(さすが)に(ア)(エ)に引っかかる諸君はいないだろうが、(イ)と(ウ)に関してはどうだろうか?あれっ、どっちだっけ?などということはないと信じたい。「地方交付税交付金」は「地方自治体の収入の格差を少なくするために交付される補助金で、使いみちは自由」。それに対して、「国庫支出金」は「国が地方公共団体に対して、特定の事業を促進する目的で使いみちを指定して支給する交付金」だ。よって、「答え」は(ウ)。決して混同してはならない。尚、「地方譲与税譲与金」とは「国が徴収した特定の税目の税収を一定の基準により地方自治体に譲与するもの」で、「ガソリン税」などがある。また、「地方債」は無論、「地方自治体が財源不足を補うために発行する債券」のことで、要は「地方自治体」の「借金」だ。整理して定着させておきたい。
<時間配分目安:30秒>
【大問2】「歴史」(「年代整序」「時期特定」あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
英語で日本のことを指す「ジャパン(japan)」という言葉には「漆器(うるしを塗った器物)」という意味もあることから、これまで豊かに続いた「漆の文化」を手がかりにして、日本の歴史を振り返る出題。「縄文時代」~「昭和時代」までの「歴史単元」からの出題。「基本的事項」の中に「難問」が紛れている(昨年度ほどではないが)。心して臨むこと。以下、いくつか検討する。
[問3(2)] 「テーマに関連する選択肢設問」(4択/複数解答)。
漆は建物にも用いられていたが、多くの建物が並ぶ美しさを「あを(お)によし ならのみやこは さく花の にほ(お)ふ(う)がごとく 今さかりなり」とうたわれた「都」の「説明文」で「正しいもの」を「2つ」答える。もちろん、「都」は「奈良」だ。
各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。
(ア)「桓武天皇の時代にうつされた」⇒「奈良の都」=「平城京」に都がうつされたのは「元明天皇の時代」の710年=誤り⇒ちなみに、「桓武天皇の時代にうつされた」のは「長岡京」と「平安京」。
(イ)「長安を手本」「東西・南北に走る道路で区画」=無論、正しい。
(ウ)「中央に大内裏」⇒これは難解=判別不能で保留。
(エ)「東市と西市」⇒「平城京」の東西に市が立ち、各地の産物が取引されたことは知っているはず=正しい。
ということは、「答え」は(イ)と(エ)で決定だ。ちなみに、天皇の住まい(内裏)を含む「大内裏」は、「平城京」では「中央」ではなく「北側」にあった。「深知り知識」が求められてはいるが、「選択肢」であれば「消去法」を活用できる。臨機応変に対応することが肝要。
<時間配分目安:1分>
[問4(1)] 「テーマに関連する人名記述設問」。
「平安時代」、「漆」は貴族の生活を彩ったが、「一条天皇の皇后定子に仕え、随筆を著した女性はだれか」を答える。
「一条天皇」?「皇后定子」?「大学入試レベル」なので知らなくても不思議はない。だが、「平安時代」+「随筆」+「女性」⇒「答え」=「清少納言」と結びつけられるはずだ。もちろん、「枕草子」の筆者だ。彼女のライバルで、同じく「一条天皇」の「中宮彰子」に仕えたのが「源氏物語」の作者である「紫式部」だ。合わせて定着させておきたい。「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えること。そして、「自らの知識」を総動員して「知っていること」に結びつけていって解くことが肝要だ。
<時間配分目安:1分弱>
[問4(2)] 「テーマに関連する世紀特定選択肢設問」(4択)。
「平安時代」、「漆」は貴族の生活を彩ったが、都の華やかな暮らしの一方で、朝廷は地方をかえりみなくなった。それに関連して、「10世紀、尾張国の国司藤原元命が農民などから悪政を訴えられるという事件があった」が、この事件と同じ「10世紀におこったできごと」を答える。
各選択肢の「キーワード」で「時期特定」をしていきたい。
(ア)「坂上田村麻呂が征夷大将軍」⇒「桓武天皇」と結びつくはず=「平安時代初期」(8世紀末)。
(イ)「平将門・藤原純友の乱」=「武士による最初の反乱」ということは常識⇒「摂関政治」によって地方が無視される⇒「武士」の台頭=「平安時代中期」(10世紀前半)。
(ウ)「最澄と空海」⇒これまた「桓武天皇」結びつき「平安時代初期」(9世紀初め)。
(エ)「藤原頼道」「平等院鳳凰堂」⇒「摂関政治」の最終盤=「平安時代後半」(11世紀半ば)。よって、「答え」は(イ)。「歴史的事項」は内容および背景を理解した上で、「流れ」で時期を把握し、「時代」と「世紀」に結びつけておくことが必須だ。
<時間配分目安:1分弱>
[問6(1)] 「テーマに関連する写真についての選択肢設問」(4択)。
示されている写真(図C)は「南蛮漆器」と呼ばれ、南蛮貿易で日本を代表する輸出品だが、「漆器と反対に、南蛮貿易で日本が主に輸入していたもの」を答える。
各選択肢は、(ア)「生糸」・(イ)「硫黄」・(ウ)「銀」・(エ)「刀剣」。
どれもが「南蛮貿易」でやりとりされたものじゃん。そう、そこまでは正しい。さて、「輸出」と「輸入」とを判別できるか?そこがポイントだ。「輸出品」は「日本刀」「漆器」「海産物」「硫黄」「銀」等、「輸入品」は「生糸」「絹織物」「金」「陶磁器」「生薬」「硝石」などだ。
よって、「答え」は(ア)になる。尚、「南蛮貿易」は「中継貿易」でもあって、「生糸」は「中国産」を「スペイン」や「ポルトガル」の商人から購入していた。また、「輸入品」では、「戦国時代」であった当時、火薬の原料となる「硝石」が特に重要だった。そうしたこともしっかりと確認しておきたい。
<時間配分目安:1分弱>
[問6(2)] 「テーマに関連する年代整序選択肢設問」(3択)。
示されている写真(図C)の「南蛮漆器」は、日本が「鎖国」をするとつくられなくなったが、「『鎖国』が完成するまでのできごと」を「古い順に並べて」答える。
「鎖国への流れ」は必須事項なので、定着しているはずだ。改めて確認しておく。「幕府直轄領にキリスト教禁止令」(1612年)→「全国にキリスト教禁止令」(1613年)→「ヨーロッパの来航を平戸・長崎に限定」(1616年)→「スペイン船来航禁止」(1624年)→「絵踏開始」(1629年)→「日本人の海外渡航・帰国を禁止」(1635年)→「長崎出島完成」(1636年)→「島原の乱」(1637年)→「ポルトガル船来航禁止」(1639年)→「平戸のオランダ商館を出島に移す」(1641年)となっている。
各選択肢は、
(ア)「ポルトガル船の来航を禁止する」
(イ)「日本人の海外渡航と帰国を禁止する」
(ウ)「オランダ商館を平戸から出島にうつす」。
したがって、「答え」は(イ)→(ア)→(ウ)だ。尚、「年代整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくことが肝要。
<時間配分目安:1分>
【大問3】「地理」(「自然地名記述」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
「日本各地にあり、それぞれの土地の特色が詰まっている郷土料理」に関連する出題。全国さまざまな地域についての、多彩な分野からの「地理」の基本的問題が並んでいる。基本的には平易な小問が多いので得点を重ねたい大問だ。以下、いくつか検討する。
[問6] 「テーマに関連する自然地名記述設問」。
「香川県」で「讃岐うどん」がつくられた理由のひとつに「讃岐平野は降水量が少なく安定的な米の生産ができず、小麦でつくったうどんが米の代用食として必要だった」ことがあるが、「讃岐平野にある日本最大のため池を何というか」を答える。「讃岐平野」の「ため池」といえば当然、「答え」は「満濃池」だ。基本中の基本なので定着していない諸君はいないと信じたい。8世紀につくられ、9世紀には「空海」によって改修されたということも知っておきたい。尚、本問は「漢字指定」ではなかったが、「漢字」で覚えておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問7] 「テーマに関連する組み合わせ選択肢設問」(6択)。
示されている「九州地方の県の郷土料理」について述べた(あ)~(う)の「説明文」と「その県」の「組み合わせ」として「正しいもの」を答える。
各「説明文」を確認して、「県」を特定していきたい。
(あ)「『豚骨』は、豚の骨付き肉を焼酎で炒め煮し、みそと黒糖で煮込んだ料理」⇒なかなか特定しづらい=保留。(い)「『須古ずし』は、有明海でとれたムツゴロウの蒲(かば)焼などをのせた箱ずし」⇒「有明海」で、各選択肢は(ウ)か(オ)に絞り込める。(う)「『冷や汁』は、豆腐やきゅうりなどを入れて冷やした汁を麦飯にかけた汁かけ飯」⇒(ウ)と(オ)の(う)はそれぞれ「鹿児島県」と「宮崎県」だ。無論、「きゅうり」といえば「宮崎県」、「きゅうりの生産量」は全国1位だ(2位「群馬県」、3位は「埼玉県」)。
よって、「答え」は(オ)になる。「組み合わせ選択肢設問」では、何か分かりやすい事項で選択肢を一気に絞り込むことが肝要だ。
<時間配分目安:1分弱>
[問8] 「テーマに関連する選択肢設問」(4択)。
「郷土料理」にとって重要な「調味料」としても使われる「醸造品」で、「兵庫県の製成数量が最も多く、灘五郷で盛んにつくられているもの」を答える。
「醸造品」はピンとこないかも知れないが、各選択肢は、
(ア)「みそ」・(イ)「清酒」・(ウ)「しょうゆ」・(エ)「ビール」なので、「兵庫県の灘」⇒「答え」は(イ)の「清酒」だと判別したい。ちなみに、「醸造」とは「発酵作用を利用してアルコール飲料(酒類)やその他の食品を製造すること」で、選択肢の全てが「醸造品」だ。知らなかった諸君は定着させておくこと。
<時間配分目安:1分弱>
[問10] 「テーマに関連する数字記述設問」(「算用数字」指定)。
日本には「特定の食材が運ばれた『道』」があり、その食材で「郷土料理」もつくられたが、「あわびの道」は、駿河湾でとれた「あわび」が海に面していない山梨県に運ばれた「道」だ。「海に面していない都道府県は『山梨県』をのぞいて他にいくつあるか」を「算用数字」で答える。いわゆる「内陸県」だ。当然誰もが知っていなくてはいけない。「栃木」「群馬」「埼玉」「山梨」「長野」「岐阜」「滋賀」「奈良」の「8県」になる。よって、「答え」は「7」だ。ちなみに、「山梨県」の「郷土料理」である「煮貝」は、駿河湾でとれた「あわび」をしょうゆ漬けにした料理だ。ついでに覚えておこう。
<時間配分目安:1分>
【大問4】「公民」(「時事問題」2題あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
「在位中の天皇が2019年4月30日に退位し、新天皇が5月1日に即位して、元号も改められる」という歴史的な「時事ネタ」を切り口としての、「天皇」・「生前退位」・「改元」に関する3つの「説明文」からの出題。「公民」と「時事」の「基本的事項」に関する問題と、「はっ?」という「難問」が混在している。それらを確認してみたい。
[問2] 「説明文についての選択肢設問」(4択)。「公民」単元。
「天皇に関する説明文」について、「国事行為は日本国憲法第7条に規定されている」が、この規定の内容として「正しいもの」を答える。
「国事行為」なんて楽勝に違いない。各選択肢の内容で正誤判別していく。
(ア)「自衛隊を指揮」⇒あり得ない。「自衛隊」の最高指揮官は「内閣総理大臣」に決まっている=誤り、
(イ)「衆議院を解散する」⇒紛れもなく「国事行為」=正しい、
(ウ)「恩赦を決定する」⇒そういえば「恩赦」のような言葉も「日本国憲法第7条」にあったような=正しい……、あれっ?
(エ)「最高裁判所長官を指名する」⇒「指名」は「内閣」で、「天皇」が「任命」する=誤り。このままでは「答え」が2つ?あり得ない。「衆議院の解散」は間違いないはずで、「恩赦」の方はうろ覚えなので、「答え」は(イ)でいいや。結果的には正しいのだが、うろ覚えでは困る。確かに「日本国憲法第7条6項」には「大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること」とある。これらは「恩赦」のことだ。だが、「天皇の国事行為」は「認証」であって、「決定」は「内閣」の権限(「国事行為」に関する「助言と承認」だ)。「認証」と「決定」、「指名」と「任命」、「総議員」と「出席議員」等々、「公民」では細部にわたる配慮が欠かせないと心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問4] 「説明文についての事項記述設問」。「公民」単元。
「天皇に関する説明文」について、「国民が定めた形式をとる日本国憲法」に対し、「天皇が授けた形式をとる大日本帝国憲法」は「何憲法というか」を答える。「国民が定めた」=「民定」に対して、「天皇が授けた」のは? さあ、覚えているか? 「答え」は「欽定(憲法)」だ。「漢字」と、その読みの「きんてい」、覚えづらいことこの上ない。だが、こうして出題される。しっかりと確認して定着させる他ない。
<時間配分目安:30秒>
[問5] 「説明文についての数字記述設問」(「算用数字」指定)。「時事」単元。
「生前退位に関する説明文」について、今回の「退位」で「特例法」が制定されたが、一般の法律案の場合、「現在の衆議院で定数全員が出席し投票すると、最低何票あれば衆議院で法律案は可決されるか」を「算用数字」で答える。一見容易(たやす)い。「一般の法律案」は「出席議員の過半数の賛成により可決される」に決まっているからだ。「衆議院で定数全員が出席」なのだから、「衆議院の定数」の「過半数の最低」が「答え」だ。では、現在の「衆議院で定数」は何人か? えっと、何人だっけ? となってしまってはいけない。「465名」だ。したがって、「答え」は「233(票)」となる。近年、「公職選挙法」が度々改正されており、「衆議院」「参議院」の「議員定数」がその度に変更されているので、常に「最新の数字」を更新しておくことが肝要だ。
<時間配分目安:1分弱>
[問7] 「説明文についての選択肢設問」(4択)。「時事」単元。
「改元に関する説明文」について、「新天皇即位に備えて改正された法律」を答える。「時事問題」に敏感でしっかりと理解し、定着させた本校志望者であれば、「天皇に関する法律」といえばすぐに「皇室典範」だと思い浮かぶはず。流石(さすが)だ。だが、なんと各選択肢は、
(ア)「祝日法」・(イ)「民法」・(ウ)「内閣法」・(エ)「旅券法」であって、「皇室典範」はない。
どういうことだ。困った……。仕方がない。これらの中から「答え」を判別するしかない。考えよ。「新天皇」が即位することで、どの法律に影響が及ぶのか?あっ、そういえば「天皇誕生日」という「祝日」があったではないか。「新天皇」と「平成天皇」とは「誕生日」が異なるのだから、当然に「天皇誕生日」も変更されるはずだ。そう、それだ。したがって、「答え」は(ア)の「祝日法」。「12月23日」が「2月23日」になったのだ。尚、天皇の退位および新天皇即位に関する諸々のことは、「皇室典範」の「改正」ではなく、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(2017年6月成立)によって定められた。なかなかの難問だが、機転を働かせて対応したい。
<時間配分目安:1分弱>
攻略のポイント
-
- ●「設問」に一筋縄ではいかない「クセ」がある。いかに「攻略」するか?実直に、「基礎的事項」から「詳細事項」までを理解し(本校では相当な「深知り知識」も求められる)、定着させることが必要だ。その上で、「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」も押さえておきたい。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていることを心得ておきたい。
- ●「時事問題の攻略」もポイント。過去1年間程度の「時事ネタ」は、細大漏らさず確実に整理して覚えておく必要がある。さらに、それらに関連する「あらゆる事項(知識)」も全て復習すること。日々の「新聞」をしっかりと確認しておくことは不可欠だ。毎日全て読み通せなくても、「見出し」「リード」は必ずチェックして、知らない「ネタ」があったら「スクラップ」しておくこと。
- ●「戦術」も必要になる。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ことだ。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は6割半ほど(学校非公表。過去5年間の「4科合計の合格最低平均得点率」および「社会の受験者平均得点率」からの推定)。「基礎的知識問題」で基礎点(5割強)は獲得可能。あとは「本校対策」で勝ち取ること。
- ●「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」等がよく出題されるので、常にチェックしておくこと。無論、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
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