周囲の空気を読み取りそつなく行動できるいい子である主人公。そのことに嬉しさも感じていたが、その一方でそんな自分の臆病さに物足りなさも感じ始める。
問一　クラスの中心人物で人気者である早野に対する瀬里奈の素っ気ない態度を、主人公は「むすっとしている」と表現している。「早野さんが嫌い」は「むすっとしている」理由にあたる部分である。
問二　主人公の発言から、瀬里奈はスタイルも良く早野たちともうまくやれそうで、自分たちのような地味なグループとばかり付き合わなくてもいいのではと思っているらしいことがわかる。「自分たちのグループ」はこれまでと変わらないので、ウは当たらない。
問三　地味でおとなしい自分たちのグループから、人気のある早野のグループへ移ることを「出世」と表現している。
問四　ウに対してアと答えたところイという反応だった。この一連の流れを解説したのがエであるから、ウ→ア→イ→エとなる。
問五　(１)　「意外で聞き返すと」とある。
　　　(２)～(４)　「会話」をワークブックに例えている。麗からいい人と言われたことで、自分が求められる「的確」な返答をしたことがわかり、つまりいい「点数」をとったことがわかったのである。
問六　自分の身体を労わって夕食を作ってくれる娘の心遣いにうれし泣きして＝「目頭を押さえて」いる。
問七　相手の求めることを的確に察して行動するいい子であることに喜びを感じながらも、そこから少しはみ出したい気持ちも生じている。
問八　嘘をついて遠くへ出かけるというクラスの進んだ子たちが皆やっているようなことを考えただけでもどきどきしてしまう自分は、叔父さんが言ったとおりの臆病者だと感じている。
問十　「値段がついた」と同じ意味の主語を示す「の」であるから、イが選べる。ア・エは「○○の××」(連体修飾)、ウは「その」という連体詞。
問十一　a. したく　b. きせき　c. がいとう　d. ぶあつ(い)

ネットなどにおける「キャラを演じる予定調和の世界」では「かけがえのない自分に対する疎外感」が生じる。リアルな人間関係で互いに衝突する経験を通じて人間関係を再構築していくことが大事だと説いている。
問一　リアルな人間関係に恵まれない人は「人間関係から疎外されている」。恵まれている人は「人間関係の煩わしさから逃げられない＝一人になることから(人間関係へと)疎外されている」ことになり、「孤立することに対して大きな不安を抱え込んでいる」状態なのである。
問二　直前の段落から考える。
問三　当段落と直前の段落に述べられている。
問四　「キャラ」は「日常の雑多な情報を切り捨てること」で「純化・単純化」されたほうが人格イメージをつくりやすい→「多種多様」な情報はノイズになる。
問五　三つ前の段落の最後にある「キャラ化された人間関係の落とし穴」と同じことであり、これ以降の四段落にわたって説明されている。ジグソーパズルに例えられており、全体の構図のなかにうまく収まると自分の居場所ができるが、輪郭が同じであれば中身はだれでもよく「自分の独自性がそこでは保証され」ずに「自分でなくてもよかったのかもしれないという不安」が生まれてくるのである。
問七　ネットの中の「あらかじめ衝突の危険性を回避した予定調和の関係」では付き合いがレベルアップし深まることはない。人間関係とは「お/互いに衝突する経験を/通じて再構築され、次/のステージへとバージ/ョン・アップしていく」ものだからである。なお、設問では40字でと指定されているのに、当該箇所は上記のように41字ある。字数の設定ミスと思われるが、先頭の「お」は省いても文に破綻はないので、機転の利く人はそうしたのかもしれない。
問八　彼は「ケータイ」を駆使して理想的な「キャラ」を演じていたが、それを打ち消され「疎外」された。「日常生活」での不全感を埋めあわせていたのだが、そこからも追い出されて「孤立感」を深めていき、自らの「存在感」を誇示するため凶行に及んだ。
問十　「ある・無い」の「ある(動詞)」なので、アが選べる。イは補助動詞、ウとエは「ある・とある」という連体詞である。
問十一　a. 営(む)　b. 意図　c. 損(なわれ)　d. 留意