青山学院横浜英和中学校 入試対策
2019年度「青山学院横浜英和中学校の理科」
攻略のための学習方法
[問題の難易度が上がってきている]
青山学院横浜英和中学はその歴史は長いものの近年大幅に学校変革が進み、2014年に青山学院大学との系属校関係を締結、2016年に現在の校名に学校名を変更、2018年度から共学化に踏み切ったばかり、まさに歴史ある新進気鋭の学校である。
このような学校の場合、過去問に触れてその傾向をつかむことはもちろん重要ではあるが、新しい年度を迎えたとき、テスト内容の大きな変化が見られることがある。2019年、理科においてはあきらかに問題の難易度が上昇した。
[基本的知識の定着+標準問題による豊富な演習]
それは受験者平均点・合格者平均点がのきなみ35%以上ダウンしたことからよくわかる(数値は2019年度傾向と対策を要参照)。倍率が大幅に向上し、受験生の質・量ともに上がっている学校としては異例であり、それまでの過去問を基準としてそのレベルだけで勉強を重ねてきた生徒は大変な思いをしたことだろう。
もちろん、普段から応用レベルの問題にも触れ、解いて理解してきた生徒にとっては大きなアドバンテージとなったことだろう。理科のテストとして見た場合、特筆するほど難易度が高いテストではない。あくまでも前年度までとの比較の上でのことである。
したがって、難度が上昇したとはいえ率先して始めることは「基本的知識の定着」である。これを徹底して得点源を確保した上でテキストや他校過去問の骨のある問題にも手をつけてみようと言うことだ。受験勉強の順番が変わるわけではない。まずは「基本的な知識の定着」が最優先、その上での応用問題演習である。
[記述問題対策]
これは以前から目立った特色ではあったが、理科ではあまり見られない本格的な記述問題が散見している。
例を挙げると、2019年度A日程の【大問3】(6)(7)、2018年度A日程の【大問3】(2)、同年度A日程【大問5】(6)、2017年度A日程【大問2】(7)、【大問3】(5)、【大問4】(3)、などである。
特に2018年度A日程の【大問3】(2)「光合成によって発生した気体が起こした大きな変化は、どのようなものでしたか」は注目に値する。他の記述問題は既成のテキストなどの知識により10字から20字程度で簡単にまとめられることも出来るかもしれない。しかし、この設問に関しては50字以内という字数制限の長さもあり、「光合成によって発生した気体」が「酸素」であることは間違えないと思われるが、その「酸素」が起こした大きな変化というと、頭の中で「こうだ」と決めて書くのは難しいのではないかと思う。このように、基礎知識を文にして書けば点数がもらえる記述問題ではなく、自分の頭で考えてまとめるという問題に対しても、記述問題が多く見られる「国語」や「社会」と同じように採点者を納得させられる文章が書けるよう練習する必要があるだろう。
これらの問題は、「2020年から始まる新大学入試制度を意識したと思われる問題」(=思考力や表現力を重視する問題)と言って良く、今後も注意が必要だ。
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2019年度「青山学院横浜英和中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
30分で大問は4、小問は30程度で速読即解を要求される分量の上、【大問1】を中心に計算を必要とする問題が増えたので前年度までのように時間に余裕があると言うことはなくなり、問題の選択次第では最後まで解けなかった可能性がある。要注意だ。
昨年度予想したとおり問題の質に大幅な向上が見られ、学校の難易度に合わせて問題の難化が進行中であり、かつての易しかった過去問に対応できるだけでは不十分なので「標準~やや難」レベルの問題に多くあたっておきたい。
【大問1】ものの溶け方
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
図1のグラフを見て、それぞれの物質が水にどれだけ溶けるか、を読み取る問題は典型題ではあるのだが、(2)以降水の重さが250gであることと水温が変化していくので計算などの処理に時間がかかり、過去問の水準で準備を進めてきた受験生はさぞ面食らったことだろう。また、4本のグラフが水温によって微妙に交錯しているのでていねいな計算が必要だ。
(2)グラフは水100gに溶ける量なので、それぞれの重さを(だいたい)読み取った上で2.5倍して加えた重さ100gと比べる。または、固体の重さ100gを2.5でわって、溶ける量が40gより上か下かをグラフから求めても良い。(3)を考えると前者の作業が必要になる。
(5)ではろかした上で水温を変化させるので細心の注意を払おう。
(6)では、一瞬問題が単純化したように思えるが①で「水溶液」を400g作ったのであって水を400gにしたのではない。ここは多くの生徒が引っかかったと思われる工夫が施されている。水溶液が400gなので、60℃での水とミョウバンの割合は(100:60=)5:3となり、比例配分して150,250となる。このうち150gが①の答え。水250gは②で使う。
①で求めた水250gから100gを蒸発させるので水は150gとなり、水温20℃で溶けるミョウバンの重さは(10×1.5=)15gとなる。あとは150からひけばよい。
(1)(4)の知識を除くとどれも本格的な計算問題となっている。今後も最初に重たい大問が出されるおそれはあるので、じっくりと取り組む姿勢をつくって臨むか、または解くのをあとにまわしてやりやすそうな大問から取り組むべきである。
【大問2】眼のつくり・はたらき
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
基礎知識を用いて解く問題がほとんどだが、(1)のような聞かれ方はついぞされたことはないだろうし、(2)の眼のつくり、(3)の虹彩(こうさい)のはたらき、(4)の記述などどれも一筋縄ではいかない内容である。(5)はまだしも(6)は難問なので生物分野の暗記問題とはいえ簡単に得点できない。頻出分野だけでなく、少しマイナーな内容にも目を向けておきたい。
【大問3】太陽系の惑星
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
火星の大接近を中心とした、火星と金星の内容が主になっている。(1)(2)は持ち合わせの知識で答えられるだろう。(3)は本来計算して求めるところだ。近年惑星の問題がよく出されるので知識としてウを選べた生徒もいるかもしれない。計算問題としては比較的よく見かけるものである。
(4)は①と③の比較に悩むところ。(5)では面積なので(1.5×1.5)として計算しなければならない。(6)は火星の表面がなぜ赤いのか、鉄の酸化によるというそもそもの原因と火星が太陽の光を受けて光っているからという両面から答えたい。(7)も答えにくい設問でありここも単純な知識問題で終わっていない。
【大問4】ものの運動
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
分野が物理であり図や表がちりばめられているのでさぞかし手のかかる問題と思いきや、計算はまったく要らない上に表も読み取りやすくなっており、本年度の大問の中ではもっとも素直な内容になっている。「トロッコを落とす高さ」に注目するという点さえぶれなければ、どの設問にも正しい答えを導けただろう。
ただ、【大問1】から【大問3】に時間をかけすぎて解く時間が残っていなかったとすれば不幸である。テストとは、与えられた時間の中でいかに効率よく得点できるか、を競う(語弊はあるが)ゲームであるという原点に立ち返り改めてテストの受け方を考えてみよう。
攻略のポイント
テスト時間は30分で50点満点。
受験者平均点は「19.9点」、合格者平均点は「23.6点」と大幅に下落した(2018年度は30.7点、36.6点)。受験生の質・量は上がっていることを考えると、問題自体の難化と【大問1】に時間をかけすぎてすべての問題に目を通せなかった受験生が見られたと思われる。
その代償として、本年度のテストであれば25点(50%の得点)で十分に合格点である。
青山学院横浜英和志望の生徒にとっては、受験勉していくステージがあきらかに変貌したと考えるしかない。普段から本格的な計算問題、標準以上の問題にも手をつけて対策していきたい。前にも書いたが、以前の易しい過去問がなんとか出来る程度では今後のテストには対応できない可能性がある。
「ただし、青山学院横浜英和中学は新しい学校であり、現在進行形で伸び盛りの学校である。受験者の質に合わせて問題を難化させる可能性を十分に秘めている。そんなときにあわてないよう、もうワンランク上の入試問題もふまえた勉強も心がけておいた方が良いだろう。」
「」内は昨年度書いた「攻略のポイント」の内容である。期せずしてその通りの結果となった。来年度さらなる変化もあり得る。質量とも豊富な演習を積み本番に臨みたい。
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