早稲田大学高等学院 入試対策
2019年度「早稲田大学高等学院の英語」
攻略のための学習方法
長文読解における留意するべき点ついて、以下に述べてみたい。
- ①正確な文法事項についての理解と知識を蓄えよう
「自分は文法は苦手で、文法問題の得点は安定しない」、「文法知識がなくとも、英文が自然と読める」という声を耳にすることがある。これらの「声」に共通しているのは、どちらも「文法事項に重点を置いていない」ということである。特に、後者の「英文が自然と読める」という状況は、実は「本当は英文が読めてはいない」のである。例えば、接続詞の‘as’について少々考えてみたい。接続詞のasには、時(~のとき)、理由(~なので)、譲歩(~だけれども)、様態(~のように)、時の経過(~につれ)という基本的な意味がある。英文における接続詞のasは、上記のうちのどの用法であるかの判断をしなければならない。受験生の中には、上記用法を一つ一つ当てはめて「これが何となく当てはまるかな、しっくりいくな」という程度の判断で、意味を決めてはいないだろうか。このやり方は合理的ではない。原則的には、接続詞を用いた文章なので「条件節(従属節)」と「帰結節(主節)」とがあるから、これらの2つの英文の日本語訳を考え、日本語でつなぐ方法を考えてみる。具体的には、‘As I broke the vase , I was scolded by my mother.’という英文を考えてみよう。まずは、2つの節を別個に訳してみると「私は花瓶を壊した」と「私は母に叱られた」になる。これらの日本文を自然な日本語感覚で考えると、「私は花瓶を壊したので、母に叱られた」という「理由」でつないだ文章になることは容易に想像がつく。また、上記用法のうち「譲歩」に関しては、条件節の中で「倒置」が行われるのである。例えば、‘As kind he was , he did such a thing.’については、‘he was kind’ではなく、‘kind he was’と倒置が用いられている点が特徴である。また、「~するにつれ」という意味になる場合には、ⅰ)変化を表す動詞が使われている場合、ⅱ)thanなし比較級が使用されている場合がある。ⅰ)の変化を表す動詞とは、increase、decrease、develop、growなどが代表例である。これらの動詞は、時間的間隔のあいた2点間における変化を表すので、当然そのような状況のもとでは、「~するにつれ」となるのである。また、ⅱ)の比較級は従来型のそれとは少々内容が異なるのである。従来型の比較級とは、時間的に今この時(=時間的変化はない)における異なるAとBという2つの事象を捉えて比較するのであるから、比較の対象基準となるものが必要になり、それがthan以下に表現されるのである。言い換えれば、この場合は時間的に水平方向(時間変化がない)に関することだけなのである。従って、そこには「時の経緯」はない。一方、thanなし比較も存在する。これは時間の経過の中で、AがA’になるということであり、時間的水平方向とは対照的に時間的垂直方向での変化である。具体的には「太郎はより背が伸びた」という内容の文であり、ここには時間の経過があり「A⇒A’になった」ということである。従って、thanなし比較級が含まれる条件節が‘As’で導かれる場合には、「~につれ」となるのである。
以上、‘As’について、用法を中心に述べたがその他にも様々な文法に関連した事項があるので、日々の学習の中で一つ一つ習得していってほしい。
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2019年度「早稲田大学高等学院の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問Aは長文(エッセー)総合読解問題<26分>。出題形式は、内容真偽、would用法、語句解釈、整序、書き換え、要旨把握、アクセントなど多種多様である。
大問Bは長文(エッセー)総合読解問題<24分>。出題形式は、英問英答、適語選択、発音、書き換え、英文解釈、整序、要約文(適語補充、単語綴り、内容真偽)となっている。
【大問A】英文読解総合問題である
- 時間配分:26分
筆者が幼かったとき、父親に連れていかれた野球観戦に関するエッセーである。筆者が「何」を読み手に伝えたいかを本文に沿って考えること。
1.内容真偽問題である<3分>。
選択肢の英文の意味は、「少年だったころ、父親は頻繁に自分のことをスタジアムに連れて行ってくれたものだった。最安値のチケットを購入するためには、日曜日に早起きし、車で何時間も移動し、球場内に入るまでに長いこと待たなければならなかった」であり、これは本文に即しているので真である。
- 選択肢の英文の意味は、「今でも、自分と父はスタジアムに一緒に出掛ける。今でも私たちは最安値のチケットを購入する。理由は、本当のファンは常に外野席にいることをよく知っているからである」であり、本文によると「今は、グランドに近い席」に座るのであるから、この選択肢は本文に即していないので偽である。
2.用法選択問題である<2分>。
本文の‘would’の用法は、「過去の習慣(~したものだった)」である。
3.語句の解釈問題である<2分>。
‘the lowest priced seats up in the back’が何を言い換えているかを本文に即して考えること。
4.語句解釈問題である<2分>。
直前の英文から「通貨の単位」を表す単語であり、かつ「d」で始まる単語である。
5.整序問題である<3分>。
‘too’と‘to’より、‘too ~ to …’を考える。「~」の部分に「形容詞」だけではないので、品詞の順番に気を付けよう。最後は、‘pass up’で「~見送る」としたい。
6.下線部解釈問題である<3分>。
各選択肢中の英単語の意味を辞書的意味は当然のこととして、その根っこの意味(より根源的な意味)を考えよう。
7.語句解釈問題である<2分>。
「遠く離れている外野席」から「何」があれば試合をもっとよく観戦することができるかを考えること。しかも、「2」に関係している。
8.適語補充による書き換え問題である<2分>。
(7)は、‘neither’の否定構文で倒置になっている。(15)は、‘other than ~’は「~以外の」というイディオムである。書き換えるならば、‘nothing but ~’=「~だけ」となる。
9.語句解釈問題である<2分>。
文脈から‘down’の意味を類推する。
10.分の区切りの問題である<1分>。
与えられた英文は「主語」が関係代名詞によって長くなっている。このような場合には、主語の部分でいったん区切る。
11.内容把握選択問題である<1分>。
‘stadium experience’とは、前後の文脈か‘stadium’ならではの状況を考える。
12.単語のアクセント問題である<1分>。
紛らわしいアクセント問題である。特に、‘entertained’には注意するように。
13.本文要約文完成問題である<2分>。
基本的なイディオムの知識(‘far from ~’、‘would rather ~’など)があれば、完答できる問題である。
【大問B】英文読解総合問題である
- 時間配分:24分
先祖伝来、農業に従事してきた筆者の家族にまつわるエッセーである。農作業の過酷さ農家の生活の様子などを中心に書かれている。
- 1.英問英答問題である<2分>。
各英問の意味は以下の通りである。- ①誰が彼女の祖父母の家を建てたのか。
- ②祖母はどこで服やシーツを洗ったのか。
- ③祖母はシャツにアイロンをかけるのを助けるために何を使ったのか。
- ④筆者はなぜ服をアイロンがけすることについて質問し始めたのか。
- 2.適語選択問題である<1分>。
(1)「~している間に」という意味の接続詞を選択したい。
(3)「時間と手間をかけて完璧にする」というイディオムを考える。
- 3.適語補充問題である<1分>。
(8)「いったい」は‘on earth’である。
- 4.語形変化問題である<2分>。
(4)‘wear’の過去分詞の形にする。過去分詞の形容詞的用法である。
(16)‘ironing’と動名詞にすることで主語を表す形に変化させる。
- 5.発音問題である<2分>。
発音(アクセントも含め)は、意識して日頃の学習時において一つ一つ知識を習得すること。
- 6.書き換え適語補充問題である<3分>。
(7)時制の関係より、that節の中は過去完了形にする。
(15)‘nor’があることに注意しよう。
- 7.下線部英文解釈問題である<2分>。
(12)‘thin on top’とは「てっぺんが薄くなる」つまり「髪の毛が薄くなる」ということである。
(17)「どれほどの意味があるのか」ということは「どれほど重要であるか」ということである。
- 8.整序問題である<2分>。
「祖父が顔に比べて大きすぎる分厚い眼鏡をかけている理由」に関する個所である。基本的なイディオムと文法事項(関係代名詞省略)を押さえておきたい。
- 9.要約文問題である<9分>。
- ①‘remind ~ of’や‘pay attention to ~’などの基本イディオムを確実に覚えておくこと。
- ②本文の前後を読んで、文脈に即して適切な選択肢を選ぶこと。
- ③発音記号から‘remain’の綴りを問う問題である。
- ④内容真偽に関する問題であり、正確に内容を把握すること。
攻略のポイント
設問形式や長文(エッセー2題)の内容を見てみると、それほど難易度の高い問題ではない。解答するために必要な知識(単語・イディオム・文法)に関しても、その8割以上は基本的事項であり、受験生の殆どは「周知の事実」であろう。ただし、合格するためには「単なる知識」を超えた「理解」が求められる。例えば、前置詞の理解である。‘down’や‘on’や‘with’などの前置詞が、根本的にどのような意味を有するのかについての知識をベースに、英文中においてどのような意味を持たされているのかについての「考察」を適切に行わなければならない。