江戸川学園取手中学校 入試対策
2019年度「江戸川学園取手中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「江戸川取手対策」では前述の通り、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野を確実に定着させることが最優先となる。
「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも行うこと。完全な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいかな人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。
塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。
6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」での「詳細な知識」が求められる江戸川取手ではなおさら。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、江戸川取手おなじみの「深知り難問」など絶対に無理だ。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。
1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
[手づくり式学習]
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、江戸川取手ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。
「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「江戸川取手対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。
過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
[意識継続式学習]
いつなんどきも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無意味。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。江戸川取手の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。
だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2019年度「江戸川学園取手中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は「地理」(「世界地理」中心。一部「公民」あり。最後に「考察問題」)。
「国際関係を学んだ5人の生徒による国際模擬会談の内容」からの出題。小問は全9問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「漢字」「カタカナ」指定あり)、「時差問題」、「考察自由記述」(1問)。
大問2は「公民」(「時事」1問あり)。
「日本の国際協力」に関する出題。小問は全4問(解答数4)、「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(アルファベット指定)。
大問3は「歴史」(「時事的要素」あり)。
「日本におけるキリスト教の歴史についてのリード文」からの出題。小問は全7問(解答数7)、「選択肢」(「不適切」あり)、「人名記述」(漢字指定)、「説明記述」(3問)。
大問4も「歴史」。
「日本における仏教の歴史に関するリード文」からの出題。小問は全7問(解答数7)、「選択肢」、「事項(国名・地名)記述」(「空所補充」あり。全て「漢字指定」)。
大問5は「公民」。
「国会についてのリード文」からの出題。全5問(解答数8)、「選択肢」(「不適切」あり)、「事項記述」(「空所補充」あり。全て「漢字指定」)、「説明記述」(1問)。
大問6も「公民」(「時事」1問あり)。
「日本の社会保障制度に関するリード文」からの出題。全3問(解答数5)、「事項記述」(全て「空所補充」で「漢字指定」)、「説明記述」(2問)。時間配分は、「説明記述」が各1分半ほど、他は1問を1分弱で解くというペース。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。
(650字)
【大問1】「地理」(「考察記述」初出。一部「公民」あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
「国際関係」を学んだ生徒(A)~(E)の5人が、「アメリカ」・「シンガポール」・「中国」・「ドイツ」・「日本」のいずれかの代表となって行った「国際模擬会談の発言内容」からの出題。「雨温図」と「地図」を交え、各国どうしの関連での「世界地理」や「公民」の知識が問われている。そして、最後に本校では初出の「考察自由論述問題」が控えている。難易が混在している大問なので、慎重に解いていきたい。以下、いくつかの「設問」を確認する。
[問1] 「参加国についての組み合わせ選択肢設問」(6択)。「世界地理」単元。「国際模擬会談」に参加している(B)(C)(D)(E)が代表となっている「国の組み合わせ」を答える。
それぞれの「発言内容」の「キーワード」から特定していきたい。(B)「人口が世界で最も多く」⇒これだけで「中国」だと誰もが判断可能。この段階で選択肢は(イ)か(オ)の2択となる。両者の違いは、(D)(E)がそれぞれ「ドイツ」と「シンガポール」で入れ替わっていること。(E)には「私の国は赤道直下にあり」とある⇒であれば、(E)=「シンガポール」で決定だ。したがって、その「組み合わせ」である(オ)が「答え」になる。「組み合わせ選択肢」では、分かりやすい項目で一気に選択肢を絞り込むことが肝要だ。
<時間配分目安:1分弱>
[問3] 「下線部についての事項記述設問」(漢字4字指定)。「世界地理」単元。「Bの発言内容」中の下線部②「沿岸部には税制面で優遇することで外国企業を誘致する地区を設置」について、「このような地区を何と呼ぶか」を「漢字4字」で答える。
(B)は「中国」の代表だ。「外国企業」を誘致し、「中国」の経済発展の原動力となった特別な地域といえば、そう、「答え」は「経済特区」だ。深圳(しんせん)、厦門(あもい)などに設置されている。日本においても「小泉内閣」の「構造改革政策」の一環として全国の地方自治体に「構造改革特別区域」が設置され、その後も「スーパー特区」や「復興特区」、「国家戦略特区」などさまざまな「特区」が設置されている。覚えておきたい。
<時間配分目安:1分弱>
[問4] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「日本地理」単元。「Cの発言内容」中の下線部③「1980年代に(Aのアメリカと)貿易摩擦が生じました」について、「この貿易摩擦の主な原因となった製品」を答える。
(C)は「日本」の代表だ。勝手知ったる「日米貿易摩擦」だ。各選択肢は、(ア)「米」・(イ)「コンピュータ」・(ウ)「自動車」・(エ)「鉄鋼」。あれれ、(イ)の「コンピュータ」以外は、どれも「日米貿易摩擦」の対象となった製品ではないか。確かにそうだ。どう判別するか? 下線部に「1980年代」とあるので、「時期」で特定する必要がある。確認したい。最初は1950~60年代の「繊維」→1970年代は「鉄鋼」「カラーテレビ」→1980年代初めに「自動車」→1980年代後半には「半導体」→1990年代に入り「農産物」=1991年「牛肉・オレンジの輸入自由化」⇒1999年「コメの輸入自由化(関税化)」といった流れだ。したがって、「答え」は(ウ)の「自動車」だ。本問では「深知り知識」が必要だった。本校ではこうした出題があると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問6] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「世界地理」単元。「Eの発言内容」中の下線部⑤「(私の国も)近隣諸国との地域協力機構を組織」について、「この組織の名称」を答える。
(E)は「シンガポール」の代表だ。同国が加わる「地域協力機構」といえば無論、「東南アジア諸国連合」だと、誰もが知っているはず。が、各選択肢は全て「アルファベット略語」なので注意を要する。それぞれを確認したい。(ア)「ASEAN」、(イ)「AU」、(ウ)「NAFTA」、(エ)「NATO」。流石(さすが)に即「答え」は(ア)だと特定できなくてはいけない。現在、「東南アジア諸国連合(ASEAN)」には「シンガポール」を始め「10か国」が加盟している。尚、「AU」=「アフリカ連合」、「NAFTA」=「北米自由貿易協定」、「NATO」=「北大西洋条約機構」だ。ひとつでもあやしいものがあった諸君はしっかりと復習しておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問8] 「下線部に関する数字記述設問」({解答欄指定}あり)。「世界地理」単元。「Eの発言内容」中の下線部⑦の「時差」に関して、「アメリカのニューヨークは西経75度」に位置するが、「日本が1月5日午後1時のとき、ニューヨークでは何月何日午前・午後何時か」を答える。
「解答欄」は「 月 日 時」となっている。「時差問題」だ。意外と苦手な諸君が多いので注意したい。「時差」では、両地点が「経度」でどれだけ離れているかがポイントだ。本問では、「日本」の「標準時子午線」は「東経135度」(この数字は知っていることが前提)、「西経」と「東経」ということは「経度0度」をはさんで「西」と「東」に離れているので、「75度」と「135度」とを足した「経度」が両地点間の間隔となる。よって、「75度」+「135度」=「210度」の間隔。「経度15度で1時間の時差」(これも常識)なので、「210度」÷「15度」=「14時間」の「時差」だ。無論、「東」の方が時刻は「早い」ことになり、「日本」は「ニューヨーク」より「14時間」早い「時刻」になる。ということは、「1月5日午後1時」=「1月5日13時」-「14時間」=「1月4日23時」だ。したがって、「答え」は「1(月)4(日)午後11(時)」になる。「時差計算」では、両地点の「経度」の「東・西」が同じであれば「引き算」、異なっていれば「足し算」をして「15で割る」ことがポイントだと心得よ。
<時間配分目安:1分>
[問9] 「下線部についての条件付き考察自由記述設問」(「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。「考察」問題。「Aの発言内容」中の下線部⑧の「カナダ」について、「アメリカとカナダの間には国境問題が存在する」が、それに関して示されている「〈ア〉〈イ〉〈ウ〉の『主張』」で、「〈ア〉の『主張』とその『根拠』」、「〈イ〉の『反論』」をまとめた上で、「自分だったらどのように解決すべきか」を「理由」とともに説明する。「条件」は付されている「図」(カナダとアメリカの国境地帯の地図)を「参照する」こと。
本校では初めての「自由考察問題」だ。とりあえず考えてみるが、〈ア〉と〈イ〉の「主張」を読み「図」を参照しても、どう答えればいいのかが分からない。どうするか? ここで、何かに気づかないか? 何やら違和感がないか? 直接問われているのは〈ア〉と〈イ〉だけだ。では、なぜ〈ウ〉の「主張」が示されているのか? そうだ。関係ないはずがない。確認してみる。すると、「第三者である私には歴史的、文化的な面は分からない」とある。つまり、〈ア〉の「主張」=「歴史的」、〈イ〉の「主張」=「文化的」だと教えてくれているのだ。その上で、〈ウ〉は「政治・経済的に共同統治するのが理にかなっている」と「主張」している。であれば、〈ウ〉と同じ「第三者」である「自分」(=受験生)は、同様の観点から「説明」すればいいわけだ。あとは、自分自身の「考え」を「過不足なく」まとめていけばいい。初出の問題ではあったが、「問題文」そのものに必ず「手がかり・ヒント」が隠されていると信じて、しっかりと「考察」していけば答えられるのだ。
<時間配分目安:2分強>
【大問2】「公民」(「時事」1問あり)
- 難度:易
- 時間配分:3分
「日本の国際協力」に関する出題だ。「統計資料」についての出題はあるが、「公民」の「国際分野」に関連する平易なものばかり(1問だけデータとしての「時事問題」あり)。一気呵成に「全問正解」といきたい大問。2問だけ検討する。
[問3] 「アルファベット略語についての不適切選択肢設問」(4択)。「公民」単元。「ODA」についての説明で「誤っているもの」を答える。
「ODA」が「政府開発援助」のことだというのは誰もが知っていて当然。無論、その内容についても理解していなくてはいけない。各選択肢の正誤判別をする。
(ア)「先進工業国が発展途上国に対して行う経済援助」⇒何ら問題がないはず=適切、
(イ)「無償援助と有償援助がある」⇒やや悩むかも知れないが、考えれば分かる=適切、
(ウ)「日本は2014年の実績ではアメリカに次いで世界第二位」⇒「2014年」? 「世界第二位」? どうも曖昧(あいまい)だ=保留、
(エ)「資金援助のほかに技術協力なども含まれる」⇒「青年海外協力隊」があるのは周知の事実=適切。
ということは、結果的に(ウ)が「答え」だと判別できる。日本の「ODA実績」は、1989年にはアメリカを抜いて初めて「世界最大の援助国」になり、2000年までの10年間「世界第1位」だったが(ただし1990年を除く)、その後減少して2018年はアメリカ、ドイツ、英国に次いで「第4位」となっていることも押さえておきたい。
<時間配分目安:30秒>
[問4] 「事項記述設問」(「アルファベット3字」指定)。「公民」単元。「民間で国際協力活動に取り組んでいる組織を何と呼ぶか」を「アルファベット3字」で答える。
「民間」+「国際協力」=「答え」は「NGO」だとすぐに結びつく。「NGO」=「非政府組織」で、「国境なき医師団」や「アムネスティ・インターナショナル」などがすぐに思いつかなくてはいけない。ちなみに、対比される組織として「NPO」=「非営利組織」も押さえておきたい。ただし、両方ともに「非政府」で「非営利」であって、その違いは「NGO」は「海外」、「NPO」は「国内」だということは理解しておくこと。
<時間配分目安:30秒>
【大問3】「歴史」(「時事的要素」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
「2018年6月、『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』が世界文化遺産に登録」という「時事ネタ」を切り口にしての、「1549年以降の日本におけるキリスト教の歴史についてのリード文」からの出題。「歴史」についての「選択肢設問」(「不適切」あり)と「説明記述設問」の大問だ。前者は平易で間違うはずもないので(そうあってほしい)、やや厄介な後者の1問についてだけ検証してみる。
[問6] 「下線部についての条件付き理由説明記述設問」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。「リード文」中の下線部⑤「江戸幕府は1612年に幕府直轄地に、翌年には全国にキリスト教の禁止を布告」について、「江戸幕府がキリスト教を禁止した理由」を説明する。「条件」は「江戸幕府の民衆支配の方針との関連で説明する」こと。
いわゆる「禁教令」についての問題。その「理由」は主に3つが考えられる。
①「キリスト教の教えは主君よりも神の教えに従うというものであったので、封建社会に合わなかったから」、
②「キリスト教の布教は、スペイン・ポルトガルが日本を植民地にする手段ではないかと疑ったから」、
③「キリスト教徒が信仰によって強く団結し、抵抗するのを恐れたから」だ。
本問では、「条件」として「江戸幕府の民衆支配の方針との関連」で説明するのだから当然、①での「説明」となる。たとえば、「人間は神の前では誰もが平等だというキリスト教の教えは、幕府の支配方針である武士を頂点とする身分制度と合わなかったから。」(59字)といった「答え」だ。「条件」=「手がかり・ヒント」と捉え、正確に読み解いていくことが肝要だ。
<時間配分目安:1分半>
【大問4】「歴史」(「地名記述」あり)
- 難度:標準
- 時間配分:5分
「日本における、飛鳥時代から明治時代に至る仏教の歴史に関するリード文」からの出題。「歴史」単元の基本的な事項を問う小問だけだ。手際よくこなしていきたい。以下、2問だけ考えてみよう。
[問2] 「下線部についての事項記述設問」(漢字指定)。「リード文」中の下線部①の「(仏教が)552年に伝わったという説」をとる「720年に成立した歴史書」の名称を「漢字」で答える。
「リード文」にもあるように「仏教伝来」については「538年」という説もある。だが、「2つの説」についての細目を正確に理解している諸君はいないだろう。では、どうする? 問題文をしっかりと読む。「720年に成立した歴史書」とあるではないか。「仏教伝来」との関連は不明だとしても、「720年」=「奈良時代」の「歴史書」といえば、「古事記」と「日本書紀」しかない。で、「古事記」は主に「神話」だと知っているはずなので、「答え」は「日本書紀」だと特定できるはずだ。尚、「538年説」は「上宮聖徳法王帝説(じょうぐうしょうとくほうおうていせつ)」と「元興寺縁起(がんごうじえんぎ)」によるものだ。細目は別として、基本的なことは知っておいた方がいい。
<時間配分目安:1分弱>
[問7] 「下線部についての選択肢設問」(4択)。「リード文」中の下線部⑥の「明治時代」の「文化」に関する説明を答える。
各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。
(ア)「ラジオ放送が始まり」⇒知ってのとおり、「ラジオ放送開始」は大正時代の「1925年」(「普通選挙法」「治安維持法」制定と同年)=不適切。
(イ)「社会主義の影響を受けたプロレタリア文学」⇒日本での「社会主義」の広がりは大正時代以降だと理解しているはず=不適切。
(ウ)「ドイツに留学した滝廉太郎が『荒城の月』を作曲」⇒「滝廉太郎」「荒城の月」=「明治時代」は常識だが、「ドイツ留学」は?=保留。
(エ)「湯川秀樹ノーベル賞受賞」⇒「戦後」だということは常識、1949年だ=不適切。
ということは、「消去法」で「答え」は(ウ)だと特定可能だ。当然のことだが、「選択肢設問」では「消去法」を適切に活用することが求められる。
<時間配分目安:30秒>
【大問5】「公民」(「説明記述」あり)
- 難度:易
- 時間配分:7分
「日本国憲法に規定されている国会の位置づけに関するリード文」からの出題。「公民」の「政治分野」についての基礎的定着度が試されている。本校志望者であれば「全問正解」といきたい大問だ。2問だけチェックしたい。
[問3] 「下線部についての条件付き理由説明記述設問」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。「リード文」中の下線部①「(国会は)国権の最高機関」について、「国会が他の機関よりも高い地位を憲法で保障されているのはなぜか」を説明する。「条件」は「『主権者』という語句を用いて説明する」こと。
「条件」が最大の「ヒント」だ。日本国憲法において「主権者」はもちろん「国民」、つまり、「国民」が「国権の最高機関」になる。そして、その「国民」の「代表者」である「国会議員」によって構成されているのが「国会」なのだ。こうした内容を的確にまとめていけばいい。たとえば、「国会は主権者である国民の代表者によって構成されているから。」(29字)といった「答え」になる。「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると改めて心得よ。
<時間配分目安:1分>
[問5(1)] 「下線部に関する選択肢設問」(4択)。「リード文」中の下線部②「法律を制定」に関して、「法律案の審議」についての説明を答える。各選択肢の「キーワード」で正誤判別する。
(ア)「全国の有権者の50分の1以上の署名を集めれば、国会に法律案の提出を直接請求できる」⇒「直接請求権」があるのは「地方公共団体」だけ=不適切。
(イ)「法律案の提出ができるのは内閣だけ」⇒「法律案」は「内閣または国会議員」から提出されるということは誰もが知っている=不適切。
(ウ)「先議の議院は衆議院でも参議院でもよい」⇒「衆議院の優越」は「予算先議権」ということは常識=適切。
(エ)「本会議ではそれぞれ総議員の3分の2以上の議員が賛成しなければ、可決されない」⇒無論「過半数で可決」だ。「3分の2以上」は「再可決」の場合=不適切。
したがって、「答え」は(ウ)だ。「政治分野」ではさまざまな「数字」が重要となるので、正確に把握しておくこと。
<時間配分目安:30秒>
【大問6】「公民」(「説明記述」あり)
- 難度:難
- 時間配分:7分
「日本国憲法第25条の規定から、日本の社会保障制度について説明したリード文」からの出題。「公民」と「時事」の大問で、一見何の問題がなさそうだが、いざ答えようとすると意外と厄介な小問がある。やや難問だ。以下、それら2問を検討しよう。
[問1(2)] 「語句の空所補充記述設問」(「漢字2字」指定)。「公民」単元。「リード文」中の空所(2)に「当てはまる語句」を「漢字2字」で答える。
空所前後を確認する。「(社会保障制度で)長生きをしたり、不慮の事故で働けなくなった人の生活を保障するのは( 2 )保険」となっている。「社会保障制度」での「○○保険」なのだから、「医療保険」「年金保険」「労働災害補償保険」「雇用保険」「介護保険」のどれかに決まっている。が、ここで一瞬悩むかも知れない。「長生きをしたり」⇒「年金保険」のはずだが、「不慮の事故」⇒「労働災害補償保険」? 確かに、「労働災害」での「不慮の事故」もあり得るが、「年金保険」は「老後」のためだけではなく「障害」「死亡」の場合でも受け取ることができる。よって、「答え」は「年金(保険)」でいい。細部までの「知識」が定着していないと悩むことがあるということだ。
<時間配分目安:30秒>
[問3] 「関連する内容説明記述設問」(「字数指定」なし、「90字ほど」の解答欄)。「時事」単元。「社会保障制度」に関連して、「近年、全ての国民に生活のための決まった額のお金を国が支給するという、ベーシックインカム(最低所得保障)を導入すべきかどうか議論されている」が、この制度を導入することの「メリット」について説明する。
「ベーシックインカム」という制度自体は典型的な「時事問題」であって知らなくてはならないが、その内容を適切に理解していて「メリット」を説明するとなるとかなりハードルが高い。「問題文」を「手がかり」として、しっかりと考えていくことが必要だ。「全ての国民に生活のための決まった額のお金を国が支給する」⇒「子どもが多いほど一家の収入が増える」=「少子化対策」、「無理をして働く必要がなくなる」=「働き方改革」、「複雑な社会保障制度が単純になる」=「行政改革につながる」……などといった「メリット」が考えられるはずだ。そうした内容を「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「全ての国民に支給されるので子どもが多いほど収入が増えることで少子化対策につながるし、複雑な社会保障制度が単純になり行政改革になり、また最低限の保障によって働き方改革にもなる。」(87字)といった「答え」だ。難問ではあるが、とにかく考えてみるというチャレンジはすべきだ。
<時間配分目安:2分半>
攻略のポイント
●基礎的な問題の中に、いきなり現れる「深知り難問」、そこで、ペースを乱されないためにはどうするか? もちろん、落ち着くことだ。が、そうは容易くはない。そこで、いったんその「難問」を飛ばしてみる。分かりやすいものから次々と答え、また戻ってくればいい。そうした「戦術」も「攻略法」のひとつと心得よ。「合格ライン」は6割台半ば(過去4年間の合格者平均得点率は68.1%、本年度も68.1%)。重要なことは「取れる問題を確実に押さえる」こと。逆にいえば「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。もちろん「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「基礎的知識問題」を確実に押さえることで、基礎点(6割弱=受験者平均)は獲得可能だ。あとは本校対策の結果として勝ち取りたい。
●本年度、本校としては初めて新たな「大学入試制度」を意識した「考察自由記述」が出題された。来年度以降も出題が予想されるので、新たな本校対策として練習しておくことが不可欠だ。
●「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」も忘れてはいけない。前者はいかに「細部」に着目して「判断」できるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていることを心得ておきたい。「リード文」、「設問文」や「設問条件」、「設問どうしの関連」等々と「自らの知識」を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。従って、「多角的思考」ができるよう、十分に訓練しておきたい。
●「地理の難問」もポイントとなる。特に、「地図上での位置特定」が難解(とても細かい「地理的感覚」が必要になる)。「河川」「湖沼」「半島」「岬」「山脈・山地」「平野」「盆地」等の「名称」と「位置」を「地図上」でしっかりと押さえておくこと。その際に、何か自分自身で分かりやすい「目安」を決めておくといい。
●尚、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた(最新版)」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。また、「事項定着」は「漢字」で行うこと。本校では基本的に「漢字指定」だ。
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リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。