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学習院中等科 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「学習院中等科の理科」
攻略のための学習方法

学習院中等科の理科の出題は、塾のテキストや問題集で学習していれば解答可能な問題が中心であるが、細かい知識や時事問題が含まれているのが特徴。また、計算問題も多めで、日頃からの練習が必要。分野毎の学習方法は以下の通りである。

 

<分野毎の学習法>

 

生物分野

本年は昆虫を中心とした節足動物に関する出題で、かなり細かい知識を問うものもあった。ここ数年の出題を見ると、動物のからだのつくりや生態について、昆虫についてなどの出題が見られる。例年、やや長めのリード文を読んで答える問題が中心になっている。この分野の学習法として、植物については、光合成、呼吸などの基本的な知識を身につけておきたい。また、昆虫については、チョウ、セミ、バッタ、トンボといったような代表的な昆虫のからだのつくり、食べ物、冬越しの方法といった基本知識を確実に覚えて欲しい。動物の分類やセキツイ動物に関してもしっかり知識を整理しておきたい

なお、学習の際には、図鑑や資料集などの写真、絵を確認しながら進めて欲しい。

 

地学分野

本年度は地球の歴史と環境問題に関する出題であった。ここ数年を見ると、台風、大陸の移動、化石などから出題されている。今後は、季節の星座や星の動き・太陽の動き・月の満ち欠けなど天体に関しての出題も考えられる。また、気温の変化・台風など気象に関する出題、地層や岩石に関する出題も予想される。この分野においても、基本知識を確実に覚えることが大切である。天体については、現象の理屈を理解した上で覚えて欲しい

 

物理分野

てこのつり合いに関する出題であった。棒の重さを考えるタイプの問題で、日頃からの練習の成果を発揮しやすい出題であった。ここ数年では、物の運動や浮力など力のつり合いに関して出題が多い。今回は出題されていないが、ここ何年かでは浮力に関する出題が非常に多い。今後も力のつりあい、電気回路を中心とした出題が予想される。この分野の学習法としては、力のつり合いに関しては基本知識を固めるとともに、てこのつり合いや浮力等の計算問題の練習をしっかり行って欲しい。電気回路については、豆電球の明るさを中心に、発光ダイオード(LED)、手回し発電機、電磁石、方位磁針の振れ、電熱線の発熱についても基本的な問題は確実に解けるように練習して欲しい

 

化学分野

本年度はものの溶け方に関する出題であった。ここ数年では、水溶液の性質、水の三態変化などに関する出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、水溶液と金属の反応、金属の燃焼、溶解度、熱量(カロリー計算)等に関しては簡単な計算問題が解けるように練習して頂きたい

 

上記以外では、時事問題が毎年必ず出題されている。ニュースになっている化学的発見や発明、日食や月食等の天体現象、地震や台風など自然現象について、時事問題対策用のテキストや問題集を使って対策をしっかり行って欲しい

 

模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。

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2019年度「学習院中等科の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問4題と時事問題の小問集合で、小問数が25題程度であった。試験時間は40分で80点満点、例年通りであった。例年、合格者の平均点は6割~7割程度であるが、今年度は5割程度で、やや難化している。適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心であるが、記述問題も何題か見られた。試験時間が40分あるので、慌てることなくできる問題から解答用紙を埋めていくことを心がけて欲しい

【大問1】時事問題 小問集合

  • 難度:やや難
  • 時間配分:4分
  •     地中で微生物等によって分解されるプラスチックを生分解性プラスチックという。
  •     あらたに発見された木星の衛星は、時計回りに公転している。
  •     本庶佑博士は、免疫機能を妨げる体内物質を発見し、その仕組みを利用したがん治療法開発の功績から、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
  •     はやぶさ2が撮影した写真によると、小惑星リュウグウの表面はゴツゴツした岩石でおおわれている。

時事問題の小問集合であるが、やや細かい内容を含んでおり、事前の対策が必要と思われる。気象や地震など自然現象、科学技術、ノーベル賞等に気を配って欲しい

 

【大問2】生物 昆虫などの節足動物

  • 難度:
  • 時間配分:9分
  • 問1  昆虫には触覚があるが、クモにはない。また、昆虫の幼虫は脱皮を繰り返すことで体を大きくしている。
  • 問2  節足動物の分類についての出題。昆虫・クモ類・多足類・甲殻類に分類。
  • 問3  昆虫のからだの表面は、空気の乾燥から守るつくりになっている。
  • 問4  完全変態と不完全変態の分類に関する出題だが、かなり迷うのではないか。ウスバカゲロウ・アリは完全変態だが、カゲロウ・シロアリは不完全変態。
  • 問5  チョウとガの違いに関する出題。ガの触覚は表面積が広くなっている。
  • 問6  昆虫の口のつくりについての出題。日頃から、絵や写真をよく見ているかが問われる。
  • 問7  昆虫の足と羽がどこについているかを絵の中に示す問題。羽が胸部の中のどの体節についているか?はかなり迷うであろう。

 

昆虫を中心とした節足動物に関する知識問題だが、テキスト等で学習しているレベルより細かい知識を問われており、どの問題も難しい。

【大問3】化学 物の溶け方

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題
  • 問1 かき混ぜることで、薬品が水と接する機会が増える。
  • 問2 記述問題。食塩、ミョウバンそれぞれでガラス棒を取り換える。
  • 問3 20-5.9=14.1 より14.1gミョウバンは溶け残る。
  • 問4 水の量と溶ける食塩の量は比例する。四捨五入等の計算を丁寧に行うこと。
  • 問5 グラフ作成と計算問題。問4同様に、ミョウバンが溶ける量は水の量に比例する。

 

問1、問2の実験の進め方に関する問いは迷う可能性あり。問3~問5の計算問題でしっかり正答したい。ここで思うように得点できなかった場合は、溶解度や濃さ等の計算問題の練習を十分に行って欲しい。

【大問4】地学 地球の歴史・環境問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分
  • 問1 46億年を365日で考えるカレンダーなので、1年が約0.13億年に相当する。生息する生物については、「出来事」を参考に選択すること。
  • 問2 二酸化炭素は「温室効果ガス」と呼ばれ、熱をたくわえる性質がある。
  • 問3 オゾン層が紫外線をさえぎっている。
  • 問4 巨大な隕石の落下により環境が変化し、恐竜が絶滅したと考えられている。

 

問2・問3の環境問題は正解したい。問1は地球の歴史の46億年を1年間で表したもの。やや細かい知識が必要。

【大問5】物理 てこのつり合い

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1・問2 おもりの位置は左端から30cm。ばねばかりAから鉄球までの距離とばねばかりBから鉄球までの距離の比は、ばねばかりAにかかる重さとばねばかりBにかかる重さの逆比になる。なお、レールの重さ500gについても、500gのおもりがレールの中央(左端から50cm)にあるものとして同様に考えること。ばねばかりが示す値は、この2つで計算された値の和になる。

問3 レールの重さ+鉄球Eの重さ+おもりFの重さ=1000gなので、ばねばかりの表示が500gになればよい。棒の重さを1:1に、おもりFの重さを3:7に分けると、ばねばかりAには340gかかるので、鉄球Eの重さのうち160gがばねばかりAにかかればよい。

問4・問5 ばねばかりAとばねばかりBが示す値の合計は一定である。ばねばかりAの値は直線的に減少し、ばねばかりBの値は直線的に減少する。 

 

2点で支えるてこのつり合いに関する出題。比での処理が的確にできるかどうかと、てこ(棒)の重さを考慮した処理ができるかどうかがポイント

ここでしっかり得点できなかった場合は、てこのつり合いの計算の問題演習を行って欲しい。その際、棒の重さを考えるてこ、2点支持のてこのつり合いを含む問題演習に力を入れて欲しい。

攻略のポイント

今年度の出題は時事問題を集めた小問集合と大問が4題であった。各分野から出題された大問4題の中で、生物分野からの出題はかなり細かい知識を問う難問であった。計算を必要とする問題や記述問題もあったが、計算問題に関しては、塾にテキストや問題集で見かけるレベルの問題であった。例年出題される時事問題は、細かい内容も見られ、事前の対策が必要である。

本校の理科を攻略するためには、まずは、各単元をまんべんなく学習し、基本的な知識を確実に身につけることが最も大切である。計算問題も出題されるので、基本的な計算問題の練習も不可欠である。その上で、時事問題対策をしっかり行って欲しい。日頃から科学や自然に興味を持って接することが大切だが、入試直前には塾や書店で時事問題対策のテキスト・問題集を手に入れ、理科に関する部分をしっかり読み、内容を理解して頂きたい

家庭教師に時事問題対策を相談することも必要であろう。

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