桜蔭中学校 入試対策
2019年度「桜蔭中学校の理科」
攻略のための学習方法
桜蔭中の満点は６０点、際立った難問はないものの、標準レベル以上の問題が並んでいる。
問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、各分野で計算問題も含まれる。また、知識についてもやや細かい事柄まで問われることがある。知識を確実に固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。
一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。また、年度によっては、時事問題・実験器具の使い方について出題されている。日頃からニュース等に幅広く関心を持って頂きたい。
分野毎の学習法
生物分野
本年度は心臓の働きと血液循環に関する出題であった。
ここ数年を見ると、植物のつくりと働き、昆虫、鳥の渡り、動物の体温などをテーマにした問題も出題されている。
この分野の学習法としては、ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。
光合成を調べるための実験方法、顕微鏡の使い方などについても覚えておきたい。
地学分野
本年度は黄道十二星座に関する出題であった。
ここ数年では、気象・天体・地層・川の水の働きなどについての出題が見られる。
この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、星の名前と動き、月の動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて頂きたい。
さらに、エルニーニョ・ラニーニャ・フェーン現象などニュースや天気予報でよく使われる用語については、その内容を理解しておきたい。地震・火山などについても、テキストの内容だけでなく、近年の地震・火山の噴火についても学習しておきたい。
物理分野
本年は電流と発熱についての出題であった。
ここ数年では、てこのつりあい、ばね、手回し発電機、LED、光についてなどの出題があった。力のつりあいと電気に関する出題が多い。
この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。
電気については、豆電球の明るさ、方位磁針の振れなど基本的なものだけでなく、LED回路での電気の流れ方、手回し発電機の使い方についても学習して欲しい。
また、光や音の基本性質もしっかり押させておきたい。
化学分野
今年度はものの溶け方に関する出題であった。
ここ数年では、ものの溶け方・中和・燃焼・熱の伝わり方・水の三態変化などに関する出題があり、水溶液についての出題頻度が最も高い。
この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。
その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2019年度「桜蔭中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は４題、小問数は３５題程度で６０点満点。試験時間は３０分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心で、簡単な記述問題もあった。
際立った難問はないが、計算問題や思考力を必要とする問題も含まれており、問題数も少なくないので、時間内で処理するためには、過去問等を使っての問題演習をしっかり積んでおくことが不可欠である。
【大問１】化学分野
- 難度：やや難
- 時間配分：８分
ものの溶け方に関する出題
問１ 砂糖水が水よりも密度が大きいため、水の中を沈んでいくように見える。
問２ ティーバッグを取り出した直後はまだそこに近い方が濃い砂糖水である。
問３ 「モヤモヤしたもの」は密度の違う（濃さの違う）溶液において、光の屈折率が異なることによって生じる。
問４ １％砂糖水５ｇには０．０５ｇ、１％砂糖水５０ｇには０．５ｇ、５％砂糖水５ｇには０．２５ｇ、５％砂糖水５０ｇには２．５ｇの砂糖が溶けている。
溶けている。５５×９＝４９５ より９つの実験で砂糖と水の合計は４９５ｇ。
このうち砂糖の重さは、（０．０５＋０．５＋０．２５＋２．５）×３＝９．９ｇになる。
問５ 異なる濃さの砂糖水で実験を行った時にのみ「モヤモヤしたもの」が見られる。
問６ 液体Aよりも液体Bの方が濃い時は「モヤモヤしたもの」は下の方に、液体Bの方が薄い時は、下の方に見られる。
問７ ガラス棒が必要。ガラス棒を伝わらせて液体を注ぐことにより、液体がはねないように実験する。
問８ デンプンは冷たい水には溶けないので、ろ液でヨウ素デンプン反応は見られない。ヨウ素液の色は褐色。
問９ ２０字～３０字の記述問題。熱湯の中のデンプンのつぶは、ろ紙のすき間を通りぬけることができるほど小さくなっているという内容を書けばよい。
ものの溶け方を中心とした出題。計算問題はなく、実験の進め方、ものが溶けるとはどういうことかの本質を問う内容になっている。
【大問２】物理分野
- 難度：標準
- 時間配分：８分
- ★必答問題
電流と発熱に関する出題
問１ 実験結果の表を読み取り考察する問題。表より、電流が同じときAの方が電圧が高く、温度変化も大きい。また、同じ電圧のときBの方が電流が大きく、温度変化も大きい。
問２ 直列回路なので、電熱線A、Bに流れる電流は同じ。問１より、同じ電流が流れるとき、電熱線Aに加わる電圧の方が大きくなり、温度変化も大きくなる。
問３ 並列回路なので、電熱線A、Bに加わる電圧は同じ。問１より、同じ電圧ではBの方が電流が大きくなり、温度変化も大きくなる。
問４ 同じ電圧を加えた時に電流の大きくなるBの方が電気抵抗が小さいと考えられる。同じ長さの電熱線では、太さの太い方が電気抵抗が小さい。
問５ 太陽光発電と燃料電池以外は、回転運動を電気に変えるしくみで発電している。
問６ おもりが落ちるのにかかった時間の短い方が電流の値は大きくなると考えられる。
問７ ８×３．１４÷１００＝０．２５１２・・・・より、０．２５秒。
問８ 手回し発電機同様、回路に流れる電流が大きくなるほど、モーターの軸が回りにくくなる。
問７、問８がやや難問。
問２～問４は問１さえ正答できれば、それに基づいて考えれば十分正答可能。
ここで、思うように正答できなかった場合は、電流による発熱、特に直列回路と並列回路の違いについて、塾のテキスト等を使って復習して欲しい。
【大問３】生物分野
- 難度：やや難
- 時間配分：７分
心臓の働きと血液循環に関する出題
問１ 肺から心臓に戻る血管および心臓から各器官に流れる血管には動脈血が流れる。肺静脈に流れる血液が動脈血であることに注意。
問２ 全身に血液を送り出す左心室の壁が一番丈夫にできている。
問３ 魚類と両生類の血液循環に関するやや細かい知識が必要問い。
問４ ヒトの血液の体積は５０×０．０７より３．５L６０秒間で４Lの血液を送り出しているので、
６０×３．５÷４ より５２．５秒後に左心室に戻ると考えられる。
問５ １分間に作られる原尿は、４L×０．２５×０．１より０．１L１時間では０．１×６０より６L
問６ 問５より１日で作られる原尿は１４４L１．５Lは１４４Lの約１．０４％にあたる。
問７ 小腸と肝臓の間の門脈は、食後に養分が多くなる。肝臓を出た後の肝静脈は、有害物質が少なく、糖分が多い。胆汁は消化液であり、血液中には流れない。
血液循環に関する知識問題と計算問題。やや細かい知識も要求される。計算問題は難問ではないので、落ち着いて処理すること。
【大問４】地学分野
- 難度：標準
- 時間配分：７分
- ★必答問題
黄道十二星座に関する出題
問１ 地球は太陽の周りを反時計方向に公転する。
問２ １月ごろ太陽の方向にいて座がある。真夜中にいて座が見えるのは、太陽と反対方向にいて座があるときなので、半年後の７月になる。
問３ やぎ座はいて座から約３０度反時計まわりの方向にある。地球の自転は反時計方向に１時間に約１５度なので、やぎ座が真南に見えるのは午前０時から約２時間後になる。
問４ 公転は１日に約１度、１か月で約３０度、自転は１時間に約１５度、この２つを組み合わせて考えること。
問５ 同様に地球の公転を考えると、おとめ座が太陽の方向に見えるのは１０月ごろ。
問６ うお座が太陽の方向に見えるのは４月ごろ。春分の日に近く、選択肢の中では秋分の日の太陽の高さがあてはまる。
問７ 夏の大三角は、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ、こと座のベガ。
星座の名前や動きに関する出題。櫻蔭中受験者であれば、絶対に落とせない内容。
ここで得点できなかった時は、星や星座の名前、星の動きをもう一度しっかり学習して頂きたい。星の動きに関しては、地球の自転や公転などと結び付けて理屈を理解することが大切。
攻略のポイント
際立った難問はないが、知識についてはやや細かい部分も要求されるので、まずは知識を確実に固めることが攻略の最大ポイント。また、実験や観察の結果をもとに考えたり、表やグラフ読み取るタイプの問題も多く、過去問等での演習で力をつけておきたい。
また、本校攻略ポイントとしては、各分野の計算問題をしっかり練習することもあげられる。ここ何年かの出題を見ても力学や化学だけでなく、生物分野など各分野で計算問題はかなりの頻度で出題されている。しっかり練習しておきたい。
そして、もう一つ大切なことは、日頃から科学に関するニュースや情報に興味を持つということである。
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