東京農業大学第一高等学校 入試対策
2018年度「東京農業大学第一高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、2題の論説文の長文読解が出題されている。文学的文章は出されていない。2018年度では計6300字、さらに古文の750字ほどがこれに加わる。読解のスピードをつける訓練が必須である。
形式は選択肢が多く、穴埋め・記述が数問ずつ含まれており、漢字や語句の意味などの言語事項も合わせて出題される。記述は25~50字程度の説明記述で、答えるのにある程度の時間を取られる。
説明的文章のみの出題なので、対策もそこに絞ったものとなろう。形式段落→意味段落への転換・意味段落の内容把握(短いタイトルを付けてしまうと良い)・段落のつながりや関係・段落の最初と最後に注目しながら要点と細部の区別・それらを整理して要旨・結論をまとめる……といった論説文読解のパターンに習熟する。
記述問題では特に、要点と要旨のまとめが重要である。求められる答えは、各段落の要点をいくつか組み合わせて作られる場合が多い。50字の記述であれば、書ける内容が2つ(2文)程度と見当をつけて、適切な箇所を使ってまとめるのである。
本文に印や傍線で重要点をマークしておき、関連する部分を結んでおけば、記述問題の答えをまとめる際に大幅な時間短縮が見込める。その際、誤字・脱字や文法の誤りなどにも注意して、不用意な減点を受けないように気をつける。
長い記述問題は時間が取られるので、他の軽い問題をまずは解き進め、最後まで一通り手を付けるのは当然である。
そして、試験対策に限らず、普段から読書を厭わずに自然・人文・社会科学などの分野の書物を多く読む習慣を持てば、すなわち国語力の養成になることも忘れないでいただきたい。
古文の読解
本校の古文の問題は手ごわい。言葉の知識や文法、はては文学史まで、高校の授業で習うことが当然のように訊かれる。中学生向けに現代語訳を付けるといった配慮もない。配点も2割ほどと大きいので、苦手だからと避けてしまうと不利である。
高校生向けの標準レベルの教材で必修単語200、係り受け・枕詞や敬語などの主な文法を覚え、古典の文章にできるだけ触れて、頭を慣らしておかなければならない。
暦の月名や、当時の風俗・暮らしぶりなども問題と関係してくる可能性があるので、そうした知識も一通りで良いので仕入れておきたい。
十分な得点には、相当にしっかりした対策が必要である。
漢字・言語事項
現代文の読解とともに出題されるが、さほどの難問は見られない。
語句の意味が多く出されているので、言語事項の問題集や読書を通じて、語彙を増やす努力をお願いしたい。
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2018年度「東京農業大学第一高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
論説文と論説的随筆文の読解2問がそれぞれ約3600字・2700字の計6300字ほど、さらに古文の750字ほどがある(2018年度)ので、スピードが必要である。総解答数は34問。
漢字や言語事項は10問ほどなので2~3分で済ませ、あとは読解問題に充てる。幸い、問題数は多くないので、読みに手間取らなければ考える時間はある。記述問題2問に7~8分ほどは取られることも計算に入れておく。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:22分
企業の3つのステイクホルダーに加えて「地域社会」と「自然」についても論じている。さらに「トリプルボトムライン」として企業会計に環境面での配慮や社会面での貢献などを加える考えも紹介して考察している。
問一 ③驕り(おごり)――思い上がり・うぬぼれ。
④広義――広い意味・解釈。
問二 a.企業として第一に目指すべきは良好な経営状態であるから「もちろん」。
b.「もし」「困った時に」という仮定。
c.「廃棄する際のコスト」の例が挙げられているので「例えば」。
d.「有限責任」の「そもそも」の目的を説明している。
e.「CSRが大事だ」言いつつ「過剰になってもいけない」と条件をつけているので「ただし」。
問三 1.「情報開示の透明性」は「消費者が見極める力を養える」ようにするためではない。
問五 同じ段落で説明されている。
問六 Ⅰ 「直接地域の病院や学校などへ資金協力をする」のは「社会貢献」である。
Ⅱ 従来のボトムラインでは「経済的な価値観のみで一元化されていることに対して強い批判」があるの
で、新しい会計制度が提唱されているのである。
問七 「自然を資源・環境と呼ぶのは驕り・人間中心の考え」という反省があり、「確かに~謙虚になるべきな
のだ」とつながるので《3》に入れるのが良い。
問八 具体例としてマンションの廃棄コストの話をしているので選択肢3が合う。
問九 最後の段落の内容と合っているので選択肢5が良い。
問十 直前のGDPについての話を受けて「これらの話は」のC。CSRの問題を述べたDが続き、その具体例
B→Eと繋がって、Aが最後に来る。これで直後の文章ともうまくつながる。
【大問2】論説的随筆文の読解
- 時間配分:18分
「世界観エンタメ」として「社会」を「世界」と捉えることの意味を説明し、「環境」としての社会を感じる感受性に「社会感覚」を加えて、これを用いて無機質的時空間に人間的現実を投影することで「面白さ」が生まれると述べている。
問一 A 馴染みのあるわかりやすい言葉が「世間」「空気」であるから、「日常的」が合う。
B 本来は「広くて深い」ものから「極度に狭い」ものを特別に・無理やり取り出しているので「特権
的」。
C 一見「単純なセリフ」だが、「実は」深い情報(重層的)が含まれている。
D 二つの領域のアプローチは「対照的」である。
問二 選択肢2は良さそうに思えるが「他人という見方ができるようになる」が不適。「見方」の問題ではな
い。
問三 「ユパ」のエピソードの次の段落でまとめている。「個別の人間関係を超えた、巨大な『社会環境』」を
「たった一言のセリフ」で伝え、物語に「絶妙な広がり感」を与えてくれるところがスゴイと言ってい
る。
問四 直前の段落で述べられていることをまとめる。
【大問3】古文の読解
- 時間配分:10分
酒に水を混ぜて売る女主人と説教師との化かし合いのようなやりとり。
問一 eだけ主語を表す「の」。
問二 「ほど」は現代語と同じ「程度・くらい」の意味。酒の味が「思ったほどでない」のである。
問三 「無きことまで」は仏教の説教に本来は含まれないようなことまで、の意。
問四 直前の尼公の言葉を受けて、「以前の水が入っていた酒でさえも美味かったのだから、今日の酒はどれほ
どうまいのだろう」と思って飲んだ能説房だったが、あまりに味が薄くて「あつ」と叫んだ、という流れ
である。
問六 「酒に水を入れてはいけないと言われたので、水に酒を入れた」という尼公の言動がはたして「洒落」な
のか「真面目に改心した結果」なのか、読み手に判断を任せて面白味を持たせている。
問七 『枕草子』は平安時代・清少納言の作。
攻略ポイント
論説文主体の長文読解だが、難しいテーマが扱われていたり、文章自体も難しかったりでなかなか手ごわい。記述問題も侮れない。スピードをつけ、最後まで目を通し、できる問題を確実に取ることで得点をあげたい。
古文も十分に学習しておかないとあらすじすら判然としない事態も予想できるので、文法・その他の知識も合わせて高校生レベルでの勉強をしておかれたい。
漢字・ことばの意味などの知識問題でも15点ほどの配点があるので、地道に語彙を増やす努力をしておくこと。