青稜高等学校 入試対策
2018年度「青稜高等学校の国語」
攻略のための学習方法
記述
「青稜の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60~70字程度で書いてみる(青稜の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
前述のとおり、「多種多様な設問内容」の「青稜の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
全てで5000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
青稜に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「青稜の国語」では、「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる(直接出題は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、青稜などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。
従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2018年度「青稜高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「論説文」、出典は「中学生の教科書――死を想え」所収の島田雅彦「国語・外国語」(文字数約3500字)。小問は全10問(解答数22)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「不適切」「正誤判別」「空所補充」、「総合的知識問題」あり)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を15分程度で解きたい。
大問二は「小説」、出典は岡本かの子「鮨」(文字数約5000字)。小問は全18問(解答数22)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「不適切」、「総合的知識問題」あり)。問題文は6分半程度で読み切り、設問を16分ほどで解きたい。
大問三は「古文」、出典は安楽庵策伝「醒睡笑」(文字数約370字)。小問は全7問(解答数10)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「空所補充」、「主語特定」「内容解釈」「語句原意」あり)。6~7分で解きたい。
大問四は「漢字」(同音異字判別)。小問なし(解答数5)。全て「マーク方式」の「選択肢」。1分半程度で終わらせたい。
【大問一】論説文
- 時間配分:
何を何のために学ぶのか? 7人の著名人が「知的欲求」やその根底にある「死との対峙」などを分かりやすく、かつ刺激的に論じている。
本文はその中の一篇で、「君は普段どのように言葉を利用しているだろうか?」という問いかけを問題提起として、「言葉は環境をつくる要素であり、どんな些細な言葉も人の意識にはたらきかけている」ので、「自分が用いた言葉が相手の意識にどう作用するか、想像してみること」が重要だと指摘している。
中学生向けに書かれた平易な文章で、内容はすぐに理解できるはずだ。無論、全て「選択肢設問」なのだが、これまでの本校のものとは異なり、「総合的知識問題」も含め、実に多種多様な「設問内容」となっており、作問者の工夫の跡が見て取れる。
当然、解答者にとっては厄介な小問が多いということだ。尚、「マーク方式」での「解答形式」が複雑なものもあるので、十分に注意したい。以下、いくつか確認してみたい。
[問1] 「漢字の多義判別選択肢」(全2問/各4択)。
傍線部(A)「絶望」・(B)「何処(どこ)」について、「望」・「処」の漢字が「同じ意味で用いられている言葉」をそれぞれ答える。確認していく。
(A)「絶望」の選択肢は、
(ア)「一望」、(イ)「展望」、(ウ)「野望」、(エ)「眺望」⇒「絶望」の「望」は「のぞみ、ねがい」の意味⇒(ウ)の「野望」は「身のほどを越えた、大きな望み」のこと=「答え」は(ウ)、他の選択肢の「望」は「遠くを見る」という意味。
(B)「何処」の選択肢は、(ア)「善処」、(イ)「処置」、(ウ)「処理」、(エ)「随処」⇒「何処」の「処」は「所、場所」の意味⇒(エ)の「随処」は「いたる所」のこと=「答え」は(エ)、他の選択肢の「処」は「ほどこす、物事を取りさばく」という意味だ。
本問は比較的平易だったが、本校では当然、「高度な語彙力」が求められていると心得よ。
<時間配分目安:2問で1分以内>
[問4] 「換言説明の具体例選択肢」(4択)。
傍線部③の「言葉を売って生きていく」とは「どのようなことなのか」について、「『言葉』を『売っている』事例」として「ふさわしいもの」を答える。
「言葉を売って生きていく」=無論、「隠喩(暗喩)」だ。なので「比喩換言選択肢」かと思いきや、否、その「事例」(要は「具体例」)を答える問題。なんとも、ひねくれている。
だが、「選択肢設問」は「消去法」が原則で、先ずは「原意消去」を試みる(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)ことには変わりない。
「売って生きていく」という「比喩表現」の「原意」と結びつかないものを、各選択肢の「文末」と照合して「消去」していきたい(「選択肢の説明」で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「納得してもらえた」、
(イ)「打ち解けることができた」、
(ウ)「子どもはそれを買った」、
(エ)「受講数を増やした」。さあ、どうか? 「売る」ということは結果として、「何か」を「得る」ことだ。「何か」を「得る」⇒「何か」が「増える」ということになる。よって、(エ)以外は「消去」可能となる。
「文末」以外を念のために確認すると、「成績が伸び悩んでいる生徒に、塾の講師が『スランプ』という言葉を伝えたことによって、生徒は今後の展望を考えて」となっている。つまり、「スランプ」という「言葉」を「売った」ことで、「塾の講師」が「生きていく」ことになる。OKだ。
したがって、「答え」は(エ)だ。何やら一癖も二癖もある問題だったが、結局は「一発消去」できた。「原意消去」は徹底して活用すべし。
<時間配分目安:1分以内>
[問5] 「理由説明の空所補充選択肢」(全4問/8択)。
傍線部④「どちらも命がけの飛躍なのである」について説明した文中の空所、 Ⅰ ~ Ⅳ に「入る言葉」を答える。「説明文」を確認してみる。
「缶ジュースが百二十円であることに Ⅰ 性があるわけではないのと同時に、 Ⅱ も、それが指す Ⅲ との間には何の Ⅰ 的な結びつきもなく、あくまで特定の Ⅳ の中での取り決めに過ぎない」となっている。
次に、傍線部だ。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「内容」を読み取ると、「どちらも」=「缶ジュース」と「『愛』という言葉」だと分かる。
そして、「同一意味段落」を確認すると(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)、「缶ジュースには本当に百二十円の価値があるのかはわからない。愛という言葉と愛しさは同じ価値があるのかもわからない」とある。さあ、これで特定できるか?
各選択肢を見てみたい。
(ア)「必然」、(イ)「具体」、(ウ)「言葉」、(エ)「集団」、(オ)「対象」、(カ)「本質」、(キ)「任意」、(ク)「形式」。
本文の「文脈」をたどりながら選択肢を確定していくと、
Ⅰ =(ア)の「必然」、 Ⅱ =(ウ)の「言葉」、 Ⅲ =(オ)の「対象」だと即決できるはずだ。
しかし、 Ⅳ については判断できない。
そこで、さらに「同一意味段落」をチェックしていくと、傍線部から3段落目の最後に「自分の常識が通じない相手とのコミュニケーションは、時に命がけだ。言葉と物の結びつき方は相手や場所によって変わってくるからだ」と説明されている。
であれば、 Ⅳ =(エ)の「集団」だと判別できるはずだ。
さまざまな「解法」を適用して、丁寧に読み解いていくことが肝要だ。
<時間配分目安:4問で2分半>
[問8] 「換言説明の選択肢」(4択)。
傍線部⑦「言葉もお金と同様にインフレを起こす」について、「どのようなことだと考えられるか」を答える。
典型的な「換言説明選択肢」だ。当然、「原意消去」から。「インフレ」の「原意」と結びつかない各選択肢の「文末」を「消去」する。確認する。
(ア)「価値が定まらない」、
(イ)「ありがたみを実感することができない」、
(ウ)「本来の意味とは変わってしまった」、
(エ)「重みが低下している」。
「インフレ」(「インフレーション」の略)=「物価が全体的に上がり、お金の価値が下がること」だと、誰でも知っているはず。よって、(エ)以外は即「消去」でいい。他の部分の説明も特に誤っていない。
「答え」は(エ)だ。絵に描いたような見事な「一発消去」、畏るべし「原意消去」!
<時間配分目安:30秒>
[問10] 「本文内容合致の不適切選択肢」(4択)。
二重傍線部「君は普段どのように言葉を利用しているだろうか?」に関連して、「筆者はこの文章において『言葉』をどのように『利用』するべきだと述べているか」の説明で、「ふさわしくないもの」を答える。いわゆる「本文内容合致設問」だ。
「論説文」での「本文内容合致」では、「論旨合致」と捉え「Nの法則」(「序論部分と結論部分は対応している」という「論説文」での最重要解法)を応用したい。二重傍線部は「序論部分」の冒頭だ。ここでの「問いかけ」は本文全体の「問題提起」であり、その「答え」(要は「論旨」の要)は「結論部分」で述べられている。
チェックする。最終段落では「たとえば、君が誰かに向かって、死ね、といったとする。その言葉は相手の意識の底に溜まり、やがて恨みや憎しみと一緒になって、君のもとに返ってくるかもしれない。自分が用いた言葉が相手の意識にどう作用するか、想像してみること」といった指摘がなされている。
この内容をふまえて、各選択肢を「消去」したい(ここは「不適切選択肢」なので、「消去」すべきものが「答え」になる)。
確認する。
(ア)「言葉を不用意に用いると、予期しない結果をもたらすこともあるため、慎重に扱わなければならない」、
(イ)「言葉は使い方によって他者の命を救うことも奪うこともできるので、よく考えて使用すべき」、
(ウ)「言葉を用いる際はその言葉が相手にどのように響くか想像することが必要」、
(エ)「関係によって言葉の意味は変化するため、それに応じた使い方を学ぶべき」。
無論、「答え」は(エ)となる。
尚、「論説文」での「本文内容合致」では「論旨合致」なので、「序論部分」と「結論部分」とを照合すれば解けるが、「小説」「随筆」では「本文全体」での照合が必要となりとても非効率なので、戦術的には「後回し」にすべきた(本年度は【大問二】の[問18]がそうだ)。
<時間配分目安:1分半>
【大問二】小説
- 時間配分:
東京の坂の多い街にある「福ずし」、店の娘で客あしらいには慣れている「ともよ」にとって、十人十色の常連客のひとりである「湊(みなと)」の「すし」を食べるときの様子が妙に気にかかっていた――「母」と「子」の「鮨」にまつわる回想が、細やかな情愛に満ちあふれている作品。
本文では、「ともよ」との会話から、「湊」が幼い頃の家庭不和をきっかけに偏食となってしまった経緯を語っている。昭和初期が舞台となっており、馴染みがない言葉やことがらが出てくるが、「※注」を活用して何とか内容を理解したい。手際よく解き進めていきたいのだが、本大問もまた、複雑怪奇な設問内容がある。厄介だ。
以下、いくつかの設問を検証する。尚、本文には「場面」ごとに Ⅰ ~ Ⅴ の「形式段落」とは別の「段落番号」が付されている。
[問3] 「心情説明の選択肢」(4択)。
傍線部③「切ない感情」について、「この時の『子供』の思いを子供自身の言葉として表現したもの」を答える。まどろっこしい問題文だが、要は「切ない感情」の「心情説明」だ。ただ、「子供自身の言葉」から「心情」を読み取るという一手間が必要になる。
各選択肢はとても短い「言葉」なので、全文を確認して「消去」する。
(ア)「なぜ自分だけが魚や肉が食べられないように生まれついてしまったのだろう」、
(イ)「生きていることが辛く、自分は生きていてはいけないのではないか」、
(ウ)「自分の本当の母親はどこにいるのだろう」、
(エ)「ものが食べられないことで母を苦しめるのが申し訳ない」。
は? 拍子抜けするほど単純ではないか。(イ)だけに、「切ない」の「原意」に合致する「心情表現」である「辛く」という「言葉」があるではないか。
よって、(イ)が「答え」だ。「小説」でも当然、先ずは「原意消去」ということだ。
<時間配分目安:30秒>
[問5] 「情景把握の熟語完成選択肢」(2群/各5択)。
傍線部⑤「母親は青葉の映りの濃く射す縁側へ新しい茣蓙(ござ)を敷き、俎板(まないた)だの庖丁だの水桶だの蠅帳(はえちょう=※注「食品を入れておく小さな戸棚」)だの持ち出した。それもみな買い立ての真新しいものだった」について、「この場面で、母親が用意した数々の『真新しい』道具や調度類のほかにもう一つ『真新しいもの』の存在が描かれているが、それは何か」を、示されている「A群」・「B群」からそれぞれ「一文字」ずつ選び、「熟語」を完成させる。
本年度随一の、複雑かつ紛らわしい設問だ。ともかく、設問を端的に、そして、正確に把握することが先決だ。
要は、「熟語」を完成させよということなので、先ずは各選択肢をチェックしたい。
「A群」⇒(ア)「靑」、(イ)「濃」、(ウ)「新」、(エ)「真」、(オ)「鮮」。
「B群」⇒(カ)「樹」、(キ)「映」、(ク)「魚」、(ケ)「緑」、(コ)「膳」。
「A群」・「B群」それぞれの「漢字」の組み合わせからできる「熟語」をしっかりと考慮すると、結局、「靑魚」「新緑」「鮮魚」くらいしかない。傍線部に「青葉の映りの濃く射す縁側」とあるのだから無論、「新緑」以外はあり得ない。
したがって、「答え」は、「A群」=「新」の(ウ)、「B群」=「緑」の(ケ)となる。
複雑な設問内容であっても、いかに分析し、単純化できるかがポイント。「分かる」ということは「分ける」ことだ。
<時間配分目安:2分>
[問7] 「動作解釈の選択肢」(4択)。
傍線部⑧「母親も子供もこんこん噎(む)せた」について、「この部分から読み取るべきこと」を答える。無論、「原意消去」からだが、この部分で着目すべきは「も」という「助詞」だ。
この「原意」から読み取るべきことを考慮して、各選択肢の「文末」を照合し「消去」する。
(ア)「鮨をつくる母の慣れない仕草に、子供の方も混乱していること」、
(イ)「強めに酢を利かせたために酢飯を失敗してしまった滑稽な様子」、
(ウ)「母と子が家族から完全に孤立してしまっていること」、
(エ)「母子が二人で一心に取り組んでいること」。
「も」は「並立・付加」(=ある事柄を挙げ、同様の事柄が他にある)なのだから、(ア)(イ)はすぐに「消去」できるはずだ。そして、2人が同様に「こんこん噎(む)せた」という「動作」から「家族からの孤立」を読み取ることは不可能なので、(ウ)も「消去」でいい。(エ)は他の部分の説明も特に誤っていない。したがって「答え」ということになる。
「助詞」や「助動詞」の「意味・用法」は内容を読み取る上での重要な要素だと心得よ。
<時間配分目安:1分>
※[問18]に「本文内容合致設問」があるが、【大問一】の[問10]で触れたように「小説」ではとても非効率なので、「捨て問」で構わない。
【大問三】古文
- 時間配分:
江戸初期成立の咄本(はなしぼん)。全8巻。戦国時代末期から近世にかけて語られていた「笑話」を、全編42に分類し集大成したもの。後の「咄本」や「落語」に大きな影響を与えた。
本文は、何かにつけて縁起をかつぐ亭主が、奉公人に元日の「福の神」を演じさせようと算段するが、当の奉公人がすっかり忘れてしまっていた、というお話。「古文単語の意味」や「主語特定」といった「古文の基礎」、そして「内容解釈」などが問われている。以下、いくつか検討してみよう。
[問1(2)] 「主語特定の選択肢」(4択)。
二重傍線部(ウ)(=[問1(1)]の「答え」)「問ふ」の「主語」を答える。前後の「文脈」を確認する。「……戸をたたく。『誰そ、誰そ(=誰だ、誰だ)』と問ふ。『いや、与三郎(=はい、与三郎です)』と答ふる。無興なかなかながら(=とても不満ではあったが)門を開けて……、亭主顔のさま悪くして……」となっている。
各選択肢は、 (ア)「与三郎」、 (イ)「鶏」、(ウ)「亭主」、(エ)「福の神」。
「文脈」からこの場面に登場しているのは「与三郎」と「亭主」だと分かり、「いや、与三郎」と「答ふる」のだから当然、「問ふ」たのは「亭主」だ。よって、「答え」は(ウ)だ。
尚、本校に限らず、「古文」での「主語特定」は定番だ。前後の「文脈」や本文全体から「人物関係」を的確に把握した上で、「敬語」などの「文法的要素」にも着目して判断していくことが求められる。
<時間配分目安:1分>
[問2] 「古文単語の意味の選択肢」(全2問/各4択)。
傍線部③「とく」・⑤「ねんごろに」の「文中での意味」を答える。ともに頻出の基礎的な「古文単語」だ。「答え」を確認する。
③の「とく」だが、「得」「解く」「説く」「溶く」など「口語」でも用いられるものもあるが、ここでは「『とく』→『帰り休み』」と「連用修飾語」になっているので、「副詞」の「疾(と)く」(=すぐに。早速。急いで)だと判断しなくてはいけない。したがって、「答え」は「早く」の(イ)。
⑤の「ねんごろに」、「口語」では主に「親密だ」という意味で使うので、瞬時に「答え」は(イ)「親密に」と答えてしまわないこと。文中では「ねんごろにいひふくめて」とあるので、「親密に」では不自然だ。「古文単語」の「ねんごろに」(形容動詞「ねんごろなり」の連用形)の第一義は「手厚い。親切だ。丁寧だ。入念だ」、よって、「答え」は「丁寧に」の(ア)。
「古文単語」では、特に「口語」でも用いられるものには注意したい。全く異なる意味であったり、「口語」とは第一義が違っていたりするものがある。いずれにしても、「基礎的古文単語」は定着させておきたい。
<時間配分目安:2問で1分半>
[問4] 「会話部分特定の選択肢」(4択)。
傍線部②「いひ教へけるは(=言って教えたことには)」について、「教えた内容」は「『今宵は常より』からどこまでか」を答える。もちろん、「カギかっこ」は閉じられていない。丁寧にたどっていくと、「……戸を開けて呼び入れむ(=戸を開けて呼び入れるつもりだ)と、ねんごろにいひふくめて」という部分がある。ということは、もう分かったはずだ。「答え」は(ウ)「呼び入れむ」になる。
「古文」では、「主語」が省略されたり「会話部分」が曖昧(あいまい)だったりしていることが多々ある。その際は、「引用」の格助詞「と」に着目せよ。
<時間配分目安:1分以内>
【大問四】漢字
- 時間配分:
[問]「漢字の同音異字判別選択肢」(全5問/各4択)。
①~⑤の各文の傍線部の「カタカナ」と「同じ漢字を含むもの」をそれぞれ答える。「文脈」から「同音異字」の熟語を特定し、各選択肢の「同じ漢字」を判別する。厄介だ。「5問」ではあるが、結局「25の熟語」が分からなくてはいけないということだ。
① 「編集をタントウする」=「担当」、
各選択肢は、(ア)「タンテキに表現」=「端的」/(イ)「タンスイ魚」=「淡水」/(ウ)「思わずタンソクをもらす」=「嘆息」/(エ)「事件にカタンする」=「加担」⇒「答え」は(エ)。「嘆息」は難解か? 「なげいて、ため息をつくこと」という意味も押さえておくこと。
② 「コウイ室で体操服に着替える」=「更衣室」、
(ア)「コウセイな判断」=「公正」/(イ)「優勝にコウケンする」=「貢献」/(ウ)「怪我のコウイ症」=「後遺症」/(エ)「予定をヘンコウする」=「変更」⇒「答え」は(エ)。「貢献」を的確に判別したい。
③ 「期限をエンチョウする」=「延長」、
(ア)「仲間とソエンになる」=「疎遠」/(イ)「運動会がジュンエンとなる」=「順延」/(ウ)「ピアノをエンソウする」=「演奏」/(エ)「友だちをエンゴする」=「援護」⇒「答え」は(イ)。「疎遠」の「疎」は要注意。
④ 「ゲンミツに定義する」=「厳密」、
(ア)「ゲンショクの国会議員」=「現職」/(イ)「賞味キゲン」=「期限」/(ウ)「キゲンが悪い」=「機嫌」/(エ)「ゲンカクな態度」=「厳格」⇒「答え」は(エ)。ここは問題ないはず。
⑤ 「コンクリートをフンサイする」=「粉砕」、
(ア)「フンマツ状の薬」=「粉末」/(イ)「孤軍フントウで頑張る」=「奮闘」/(ウ)「コフンを発掘」=「古墳」/(エ)「フンイキのよいクラス」=「雰囲気」⇒「答え」は(ア)。「孤軍奮闘」という「四字熟語」で覚えておくこと。また、「粉砕」の「砕」は注意したい。
※尚、「同音異字」だけでなく「同訓異字」「同音異義」などにも、配慮すること。
<時間配分目安:2分以内>
攻略ポイント
※冒頭で指摘したように、本年度、本校の出題形式は大幅に改定され、完全な「マーク方式」となり、「大問構成」も変更になった。それに伴う新たな設問形式などについての留意点はこれまで述べてきたとおりだ。しっかりと対応してもらいたい。
ただ、本質的な「設問内容」は、本校のこれまでの特徴が通底している。そして、今回の新傾向が来年度以降も続くかどうかは不明だ。そこで、昨年度までの出題内容をも踏まえて、「攻略ポイント」を以下に記しておく。
●「時間との闘い」が最優先課題だということは、これまで以上に意識したい(「解答数」が一気に増加している)。どう「攻略」するか? 要は「戦術」だ。中でも「解答順」が最重要。「時間切れ」での「失点」は最悪だからだ。
大問では、「知識」中心の「古文」を優先する。「現代文」で、「論説文」と「小説」(あるいは「随筆」)のどちらを先に解くかは、自分自身で事前に決めておくこと。また、「小問」は「知識問題」からこなすのが原則。
例年、5000字超(本年度はかつてない約8900字というボリューム)の「文章」を「読解」することになる(速く正確に読み取るために、分速750字以上を目標に「読む練習」をすること)。「解答数」は、昨年度まで50ほどだったものが本年度は59。全て丹念に答えることは物理的に不可能。
したがって、「取れる問題を確実に押さえる」ことが最優先で、「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。無論、「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は6割弱(過去5年間の3科目合計の「合格最低得点率」は57.6%。本年度は56.7%)。「戦術ミス」は致命的になると心得よ。
●「多種多様な設問内容」に「攻略法」はあるのか? 「設問内容」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最重要。そのためには、基本的「解法」を完全習得し、自分自身の「ツール」にすることが必須だ。切迫する「時間」の中で、いかに的確に「解法」を用いて解いていくかが合否を分ける。
●「高度な語彙力」が問われる「総合的知識問題」も決して侮れない。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは全く不十分、「独習」は不可欠だ。
●「古文」については、 重要な「古文単語」の定着は勿論だが、「内容理解」も求められるので、「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要だ。